こんにちわ
アブ先生の元気の出る診察室です

僕の思い出の患者さんの話を時々したいと思います。
(個人情報が入らないように、若干の変更をしております)

今日の話は、僕が長く付き合っていた患者さんなのに・・助けられなかった。

そんな、患者さんの人生を大きく変えてしまう事だったのです。

実は、この方とそっくりの人はたくさんおられます。


そして、真面目に病院に通院している人が陥りやすい罠かもしれません。

 

あなたは大丈夫でしょうか?

ぜひこのブログを読んで、ご自身の人生に役立てていただけたらと思います。

●元気な68歳の気丈な男性の話
以前から僕の外来に高血圧でかかっている真面目な方です。
アムロジンと言う薬を飲んでいて、血圧良好。市の健康診断も受けていて検査も毎年正常。
症状もないので自信満々です。
「先生のおかげで、血圧もバッチリだよ」なんて褒めてくれる、優しい人生の先輩です

あまりにも元気が良いので、

“心配なことがあったら検査しますよ!”

とお話ししていましたが。

「先生大丈夫だよ胸も痛くないし、親父もお袋も長生きだ。だいたい検査は大嫌いなんだ。」
そんな方なので、検査はほとんどさせてくれません。

実は中年期の方、こんな感じの方いっぱいいます。あと団塊の世代の方にも多いですね。

自分のことは自分で納得してから決めるタイプ。

「何を検査するかは自分で決める。医者の指示には従わん」

漢です

 

この方は、優しくて真面目な方で市町村の検診はきちんと受けるので結果を見せてもらっていました。

そんなある日、いつもの様に元気に検診結果を手にして来院されました。

検診結果を見ると、少し気になる点が・・
貧血検査で常に14以上あったヘモグロビンが13に下がっています。

13という値は人によっては、特に女性ではザラにある数値で、症状もでません。

でもいつも14以上あったこの方にとっては変だと僕は思ったんですね!
こんな時に調べるのは、男性ならまず消化管出血ですから
胃カメラと便の潜血検査をお勧めしたのです。

「先生、なんの症状もないのに胃カメラなんてやりたくないよ」

“だって、小さなガンとかあったら大変だよ”

彼は手を横に振りながら、
「去年も市のバリウム検査したし、もういいよ。検査はやだよ、死んだほうがいい」
と冗談めかして笑いながらアムロジンの処方を持って帰りました。

そのあとも検査を勧めると嫌がるし、こっちも押し売りみたいだし、高血圧管理に必要なことだけをしていました。

それから1年くらい経ったかなあ〜

いつもと違って突然外来に来られたのです。

「先生、食べ物がつかえて食べられない。1ヶ月で三キロ痩せた。オレ変だ」
検査する?
と聞くと、「全部検査して欲しい!こんな事はじめてだから・・」

僕はまずいと思い、すぐに内視鏡を行いました。

結果は進行した食道癌でした。
がんが大きくなって、胃の入り口を塞いでしまっていたのです。

僕は心の中で“だから言わんこっちゃない”と思っていましたが、患者さんは「俺が検査を嫌がったからだな。先生が勧めてくれたのに悪かったな」
と言われて、僕が情けなくなりました。

“一番の専門施設に紹介するから、頑張って治療するんだよ!!医者の言うことを聞いてね!”
と送り出しました。

寂しそうに笑いながらうなずいた顔を忘れません。

その後、大学病院から連絡がありました。

がんは進行癌で手術だけでは取りきれないので化学療法などの補助療法をお勧めしましたが、ご本人が拒否されているので治療を中断して緩和ケアにいたしますと・・

人生はいろいろですから、自分が納得いく様に生きることができればそれで良いと思います。彼は誰も恨まず、後悔もせず、常に自分の意思を通して生きてきました。
それは素晴らしく、尊敬に値すると思います。

ただ医師としては、どこかでチャンスがあれば完治出来るタイミングがあったと思うので、残念でなりません。

このストーリーが、あなたの人生選択の一助になれば幸いです。