アキバキャンサーフォーラム2015に行ってきました。
『乳がん治療最近の動向』の講演と、
BEC(乳がん体験者コーディネーター)・CIN(がん情報ナビゲーター)
認定者の活動報告を聴き、患者会展示ブースをのぞいてきました。
乳がんだけではないがん全体のイベントというだけあって、
会場は人人人で大盛況。
患者さんご本人なのか家族なのか医療関係者なのか
見分けがつかないけれど、
2人に1人はがんになる時代なのねーとしみじみ思う賑わいでした。
たまに隣接の東京アニメセンターのお客さんが混ざってたかなw
『乳がん治療最近の動向』の講演は、主に薬物治療について
ホルモン陽性、HER2陽性、トリプルネガティブの3つに分けて、
各20分ずつ、最新の知見や研究などの話でした。
最後15分質疑応答コーナーがありました。
スライドを用いての各先生方の話はかなり専門的。
後々、録画した動画がWEB視聴できる(ありがたいですー!)
ということなので、くわしくはまた復習できれば・・と思いますが、
とりあえず印象に残ったことを3つほど。
(ムズカシイお話だったので間違っていることがあってもご容赦を)
①ホルモン陽性進行乳がんに対する新たな分子標的薬が続々開発中
ホルモン療法を受けているうちに、賢いがん細胞によって
薬剤耐性ができ、効果が弱まってくることがある。
車で例えれば、がん細胞の走行を止めるために、
ガス欠にするのがLH‐RHアゴニスト製剤(リュープリンとか)、
ガソリン以外の物を注入するのがタモキシフェン。
これらに耐性ができた場合、ギアやトランスミッションが働かないよう
作用するのが新たな分子標的薬。
mTOR阻害薬(エベロリムス)、PI3K阻害薬(BKM-120)、
CDK4/6阻害薬(パルボサイクリブとか)、
HDAC阻害薬(エンチノスタット)など。
ただし、どの薬剤も特有の副作用(うつとか)があり、
適切な治療管理が必要。
②HER2陽性進行乳がんに対するスター選手続々登場
2001年再発乳がんに対するハーセプチン承認
2008年初発乳がんにもハーセプチン承認
2009年ラパチニブ(タイケルブ)、カペシタビン(ゼローダ)承認
2013年ペルツズマブ(パージェタ)承認
2014年T-DM1(カドサイラ)承認
HER2陽性かつホルモン陽性の場合、
ハーセプチン、抗がん剤、ホルモン剤の3つ全部使うことで
予後が大幅に改善している。
(他のサブタイプより予後が良くなってきたかも?!)
腫瘍径1㎝以下の場合、抗がん剤はアンスラサイクリン系を使わず
タキサン系のみでも有効ではないかというデータが出てきている。
将来的には術前化学療法で完全奏功(完全消失)していることが
正確に診断できれば手術をしないで済むという方向へ(研究中)。
③トリプルネガティブ乳がんを細分化しての治療戦略が研究中
トリネガは、特別な診断マーカー(HER2とかホルモンレセプターと
か)がない乳がんの寄せ集めグループだが、
化学療法の奏効率に差があることがわかってきた。
トリネガのサブタイプ7分類(BL1/BL2/M/IM/MSL/LAR/UNS)
各分類ごとの有効な治療方針を研究中。
トリネガには白金製剤の併用が有効であることが多いようだ。
ああ、ムズカシイ。。(→o←)ゞ
この他にも、抗がん剤投与中の白血球減少に対して
ジーラスタの予防的投与が効果をあげていることや、
腫瘍の不均一性(腫瘍の部位によってサブタイプが異なることも?!)
など興味深いお話もありました。
ムズカシイお話だったけれど、本当に有効な個別化医療に向かって
研究は進んでいるんだなと思いました。
乳がんにならないことが一番だけれど、
なってしまっても再発しても大丈夫、という時代が来ればいいな。
主治医のH先生。
はじめは満員の聴衆を意識してかやや緊張気味のご様子でしたが、
マニアックな内容になるほどに生き生きと饒舌に(*゚ー゚*)
白衣ではないスーツ姿の主治医、なかなかいけるじゃない!と
心の声で声援を送りましたー(*^o^*)/~
このイベント、講師の先生方は無償でご登壇されていて、
運営はボランティアの皆さまの力で行われているとのこと。
感謝です