ちょー内向型の私だけど、親友がいる。

 

今アラサーの私。女子は、20代後半くらいから、人生の行き先が大きく枝分かれしていく。

結婚、出産、子育て、キャリア。それぞれのライフステージによって、ライフスタイルがガラッと変わる。

 

だから、すごく仲の良かった友達とも、お互いのライフステージが違うと話が合わなくなってしまうこともある。

 

そんな中、親友と言える友がいることに、感謝の気持ちがどうにも止まらない。そんな自分に、少しマチュア(大人)になったのかな?なんて思えてくる。

 

私は今、アメリカに住んでいて、親友は日本に住んでいる。

住む場所も、ライフステージも違っている。

 

けれど、なぜか私と彼女はいつも同じようなことに奮闘している。

海を隔てた遠く遠くにいて、全然違う立場にいて、でも同じことに葛藤している。

 

だから、私たちは、テレビ電話越しに、深海より深淵なレベルで共感し合い、お互いにインスピレーションを与え合う。

腹の底から励まし合う。

 

私も彼女もすごく器用だから、沢山の難題をそつなくこなし、順調にキャリアを積み上げてきた。

悲しいくらいに何を求められるのかわかる私たち。

上手に世間を読んで、空気を読んで、クールな表情でやってきたつもりだ。

 

けれど、そんな私たちに、用意された次なるステージ。

 

テレビ電話越しに、私は唐突に言った。

 

「私さー、多分裸一貫になる時がきたわー。」

 

すると彼女は言った。

 

「うん、私もだわぁ。こっからは裸一貫だわー。」

 

なぜ通じるのかな?笑 親友ってすごいね。

 

「裸一貫」ってつまり、「本当の自分」。

「ただの自分」「本来の自分」「素の自分」ってこと。

 

世間体でもなく、周りに求められたものでもなく、誰かが良いって言ったものでもなく、

「ありのままの自分」の「純粋な望み」を大切にするってこと。

 

海を越えて、それぞれの地で、お互いに、今まで置いてけぼりにしてきた、「本当の自分」と向き合っていた。

 

だって、「裸一貫の自分」でなんて生きられなかった。

感受性が強すぎる私たちが、自分を守って生き抜くためには、いっぱいいっぱい武装する必要があったんだ。

 

その鎧をおろした時の、裸一貫の自分がどんなだったか?

もはや忘れてしまう寸前だった。

 

三十路を過ぎて、改めてまじまじと裸一貫の自分を見つめて、抱きしめる。

生き抜くために見て見ぬふりをした沢山の自分を取り戻そうって。

 

どうしてこんなに、純真な自分を否定したのだろう?汚れているふりをしたのだろ?大人ぶったのだろう?

 

何にも興味を無いふりをして生きてきた。

 

本当は松岡修造なみに情熱的で暑苦しいのにね、お互いに。笑

もう、潔く認めよう。

 

 

彼女は言った。

 

「本当はね、友達になりたかったの。」

 

職場で自分が上司という立場から同僚と一定の距離感を保っていた彼女。

アメリカという土地で一から人間関係を構築することを面倒だって、周りにいる人と一定の距離感を保っていた私。

 

でも、彼女はその同僚と、私は今周りにいてくれる人と、「本当は、友達になりたかったんだ。」

 

そんなシンプルな本音すら認められなくなっていた。

 

沢山傷つきすぎて、「人が嫌い」ってことにするしかなかったよね。
本当は人が好きなのに。

 

うん、もう潔く認めよう。

 

「本当は友達になりたかったとか、やばくない?笑」

「私たちの拗らせ具合、女子と話したいのに、一周して、女子に興味ないふりをする中2男子だろ。」

 

そんな風に笑えると、実際のところ結構深刻に心に突き刺さっていたとげが、解けて消えてゆく。

 

「最近さ、寒かったらブランケットを掛ければいいってことを覚えた!今まで震えながら仕事続行してたけど。」

 

「トイレに、行きたくなった瞬間に行けるようになった!」

 

それなりにキャリアがある人間とは思えない、最近の学びをシェアし合う。笑

私たちの中の一部分の能力は、3歳くらいのところで止まっている。

 

 

最後にテレビ電話を切る時に、彼女は言った。

「好きだよーーー。」

 

「そんな素直に自分の気持ちが言えるなんて、本当に成長したねー。」

と精一杯の照れ隠しの後、どさくさに紛れて私も言った。

 

「まぁ、私も君が大好きだけどな。」

 

侍のような私たちは、心で深く思っていれば思っているほど、それを言葉にすることができない。

15年以上の付き合いがありながら、お互いのことが好きだなんて、一度も言葉にしたことがなかった。

 

でもここから先は、「裸一貫」で生きることを決めた私たちだから。

 

「素直な自分の気持ちを見て見ぬ振りせず、できれば相手に伝える」という、なんとも人として初歩的なことに、真剣に取り組んでいる。

 

彼女が初めて本を勧めてくれた。私は読書家だからって、遠慮がちに。

私は今その本を一ページ一ページ大切に読んでる。

 

親友って、ありがたいね。

 

またしばらくしたら、お互いの「裸一貫」ぐあいを報告しあうのが楽しみだ。

 

ここで言わせて、「ありがとう。」