11日の土曜日は、夫とハンティントン・ライブラリー(The Huntington Library)での「サマーフェスティバル」、チェンバーミュージックの野外コンサートに行って来ました。
「ライブラリー」という名前がついている公共施設ですが、もとは鉄道王と言われた実業家、ハンティントン氏の邸宅だった建物です。図書館(通常一般公開はされていません)と美術館になっていて、敷地内には広大な植物園もあるのです(約485,600平方メートルだそう)。
日本語の Wikipedia はこちら→「ハンティントン・ライブラリー」
English Wikipedia →「Huntington Library」
バラ園、シェークスピア・ガーデン、日本庭園など、十幾つもあるテーマガーデンは見応えがあります。以前一度だけ来たことがあるのですが、美術館も見るとなると、到底一日では回り切れません。
中庭に面したステージと、その前の芝生が会場です。
「夜7時半の開演だけど、ピクニック形式だそうだからお弁当を持って行こうか?」と銀之丞。
「ピクニック」の言葉に、私の中の昔の少女の血が湧き踊りました。
♨(*◉v◉*)♨
「ピクニック」。ああ、何と言う魅惑的な響き。
そして「ピクニック」と言えば「バスケット」。
子供の頃「赤毛のアン」を読んで以来憧れ、焦がれ続けた「バスケットに入ったお弁当」。
母にせがんでバスケットを買ってもらったこともありましたが、如何せん、小学生の私が姉や友達と行けたのは、せいぜい近所の公園のお花見くらい。
持って行った中身にしても、ハムとレタスのサンドウィッチに市販のクッキー、チョコレート、プリッツ…のようなものだったと思います。
アンやダイアナのお弁当やお茶のシーンに登場するような、木苺のタルトやしょうが入りビスケット、数々のケーキが実際どんなものなのか、全く想像もつかなかった頃でした。
ところでこの「バスケット」、籐や柳を編み込んで作ってある物は実は割と重いんですよね。たっぷりの食料の他に、飲み物やお皿やカップ等も入るサイズともなると、カラでも結構な重量に。
そこで、私のバスケットはこちら。
買ったのはもう7、8年前にもなるかな? 材質は不明ですが、お箸ほどの太さの軽い材質の木の枝(?)が、蔓で寄せてあります。
ちょっと憧れていたイメージとは違うのですが、沢山入る割には軽いのが気に入っています。
中のライニング(手製です)の柄は、夫が「ピクニックと言えば赤と白の格子縞だよ!」と言うのでこういうことに…(アメリカーン、ですからねえ…。私はもうちょっとシックな柄でもよかったんですが…)。
して、肝心のお弁当の中身は…。
*Honeydew Melon & Papaya with Prosciutto
*Salted Koji (Malted Rice), Lemon & Herb Marinade Grilled Chicken
*Grilled Green & Yellow Zucchinis & Radishes
*Shrimp Piccata (Marinade with Thyme & Salted Koji)
*Caprese Style Salad (Cherry Tomatoes, Cucumber, Mozzarella & Basil)
オードブルにメロンとパパイヤの生ハム添え。メインはチキンのグリルとエビのピカタ。サラダはチェリートマトときゅうりとモッツァレラチーズ、バジルをオリーブオイルと塩、こしょうでマリネしたカプレーゼ風—。
と、結局いつもの夕飯のメニューと変わらず。ロマンティックとは程遠い…。
そしてやっぱりサンドウィッチも。アンも「あんまり詩的じゃないけれど」と不承不承持って行ったのでしたね。(「アンの青春、第13章—たのしいピクニック」参照)
*Sandwiches (Cucumber, Egg Salad & Tomato)
シンプルに、卵とトマトときゅうりです。
*Iced Tea
*Sangria with Pino Noir, Cointreau, Orange Juice, Yellow Peaches & Lemon
