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◆中森明菜、令和でも存在感を示す歌声 時代を超えてZ世代に響く“明菜ビブラート”
https://news.yahoo.co.jp/articles/e6db618f7c08021cb416c095a9a3e82ebec4de60

 

 一部に表舞台への復帰を熱望されている中森明菜が現在の歌声で収録した「北ウイング -CLASSIC-」が話題となりました。この作品単体では配信のみでCD発売はなく、作曲家・林哲司の50周年トリビュートアルバムに収録されたのみですが、週間チャート最高17位と異例の高位置だったのもこの作品の恩恵と言っていいかも。

 

 ツッパリ系とバラードがほぼ交互にシングル化される中、それ以外の「大人路線」を模索する中で発表された曲はチャート1位を獲得、彼女の中期代表曲の一つになりました。国際線の飛行機が飛び立つ空間の広がりを感じる原曲に対し、今作はストリングス中心でリズムレスなアレンジに囁くような柔らかい彼女の声が乗る仕上がりに。個人的に国際線よりも「夜の時間帯の地方空港行き最終便」の印象を持ちました。

 

 今の歌唱に対しては絶賛、今後の彼女にも再始動への声が圧倒的に大きいんですが、あえて言うと「今の彼女にはこの歌い方しかできないのでは?」とも感じてしまいました。例えば「飾りじゃないのよ涙は」とか「DESIRE」のような声量と圧が必要な代表曲を、当時の再現とは言わないまでもガッカリさせない歌唱で期待に応えることができるのか。それを考えると、仮に再始動するにしても生歌唱はファンの目にのみ触れる形のディナーショーやライブに限定するのが賢明ではないかと思いました。

 

 2014年の紅白歌合戦に出場した際も、正直言うと浅倉大介プロデュースの楽曲と彼女のボーカルは合ってなかったし、最も盛り上がっていたのは放送前までだった印象が。今年の紅白出場者リストに名前がなくて、ある意味ホッとしたひとりです。