アエラ臨時増刊で、働く女性の特集をしていた「しあわせに、働く」
の中で紹介されていた、ある女性の言葉だ。
この言葉を見たとき、私は
「ああ、お客様だけでなく、取引先、チームの仲間、自分が関わるすべての人たちとの人間関係が大切ということだよな。」
と思った。
もちろんそれは仕事をする上で、気を配るべき大切なポイントだ。
が、記事を読むと、それだけの意味ではなかった。
彼女は、パナソニック・神戸工場で パソコン基盤の不良検査をしている。
高卒で就職し、10年間製造ラインで働いた経験を生かして工夫を重ね、
「次の工程の人にベストを引き継げば、それが繰り返されて顧客に届く時にも、ベストな商品になる。」
という考えを、仕事で大切なこととしている。
と書かれていた。
つまりは、
「次の工程の担当者がお客様であると考えて、自分の担当での製品をその部分での完璧な状態にして渡す」
という意味だったのだ。
まさに、職人気質のような言葉である。
が、考えてみたら、この
「自分が担当した製品や業務は、次の担当者にとって製品である」
という考えは、私の知る限り、今、組織の中で働く人々の意識から抜けつつあるのかもしれない.....と感じたのだ。
数年前からの不景気や消費者の意識の多様化で
私が勤めている会社でも、顧客の数は年々減ってきている。
会社は 営業攻勢の強化はもちろん、
イベント企画や 社員の日々の接客態度などあらゆることを「改善」し「どうしたらお客様に選ばれるか」を暗中模索している。
当然、意識しているのは顧客、あるいは見込み客の目だ。
いかにお客様に興味を持ってもらうか、当社の商品・サービスがどんな印象を与えるか。
もちろんそれは重要なことなのだが、
お客様からのクレームや、意見を重要視するあまり、社員個人の成績評価も、外からの評価に左右される事が多いように思う。
必然的に「お客様の目に触れない中継する仕事」に対する意識が、だんだん薄れてきているように感じるのだ。
一人一人が会社の代表、とよく言う。
その一方で、当然、一人一人は会社を構成する組織のひとつでもある。
自分の仕事が、それに関わるメンバーにとって
最大限のパフォーマンスを発揮できるレベルにあって初めて、
その仕事も生かされてくるのではないだろうか。
つまりは、
「自分の仕事に誇りと責任をもち、ベストを尽くす」ということだと思う。
もちろんそれと同時に、
自分の前にも、次のメンバーに手渡した仕事の先にもお客様がいる、
ということを常に意識するのは必須だ。
仕事は、一人ではできない。
会社という組織の中で働く人にとって、
忘れてははならない大切な自分の役割を思い出させてくれる、素晴らしい言葉だと思う。