レジに立っている私。お客さんが多くなかったからぼんやり窓の外を眺めていると、雨がザーザー降り出して、ああこれは大変、窓閉めておいてねって電話しなくちゃと一番レジの男の子に「ちょっとバックいってきていいですか?」って更衣室に走ったら「雨がすごい降ってる」って、もー、世界で一番可愛い人からメールきてて、ああたぶんもう閉めているだろうなってにやにやしながら「窓閉めた?」と送信するとほぼ同時にアイフォーンがぽろりんぽろりんと鳴る。みっつかぞえてから液晶にうつる矢印をなぞる。「迎えいこうか?」「こなくていいよ」「傘持って行ってないでしょ」「大丈夫、借りてかえる」「えー、いきたい」「だいじょうぶだから、あ、窓閉めた?」「もう閉めたよ。とっくに」「えらい」「でしょ」ふふんと子どもっぽく笑う彼。ひとつ年上なのに。愛しい。あ、でも今は同い年、わたしのほうが誕生日はやいから。「ね。だから迎えに行っていいでしょ?」「だめ。たぶんすぐやむ雨だから、大丈夫。ありがとう」答える。返事はない。1、2、3秒。「キボミ~、わかった?」1、2秒。「わかった」そのわかったの言い方が不服そうでなっとくしてない彼の表情がありありと浮かんで、あまりにも可愛いから、「なにかいるものある?」思わずいってしまった。そしたら「はちみつオレ」なんていうこの世でいちばんスイートなんじゃないのンっていう飲み物のなまえが彼のくちびるから電気の関係がごちゃごちゃからまってわたしの耳までとどく、可愛すぎてわたしは瀕死、かろうじて「それだけ」と語尾をあげてつぶやく。ひといきつくまもなく「はやくかえってきて」わたしはもう死にました。うそ。生きる。彼が待ってるから。「努力する」「バイト十一時までって決まってんのにどう努力するの」正確には十一時十五分。まあいい。「はしってかえる」「待ってる」ほら、待ってるでしょう。「うん」「はやくね」「うん」もう、うん。しか言えないのよわたしは。「残りがんばって」「はいはーい。キボムのためにがんばりますよ~」と最後のちからを振り絞っていうと「ありがと~う。ハニー」って笑う彼。そういうところもすき。迎えに行くのが許可制ってなんか、ふつう迎えに来てねって頼むんじゃないのん。とゆるんだ頬を締め直しつつ、レジに戻ると遅かったねなにしてたのってバイトリーダーに、ぶつぶつ言われた。おい、どこいったんだ一番レジ。おばちゃん怖いよ。おこってんじゃん。
やーっと、バイトがおわって