野口整体を学びたくて稽古場に通い始めたものの、始めのうちは、もう何がなんだか、何を言っているのか、さっぱりわからなかった。
始めの強烈な体験があったにもかかわらず、その後しばらくは、始め、話を聞いていても、直ぐに眠くなってしまい、さあ、やってみましょう、といざ実習に入っても、もう眠くて眠くて…
初心者の私は言われるままに動いていても、途中でそのまま眠ってしまう
「 気持ち良さそうに眠っていたよ~」
「 イビキかいていましたよ~」
と、言われた事なんて数知れない。
' 何の為にここに来たのだろう?' と、殆ど眠って過ごしただけのコマのなんと多かったことか⁈
しかし、そんなふうに眠ってばかりだったり、何がなんだかわからないことが続いても、時に、「 えっ?こんなこともあるんだ‥⁉︎」という不思議な体験があった。
不思議な体験と言えば、こんなこともあった。
息子が、就学前の年頃のことだった、と思う。
私が、先生の操法を受けている時、この頃の男の子なら、多くはそうだと思うが、じっと座って待っていることはできない。何か熱中するようなものやお菓子を与えて待たせるのだが、それにも飽きて、部屋で、あちらへこちらへと動き出した。
普段、少しぐらいなら騒がしくとも、あるいは、電話くらいなら、手をあてたまま少し中断したぐらいで、操法を続けられる先生だが、この時は些か騒音が過ぎたようだった。
「 静かにしなさい。」というかわりに、先生は息子に向かって、
「 お母さんの前に観てあげましょう。ちょっとこちらにきて、横になってごらん‥?」と息子に声をかけられた。
息子は、ご機嫌で、私のマネをするかのように横たわった。
先生は、息子の鳩尾あたりに手を当てられた。その間は、15秒から20秒ぐらいだったろうか?
「 はい、終わったよ。もう、遊んでていいよ‥(^_^)」と息子に声をかけられた。
息子は起き上がって、3~4歩歩いた後、コテンと横になってしまった。
そして、そのまま寝入ってしまった。
「 さあ、この間に済ませましょう。」
そう仰って、私の操法を続けられた。
私の操法が終っても、息子は、まだ、気持ち良く眠っていた。
稽古場では、眠ってしまうことも多かったが、時間をやりくりして通っていた。
一方で、稽古場での体験が、先生の操法にどう繋がるのか?という謎は、膨らんでいった。
' わからない‥'という長いトンネルに入ってしまっていた。7年は経た頃だろうか?私は、自分に何が蓄積されているのか、とくに人に説明できないことで、また、整体とはいうものの、何年やっても、例えば、腰痛持ちの夫にそれをどう活かしていっていいのかわからなかったし、決して安くはない整体にかかるお金のことを考えると、仕事や周りの人達に、時間を融通してもらって続けることに、迷いが生じていた。
7年は通ったが、8年目に入る前、私は、稽古場へ行くことも、先生の操法を受けることも止めた。
もし、家族の誰かがお世話にならなければならないようなことが起こった時のみ、行くことにし、先生には、年賀状で近況を伝えるのみにした。