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◆「病気を公開しながら、音楽を作っていく」――サカナクション・山口一郎、うつ病との闘い
https://news.yahoo.co.jp/articles/1cec100ec34a0fdefca6bd2b24b618cabd84c4a0

 

 自身も心の病に苦しんだ経験がある者としてこの件については書いておきたかったので、かなり遅くなりましたが取り上げます。サカナクションのボーカル・山口一郎がうつ病を公表、現在も病気と向き合いながら音楽活動を進めていることを語りました。

 

 ことの一部始終をカメラで追ったドキュメント番組がNHKで1時間にわたって放送されたのも見ました。専門医の監修に沿ってと複数回注釈が出ていましたが、「こういう対応をした方がよい(したらダメ)」という結論ありきではなく、淡々と彼の苦悩や葛藤を発信し続けていた内容でした。有名人であるがゆえに社会に対する影響力を自覚したうえでの発信である一方、悪意の有無にかかわらずいろんな反響が本人の耳に入ることで余計に状態が悪くなってしまうことへのリスクも正直感じましたね。

 

 自分もどん底の時期に、完治した時に同様の状況の人に役に立つことがあればと状況や心境を克明に書き留めていたことがあるんですが、自分と向き合うのにあまりに辛すぎて結局続きませんでした。今は簡単に映像に残す手段があることで記録自体への苦労は軽減されるとはいえ、自分と向き合う作業への大変さは変わらないと思いますし。

 

 彼はバンドの顔としての活動のほか、コロナ禍での音楽活動のあり方の議論を提起したりと業界全体を見越した言動もあったりで(一方で売れることの重要性を公言する一面もあった)、気づかないうちにいろんなプレッシャーを抱えてたのではないかと思います。ゆっくり休んでとか自分のペースでとか周囲から言われても、こういう人ほどバンドメンバーやスタッフのことを考えると難しい気持ちになりそうですが、だからこそフルオープンにしたことでいろんな面からオーバーワークに歯止めがかかる効果が生まれそうなのはいいことなのかも。

 

 これまでも彼らの曲はずっと聞いてきていましたが、別の視点からも今後の活動に注目していきたいと思います。