『ジーザス・クライスト=スーパースター』

  JCSクリエイターが凄い・・・

劇団四季の『ジーザス・クライスト・スーパースター エルサレムバージョン』というミュージカルを見ました。作曲家は『オペラ座の怪人』『キャッツ』『エビータ』などを作曲しているアンドリューロイドウェバー。と、『美女と野獣』『アラジン』『ライオンキング』などの作詞を手掛けたティムライス。という楽曲を手掛けた2人が大御所すぎる!
物語はざっくりいうとジーザス(イエスキリスト)が死ぬ前7日間の物語です。が、宗教感が全くない世界を良い方向へ導こうとした男の物語。

  JCSを思い返してみれば・・・


自分の記憶を思い出せば最後に見たのが中2の時にJCSジャポネスクバージョン(歌舞伎バージョン)で、ロックの音楽に和楽器が融合していてなんか凄いものを見てる気がするけど意味がわからん!と思ったのが印象的。で、今回エルサレムバージョン(スタンダード?バージョン)を見て、やっぱりなんか凄いものを見てる気はするけどよくわからん!言ってることも中2の時よりは分かるしやろうとしてる事も分かるはずなのに、あまりピンとこない演劇でした。

 

歌舞伎版JCSみてピンとくる人がいたらとても理解力が高いと思います。


ただ人間の葛藤、群衆の苦しみや狂気という作品のモチーフというのは痛いほど伝わってくる群像人間ドラマでした。何故かというとこの演出、とにかく説明をしない。ユダが首を吊らない。苦しみながら床に吸い込まれていく。人間の憎悪に吸い込まれていくように、、、
 

  今回見たのはエルサレムバージョンのJCS

史実や決められた事を伝える・説明するより。演劇の本質的なドラマや登場人物のスーパーオブジェクト(演劇用語でその演劇を通した登場人物の目的)を表現する事に一貫している。清々しいほどに、それは照明も同じでビックリするほど人が見えない。多分、これほど物語の本質を掴んで舞台に上げる演出家はなかなかいないと思います。

 

舞台セットもものすごく簡素

 

自分が元々、明るい作品が好きなこともあるからかなかなか見ないスタイル。だいたい、しっかり舞台に立ってる人がみんな見えている。が、物語にいかに寄り添うか、アイソレーションするかこの作品から学ぶものは大きいと感じた。どのシーンを切り取っても情景が同じに見えない。場所や時など状況説明も残しながら、キャラクターの歌い上げる楽曲によってはそこにだけ明かりが落ちていく。まさに引き算の照明ですね。

 

歌舞伎版よりもっとリアリスティックな演出でした

 

  JCSを次に見るなら・・・

このジーザス・クライスト=スーパースターはアンドリュー・ロイド・ウェバーとティム・ライスの最初のミュージカルだとか。初演が1971年と結構、昔から上演されています。この作品はとても普遍的なテーマを色々な顔・かたちを変えて時代に合わせて上演されているからまた面白い。正直、今日見たエルサレムバージョンよりもBlu-rayにもなっているオーストラリアアリーナバージョンの方が演出として面白くぜひ生で見てみたい。海外の作品の方が「なぜこの芝居が今上演されなければならないのか」という考察をして演出に反映されていると思います。劇場は浮世の鏡でもあるようです。JCSは日本では劇団四季でとても演劇的に・歌舞伎的に。世界ではもっと色々な顔を持っている作品です。自分もまた見たいと思います。次は歌舞伎バージョンかその他の演出で。

 

映像なんかで見るとオーストラリア公演も迫力がありそう


ロイド・ウェバーの楽曲めっちゃ好きなんで生演奏で見たいなー。見ててもそれはずっと思ってた。劇団四季はカラオケ上演なんで。。。ゲッセマネの園のシーン、オーケストラの音が小さすぎる。照明もだけど、音楽はもっとそのシーンのエネルギーをピックアップして追いかけて欲しい。見に来ている人か心なしか年配の人が多かったからか、年配者への忖度なのでしょうか。

まぁ、総評としては
中身はよく分からないけど、主演からアンサンブルまで洗練された凄い演劇でした!

まもなく全国ツアー公演が始まります。休憩なしの1幕のみ100分間です。興味がある方・訳の分からない100分間を過ごしたい方はぜひ!ジーザス・クライスト=スーパースター でした。