飲み物はアイスティー(カフェイン抜きのアールグレーとレディーグレーのブレンド)と、やっぱりサングリア^^。ピノ・ノワールにコアントロー、オレンジジュース、黄桃、レモンを混ぜてシロップでちょっと甘味をつけたものです。
2つともクーラーバッグに入れて持って来た氷を入れて飲みました。
チキンはもも肉にお肉の10%の重量の塩麹と、冷凍レモンのすりおろし、セージとパセリのみじん切りをもみ込んでしばらく置いてからオーブンで焼いたもの。
ラディッシュと緑&黄のズッキーニもついでにブロイラーで焼きました。
塩麹を使うと冷めてもたんぱく質が固くならないので、エビのピカタにも使ってみました。
殻をむいた大きめのエビを洗ってお腹に切り込みを入れて開いて平らにし、塩麹、こしょうとタイムのみじん切りをもみ込みます。小麦粉をまぶしてとき卵をくぐらせ、オリーブオイルをひいたフライパンで焼きました。
これが冷めてもムチムチ(ってヘンな表現かな)で、塩麹のせいかはんなりと甘くて、おいしかったのです。夫も夢中で食べていました。
さて、お弁当を食べてしまえばここへ来た目的の9割方は達成したようなものだったのですが—。
いえいえ、コンサートを(も)聴きに来たのです。演目はドビュッシーとラヴェル、それにベトナムの伝統音楽ということでした。
考えてみれば、夕空を見上げながらクラシックを聴くなんて、生まれて初めての経験でした。
しかし。
せっかく持って行ったデザートも入らないくらい満腹だった上に、サングリアと、会場でふるまわれていたシャンパンまでいただいてしまったので…。
いつの間にかシートに横になってしまっていました。銀之丞とかわるわるがわる膝枕をしながら聴いたドビュッシーは「フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ」。
3つの楽器の調べが淡い夕焼け空に溶けていきました。
ベトナムの音楽は、聞いたことのないような、でもどこか知っているような音色の琴やパーカッションの響きが面白かったです。
オレンジの鮮やかな衣装の女性が演奏家兼歌手。
古いフォークソングということでしたが、ちょっと日本の民謡や、国歌に似たフレーズが出て来たりして。
風のない、昼間の暑さの名残がゆうるりとたゆとう夏の宵に、ベトナム民謡はよく似合っていました。
とても楽しかったのですが、眠くなって来て…。
結局ラヴェルを待たずに、8時半頃、出口が混雑する前に、と早めに帰って来てしまいました。
実はこの日は猛暑日で、6時半の時点でもまだ気温が36℃あったのです。風もあまりなかったので、ちょっと動くと額に汗がにじむ程でした。
そんなわけで、本当は夫の同僚の方たちも来るはずだからと多めに用意したお料理やデザートも、配り歩く気になれず—。
翌日、涼しい家の中でピクニックの続きをしました。
*Chocolate Ganache Tart
*Butter Cupcake with Cherries and White Nectarine
チョコレートタルトと、チェリーとネクタリン入りのバターケーキです。
タルトの方は、パートシュクレの生地を小さいパイ型に敷いて空焼きし、セミスイートチョコと生クリーム(200g:200cc)、はちみつ少々を溶かし混ぜたガナッシュを流して冷やし固めたもの。
クーラーが効いた家の中でも、チョコレートがみるみる汗をかいて行きます。口の中でバターの様に溶ける、こってりリッチなガナッシュ。
バターケーキは、生の果物を入れたせいか、真ん中がへこんでしまいましたが…。
これはチェリー入り。
味の濃い果物が、ふわふわ、しっとりしたケーキにいいアクセントを加えています。
こちらはホワイトネクタリン。
冷たいアイスティーと一緒だと、ぱくぱく数がいけちゃいそうでアブナイ、アブナイ…。
もうちょっと涼しくなったら、またハンティントンの美術館と植物園をゆっくり回ってみたいです。
もちろん、ピクニックバスケットを提げて—と言いたいところですが、やはり重いので、時分までは車に置いておくことにしましょう。
中身は吟味して、今度こそ!詩的な内容にしたいです。^^
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