最近は台風が来るたびにドキドキしますね。

どんな災害下であっても、
命を守るために中断できない治療をしている方がいます
 
それが透析患者さんです。
 
今日は
災害時の透析、あなたの透析室は大丈夫ですか?
という話をします
 
日本中で透析患者は33万人以上、そのうち糖尿病が原因の方は12万人以上と言われています。高血圧が原因の腎不全も急激に増加していますから、長寿下社会において、今透析をしていない方にとっても他人事ではありませんよ。
 
台風や水害などの自然災害
今回の新型コロナウィルスパンデミック
 
もちろん直接の被害を避ける努力は大切です
たとえ天災で生き延びても、
 
買い物、トイレ、食品、水の供給・・
安全清潔に食べて、安全に寝て、
排泄できる事が生命維持には大切です。
さらに冬は保温、夏は熱中症対策、
そして感染蔓延には厳重注意なのです。
 
そんな中、腎不全をお持ちの方は
災害中でも透析を欠かす事は出来ません。
これをしないと尿毒症で命を奪われてしまうからです。
 
圧倒的に人数の多い血液透析に関して考えましょう。
 
血液透析の生活
 
それぞれ決まっている血液透析室(クリニックだったり病院だったりします)に基本的に週に3回通います。
 
腕に2本の献血のように針を刺して4時間横になっていれば終わります。その間の手技は専門スタッフが全て行ってくれます。
ただし、曜日と時間は決まっていて、気分次第で行くわけには行きません。
 
透析室の規模によって同じ時間に20ー60人くらいが透析をしています。通院は自分で電車や車で行くのが基本ですが、病院によっては高齢者のバスが出ている時もあります。
 
透析室に災害が起こると・・
 
この透析室が、災害では大変になります
雨や木の倒壊、水害で交通が遮断されると通院ができなくなります。
何より透析室が被災してしまったら、命を繋ぐと透析室が消失してしまうのです。
東日本大震災がこのパターンでした。
 
停電が起きると、自家発電のない透析室は透析ができなくなります。県の電力車頼みですが、広域災害では保証されません。
 
断水も同じです。透析では大量の水を使います。50床の透析室で午前午後で50トンの水が必要なのです。水が出なくなったら透析はできないのです。
 
そのため、患者さんは他の透析病院に行かなければなりませんが、災害状態でそのような対応は遅れがちです。
 
2019年の千葉県の台風15号で停電や断水が報じられましたが、現地の透析室がどうだったかはあまり報じられていません。自家発電がなく機能不全に陥った透析クリニックもありました。
 
東日本大震災でも、透析室そのものが津波で破壊されるなど、生き残った透析病院にたどり着けた患者さんだけが辛うじて命をとりとめました。ヘリコプターで県を超えて運ばれた方も多数います。
 
そうなんです
通院の血液透析は災害に弱いのです。
 
1日おきの施設での血液透析を受けながら生活していることは、世の中のインフラが完全に機能している事が前提なのです。
 
インフラが失われた時に、どこまで病院だけで対応可能かは、施設によって雲泥の差です。
私が患者なら、綺麗な外見や、座りやすい椅子よりも、災害時の強さを見て透析室を選びます。
 
例えば、ハードで言えば
強力な非常電源の設置や自家給水(井戸水)システムの完備などです。
さらにハザードマップで浸水地域にないかどうか立地条件も重要です。
 
さらに、この様な災害時に
困って病院に電話しても、まず出ません
役所や保健所も一緒です
電話が殺到して回線が埋まってしまうのです
 
ですから、患者さんと透析室とで
災害時にはどうするかの細かい打ち合わせをしておく事がとても大切です。
透析管理者が、災害や感染対策に本当に真剣に取り組んでいるかどうか、確認しましょう。
すなわちソフト面の取り組みです。
 
今、透析をされている方、
あなたの透析室はこのような準備をされていますか?
 
