*Oyster Chowder Inspired by Ginnojo and Hercule Poirot*
一昨日は最高気温が25℃を超える暖かさだったのに、昨日は最高が16℃で一日中強風が吹いて寒い-今頃のロスではよくある気候の変化ですが、日中は、節分の頃だとはとても思えない程の陽気になります。
慣れたと言えば慣れましたが、「今って2月だよね…?」って、この時期には毎年つぶやいているような気がします。
日が落ちると一気に寒くなるし(最低気温は5℃!一ケタはロスでは相当寒いうちに入ります)、冷蔵庫には生牡蠣が残っているし…夕飯には何年も前から作ってみたいと思っていた、牡蠣のスープを作ることにしました。
メインはラムチョップのハーブ焼きに、オーブンでグリルしたナスとしし唐、椎茸をバルサミコ酢で風味をつけたものを付け合わせて、あとはフランスパンと缶のロゼのスパークリングです。
*Lamb Chop Dinner
余白が多い気がしますが…先月に引き続き、ダイエット強化月間です(ハイ、未だに「あと700グラム〜」をやってます)。
蓋つきのスープボールは出番は少ないですが、やはり中身が冷めにくくて寒い季節には重宝します。
*Oyster Chowder
お雑煮には牡蠣が入る我が家ですが(→「明けましておめでとうございます。」)、これまで他のスープに仕立てることはまずありませんでした。
こんな洋風の「牡蠣のスープ」の存在を知ったのは、アガサ・クリスティーの短編「クリスマス・プディングの冒険」の中に出て来たからでした(この小説は以前、プディングの方で紹介したことがありました→「トゥルーディー大叔母のホワイトフルーツケーキ」)。
あの美食家としても名高い名探偵エルキュール・ポアロが絶賛しているのです。
盗難事件の捜査でとある屋敷を訪れていたポアロは、その時供された「正真正銘の」イギリス風クリスマスディナーに感銘を受けます。
「失礼だが、さっき味わわせていただいたすばらしいご馳走のコックさんに、お祝いの言葉を述べさせてもらいたいと思ってね」と言いながら、彼はにこにこ顔で台所を見まわした。
<中略>
「あなたは天才ですぞ、ミセス・ロス! 天才だ! あんなすばらしい料理を味わったのは、わたしも生まれてはじめてですぞ。あのカキのスープ-」
彼は唇で表現たっぷりな音を立てた。
「クリスマス・プディングの冒険」
アガサ・クリスティー 橋本福夫・他訳
ポアロがいささかオーバーなほど料理を褒め称えているのは、捜査上、このコックから聞き出したい話があったからだとも思えるのですが、それにしても美味しそうじゃありませんか!
魚介のスープと言えば以前、夫銀之丞が小柱を使って作ってくれた「ホタテのチャウダー」が、あっさりしていてとても美味しかったのを思い出して、似た感じに作ってみようと思いました。
参考にしたレシピはこちらです。
クリスティー好きの私に、数年前のクリスマスに姉がプレゼントしてくれました。
作品の中の料理が、クリスティー自身のエピソードを交えながら綺麗な写真と一緒に紹介されている、とても楽しい一冊です(ジャスミン、ありがとう〜!)
私としては、どうしてこのレシピに引用されているのが「クリスマス・プディングの冒険」じゃないのか、とても不満なんですが(「満潮に乗って」が引用されていますが、ただの「スープ」としか記載がないんです)。
参考にしたと言っても、真似たのは小麦粉の量だけでした^^;…卵黄もチャービルも使っていませんし…代わりにほうれん草を入れました。
牡蠣もほうれん草も夫の好物だし、何より私も大好きなアメリカでポピュラーな牡蠣のグラタン、「オイスターロックフェラー」でおなじみの鉄壁のコンビですしね。
二人分として、玉ねぎの薄切り(刻んで大さじ3、4杯位でしょうか)をバターで炒めたところに小麦粉大さじ1弱を振り込んで、弱火でよく炒めます。
ここに生牡蠣と一緒に入っていた汁(こちらでは牡蠣はプラスチックの小瓶に入って売られています)を目の細かいザルで濾したものと水を合わせてスープボール一杯分にしたものを加えて、よく混ぜ、玉ねぎが柔らかくなるまで煮ます。
ほうれん草は、昨日は冷凍野菜を使ってしまいましたが…一人分のおひたしくらいの量を、電子レンジで解凍してみじん切りにしておきます。
玉ねぎが柔らかくなったら牛乳をスープボール一杯分加え、沸騰させないように気をつけながら温めます。
みじん切りのほうれん草を入れ、塩こしょう、ナツメグ少々で味付けをしたら、牡蠣を「しゃぶしゃぶ」の要領で軽く火を通して取り出します。
これを食べやすい大きさに切って(昨日使った牡蠣は長さ7センチくらいと大きめだったので、ハサミで3つに切りました)温めておいたスープボールに入れ、熱くしたスープを注いで供します。
牡蠣は昨日は一人2個使いましたが、もう少し増やしてもいいかもしれません。
とろみは微かに感じる程度、さらっと仕上げた方が牡蠣の旨味が味わえるように思います。
ポアロが天才と崇めたミセス・ロスのスープとは似ても似つかないものだとは思いますが。
牡蠣とほうれん草、玉ねぎにバターにミルク…微かな苦味と甘味のマッチングがとても美味しいスープでした。
にんにくとタイム、塩(やはりゲランドを使うと違う気がします)、こしょうでいつもの味付けにした仔羊ですが、私の焼き方も少しは上達して来たでしょうか。
*Lamb Chop with Garlic & Thyme and Balsamic Vinegar Seasoned Grilled Eggplant, Shiitake Mushrooms & Shishito Peppers
夫は「月曜にこんなディナーが食べられるなんて!」と顔を輝かせて喜んでくれました。
このスープ、冷凍のほうれん草を使ったせいか、思ったよりずっと簡単に出来たんです。
寒いうちに、また作ろうと思います。
外では梨の真っ白な花が真っ盛り(匂いが良くないのが本当に残念…)。
今日は、夫と私が初めて出逢ってから24年目の記念日です。