今日のロサンジェルスの最高気温は23℃。もう春というよりは夏、と呼ぶのがふさわしい気候になってまいりました…。
そこで、せめて4月のうちにこの話をアップしたいと思います。
先々週作ったエビとチキン入りのマカロニグラタンです。


寒い季節のグラタン。子供の頃から大好きでしたが、昔、小~中学生くらいの頃は、グラタンよりもホワイトシチューを薄めたようなスープにマカロニを入れたものをよく作りました。
なぜマカロニ入りのスープだったかというと…?
この本に影響されたからです。
「小さなスプーンおばさん」 アルフ・プリョイセン 学習研究社
大塚 勇三 訳 ビョールン・ベルイ 画
日本の家のどこかに今もあるとは思うんですが、もうボロボロのはずなので買ってしまいました。おととい届いたばかりです。装丁も字体も挿絵も、何も変わってなくてよかった!
これは三部作の中の第一作目です。小学4年生の時に友達に貸してもらって読んだのが最初でした。
生まれて初めて出会ったノルウェーの本は、挿絵も独特ながら親しみやすく、何より面白かったのはその奇想天外なストーリー。
主人公のいたって普通のおばさんが、時々突然、何の前ぶれもなく、ティースプーンくらいの大きさに縮んだり、元の大きさに戻ったりしてしまう。
そしておばさんは小さくなると、動物や、太陽や風とも、自由に言葉を交わすことができるようになるのです。
やさしく、のびやかな、空想あふれる世界。おばさんのさっぱりとした、ほがらかな性格も魅力の一つです。
そしてもう一つ私を夢中にさせたのは、もちろん、殆ど全ての章に出て来るおいしそうなお料理とお菓子の数々でした。
件のマカロニ・スープを始め、パンケーキ、ショウガ入りクッキー(これってアナズ ジンジャー シンズみたいなクッキーなんでしょうね)、コケモモ(=多分ブルーベリー)のジャム、カステラ、パイナップルをのせたケーキ…。

この本の第二章、「おばさん、マカロニを買いにいく」は、全作の中で、私が一番くらい、好きなお話です。
ある朝、おばさんのご亭主が、「もう長いことマカロニ・スープを食べていないなあ」とつぶやきます。じゃあ、マカロニを買って来て、今日はそれを作りましょう、と思ったトタン、おばさんはティースプーンの大きさに縮んでしまいます。
これではお店に行けません。さあ、困った!
結局ご亭主は、おばさんを上着のポケットに入れて買い物に出かけるのですが…。
「ご亭主が一人でお店に買いに行けばすむことなんじゃないの?」と思うでしょう? ところがこのおじさん、鼻のアタマに「マカロニ」と書いておいたってクローブや塩ニシンを買って来てしまうような人なんだそうで。
さて、ご亭主はちゃんとマカロニを買う事ができたのでしょうか?
このお話で、ご亭主はある理由から、お店のご主人に素敵な青いコーヒーカップをもらうことになるのですが、ここのところ、昨日読んでいてもわくわくしました。この「コーヒー茶わん」(という表記もいいなあ)の挿絵も、子供の頃から何となく好きだったんですよね。
表紙の赤いやかんが、今家にあるやかんとどことなく似ています。ここで刷り込まれていたのかも…。
余談ですが、このお話、英語にも訳されているのですが、タイトルは「Little Old Mrs Pepperpot」、すなわち「小さなコショウつぼおばさん」、いえ、「Old」がついてるから「小さなコショウつぼばあさん」…。
確かにふくらんだスカートをはいた挿絵をみると、あまりスプーンという感じはしませんね。おばさんの子供たちはみんな独立して家を出ているそうだし、特にこの時代なら年齢的には「おばあさん」と呼んでもおかしくなかったのかもしれません。
でも「スプーン」と「コショウつぼ」では大きさはともかく、雰囲気が全然違いますね。「コショウつぼばあさん」と来た日にゃ、何か気難し屋の老婦人、みたいな感じが…。
やはり愛すべきは「スプーンおばさん」ではないでしょうか。
(^∪^)
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