災害に強い透析室かどうかの判定
 
災害時に対応するハードの設置
ハザードマップから見た立地条件
災害対策に真剣にスタッフが取り組んでいるか
で計れます。
インターネットやメール、SNSなどを利用した緊急時の患者と透析室の連絡ツールを、複数用意して備えている事も大切です。
 
新型コロナで何が起こったか
 
そして、2020 年の新型コロナウィルスです。
全国で集会が禁止されて人が集まる事が、移動することが感染拡大のリスクになり国から中断指示が出ましたね。
 
しかし、透析室は毎日数十人が集まって数時間の治療を行うのです。そして命を守るためには止めることができません。
 
各病院は感染対策を行いますが、通院途中や待合室、共有空間などでリスクがあります。また専門スタッフを介した感染拡大も心配です。
 
充分な感染対策をスタッフも患者さんもみんなで協力しましょうよ。
 
手洗いマスクは当然、時間差入室や透析中の会話自粛、ロッカールームでの蜜の緩和、通院の交通機関、スタッフのPPE、スタッフの施設兼任禁止、スタッフの私生活、毎回の器械の清拭などなど・・多くの対策が必要です。
 
でもしっかりやれば、感染拡大を阻止できます。
デイケアやリハビリなどいろいろな施設に出入りしている患者さんは、実は感染リスクが高いですから、特に気をつけないといけません。
 
災害に強い透析治療はあるのか?
 
あります。
病院に通う必要がない透析
停電でも可能な透析があるのです
 
それが腹膜透析です。
お腹に入れた管を介して、自宅に運ばれた液体パックの中の透析液を腹腔内に溜めたり出したりを1日4回くらい行う治療法です。
 
液体を入れるのは重力の自然落下ですし、出すのも自然落下。液体は自宅に配達されてストックしてありますから、停電も家篭りしていても安全に行う事ができます。
 
通常であれば貸し出された器械を使う事で、寝ている間に透析を済ますことも出来ます(これをAPD)と言います。病院には次に1回から2回定期検査でチェックに行くのみです。
 
腹膜透析をPDと言いますが、PDの方は今回の新型コロナに関する感染機会リスクは、血液透析の方より明らかに低かったと言えます。
停電でも行える事で、自宅さえ破壊されなければ停電や断水でも生命維持治療が続行できたのです。
 
残念ながら腹膜透析は日本では充分に普及していません
 
その理由などは機会があったら書きますが、他人任せにできないという事は、日々患者さん自身の自己管理能力が必要な事と、腹膜の特性上5年を超える長期間は推奨されないという特徴もあります。
医療機関も腹膜透析を患者さんに指導する能力が必要ですので、普及していないという事は患者さんに指導できる施設も少ないという事です。
過去において保険上で血液透析があまりにも優遇され続けてきたことも普及を遅れさせたといえます。
ただ、各種災害時にも安定した透析を続けられるという点では、腹膜透析はピカイチと言えるでしょう。
 
腎不全治療としては腎移植もありますが、これはまた別の機会でお話しします。
 
まとめ、血液透析患者はどいしたら良いのか?
 
所属している透析室の災害対策とバックアップ体制を早急に確認しましょう。感染対策もきちんとやっているかどうか、自分の目で検証しましょう。
 
停電になった時の患者の透析手配に関してのマニュアルを責任者に見せてもらいましょう。
自家発電の有無もポイントです
 
断水時の対策も確認です。地下水による自家給水システムを持っている病院だと安心です。
 
このように透析室が被災した時のバックアップに関して確認しましょう。
 
特に災害発生後48時間は充分なサポートを得られません。DMATなどが機能し始めるのも3日目と考えた方が良いでしょう。
 
最低3日間を施設だけで乗り越える能力を持った透析室は被災に強いと思います。
 
被災した時は全員の患者さんが透析不可能になるわけです。連絡手段をどう考えているかを師長や技士長に聞くと良いです。
 
災害時の連絡手段や情報伝達方法に関して複数の経路を用意しているかどうかを確認しましょう。ホームページのみならずメールやSNSによる発信が災害時の唯一の情報になる時もあります。自分の通っている透析室がこれらの対策に熱心かどうかを必ず確認しましょう!
 
GoToで旅行を楽しまれる方も、旅先で災害に強い透析室を選べば、知らない土地でも安心ですね!
上を参考にして旅行透析を楽しんでください!
知識が自分を救います。
 
一休.com