今回の担当は、
弁護士×プロコーチの飯塚予始子です。
「ジャッジ」という言葉から派生して、
相手の思考を促す「ジャッジ=判断や決断」という森コーチの視点。
「ジャッジ」の起点となる「問い」から派生して、
塙コーチの「質問が持つ思考の強制力」という視点、
そして、阿部コーチの「なぜ?」という問いそのものを問う視点。
「思考」という言葉から派生して、
「考えて判断し、思って決断する」という福田コーチの視点。
コーチという仕事柄、言葉を、そしてジャッジやその起点となる問いを大切にし、思考の重みを理解されているからこそ、こういう発展をするのだな、と思いながら拝読しました。
その中で、今回注目したのは、“相手の思考を促す”ということ。
塙コーチや阿部コーチの視点にもあるように、コーチングでは、「問い」を大切にしています。
それが、森コーチや福田コーチの言うように、相手の「判断や決断」を促すからです。
しかし、必ずしも全ての「問い」が、相手の思考を促すわけではありません。
たとえば、裁判所の法廷の中で繰り広げられる「問い」。
弁護士から投げかけられた「問い」に、回答者が答えていく中で、事件の真相が明らかになり、犯人が暴かれていく…
読者の皆さんも、ドラマなどでご覧になったことがあるかもしれません。
もっとも、ドラマではかなり脚色されていることも多く、「そんな上手いことあるかーい! 」と突っ込みたくなる場面もよく見かけます笑
ここでの「問い」は、相手の思考を促す目的でなされているわけではありません。
この事件を「ジャッジ」する裁判官の判断材料としてもらうために、裁判官の目の前で、自らの主張を答えてもらうことや、相手の主張の矛盾を突くためになされます。
「誘導尋問」なんて言葉もあるように、相手を誘導するために、「問い」が使われることもあります。
使い方次第で、相手のためになることもあれば、相手を誘導することもできる、というわけです。
問いかける者に誘導するつもりがなくても、問いかけ方次第で、相手が誘導されてしまうこともあります。
そう考えると、「問い」とひと言で言っても、その使い方には注意が必要そうです。
だからこそ、塙コーチや阿部コーチの指摘にあるように、「なぜ?」という問いかけでよいのか?といった吟味が大切になります。
相手の思考を促す「問い」とは、何なんだろうか…
そう簡単には答えが出そうにない難問です。