ああ、もう!
今日に限ってお客様が閉店時間ギリギリに来ちゃうとか。
小さなポーチを取り出し、
アナスイの手鏡を見ながら、
サッとパウダーをはたき、リップクリームを塗って、
更に彼の好きな色のグロスを塗る。
寝不足で目の下のクマが気になるけど、
「ありのままの貴女が好きだから」
そう言ってくれる、
優しい大学生の彼の待つ、
バーガーショップへ。
だいたい小中学生しかいないようなお店とかイヤよ、普通のカフェで待ち合わせようよ。
そだね、でもちっさい頃から通ってるとこだからさそしたら仕事終わったらお店まで来てよ。そこからどっか行こうか。
うんわかった、仕事終わったらそこまで行くわ。
30分待たせちゃった。
自動ドアのゆっくり開く速度すらもどかしい。
・・・わっ、
私の予測通り。
少しダサめの洋服を着た女の子のグループ、制服のミニスカから伸びる生足が眩しい中学生と彼氏は高校生のペア、眼鏡男子達、双子コーデの可愛い女の子達。
彼は?
あ、
いた。
こんなとこでよく勉強出来るね。
感心する、その集中力。
シャンプー後自然乾燥しちゃったままの黒い髪、
前髪の下の真剣な2つの眼、
大好きなウエッジウッドのカップのように美しい肌、
ツンと尖った生意気そうな形のいい鼻、
紅い唇、
喉仏、
僅かに見える鎖骨、
シャーペンを持つ指さえ綺麗で、
声を掛けるのがもったいないくらいに、
彼の小さな宇宙がそこにはある。
不意に彼が頭を上げて、
私と眼が合う。
途端に、
無邪気な笑顔。
子供がお母さんを見つけて安心したような純粋でなんにも混ざってなくて。
ああ、この君の笑顔が今日見れただけでもこのバーガーショップに来た甲斐があった。
笑顔からの、
お手振り。
「お疲れ様!早かったね」
彼の放つオーラに周りが気付いたのか、
一斉に視線が集まる。
しかも、彼を見て、彼の笑顔が私に向けられていることを確かめるように視線が自分に移るのがわかる。
自慢、優越感、喜び、
「どしたの?なんか飲む?お店変える?」
「見とれてた。声掛けるのもったいないな、って」
「レポート、明日までなんだ。今日は泊まれない。でもご飯食べたいな」
「やだ、、、」
「ん?」
「ご飯、、、」
「あ、貴女を食べたい」
以心伝心?
「エヘヘ」
照れ臭さをかくすように笑う。
彼のストローを弄ぶ指の動きを見ながら、
その指が私の唇をなぞるところを想像しながら、
「君のジュースでいいわ。ちょうだい」
「エロいね」
「君もよ」
画像と文は一切関係ありません。
ちょっと書いてみたかった。
大人小説。
なんか、すみません。