本日の担当は、中小企業診断士×プロコーチの森琢也です。
突然ですが、皆さんはお子さん(あるいは部下や後輩)から「これ、欲しいんだけど!」と言われたとき、どう対応していますか? 「ダメなものはダメ!」と一蹴するのか、「じゃあ、テストで良い点取ったらね」と条件を出すのか。
コーチングを提供したり、企業の研修で「問いの力」を偉そうに語っている私ですが、家庭という日常の場に戻ると、ついつい「親の権力」を使って「こうしなさい!」と指示を出してしまいそうになります。
しかし先日、小学6年生の娘との間に起きた「ある事件」をきっかけに、あえて親としての指示を封印し、一人のコーチとして、そしてビジネスパーソンとして、娘に「ある問い」を投げかけてみることにしました。
先日、娘が出場するカラオケ大会の引率に行ってきました。 結果は、運良く上位入賞! なんと、賞金1万円をいただくことができました。
大喜びする娘。しかし、ここで現実的な問題が浮上します。 実は、この大会の出場料は1万3,000円。
ついつい、以前までであれば 「出場料に1万3,000円かかってるんだから、この1万円は回収ね」 と、親の論理で結論を押し付けていたかもしれません。
しかし、娘ももう小学6年生。 ただ指示に従わせるのではなく、このリアルなお金をテーマに「思考力」を高めてほしい、主体的な気づきを得てほしい。そう思い、私は娘にこう「問い」を投げかけました。
「この1万円、自分がいくら欲しいか、どう分けるのが妥当だと思う? 自分が納得する金額と、その『根拠・ロジック』をまとめて、お父さんを説得してみて」
「ちなみに、主張を通すときは、『主張』『事実』『論理(理由付け)』の3点をセットにするんだよ。なぜその分け方になるのか、君の提案にお父さんが納得できれば、1万円全部を自分のものにしてもいいよ。お父さんが『なるほど、それなら納得だ』と思える内容をプレゼンしてね」
娘は「ええーーっ!」と頭を抱えました。
本音としては「1万円、丸ごと全部ほしい!」。 でも、出場料(1万3,000円)や交通費をお父さんが出してくれているという「事実」も理解している。
「どうしよう……どう言えばお父さんは納得してくれるんだろう……」
大会が終わってからすでに5日ほど経ちますが、娘の頭の中の作戦会議はまだ続いているようです。 「できれば全部ほしいけれど、相手(父親)の立場や数字のロジックを考えると、どう切り出せばいいか分からない」と、必死に考え続けています。
答えを与えない「問い」が、思考のエンジンを回す
もし私が「半分ずつにしようね」と指示(正解)を与えていたら、娘の思考はそこで停止していたはずです。
しかし、「どう説得するか?」という問いを投げたことで、娘の脳は「能動モード」に切り替わりました。
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「自分が頑張って歌って勝ち取った」という自分の価値(主張)
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「お父さんが出場料や移動費を負担してくれた」というコスト(事実)
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両者が納得する「着地点(ロジック)」
これらを結びつけようと、必死に試行錯誤しています。
ビジネスもコーチングも、根っこは「相手を信じて待つこと」
これはコーチングや、私が提供しているレゴ®シリアスプレイ®の研修でも全く同じことが言えます。
研修やセッションの現場で、講師やコーチが「答え」を教えてしまえば、その場は早く丸く収まります。しかし、それでは受講生の中に本当の「学び」や「変革」は生まれません。
一見、意地悪に思えるような抽象的な問いを投げ、相手が「うーん……」と頭を抱えて悩み抜く時間。 そのプロセス自体が、本人の思考力を劇的に高め、無意識の中にある「自分なりの答え」を引き出すのです。
親としても、コーチとしても、つい「こうすればいいよ」と答えを先回りして教えたくなる誘惑は本当に強敵です。 ですが、そこをぐっと堪えて「相手の考える力を信じて、待ち続けること」。これこそが、成長を支援するリーダーの最も大切なあり方なのだと、娘の背中を見ながら改めて痛感しています。
さて、我が家のロジック対決。 小6の娘が一体どんな「3点ロジック」を引っ提げて、私にプレゼンを挑んでくるのか。 コーチとして、そして一人の父親として、ワクワクしてじっくり待ちたいと思います(もちろん、ロジックが甘ければ、やり直しの予定です笑)。
以上、
中小企業診断士×コーチの森琢也でした!
