一般の大人が50m走や100m走を走ってみると
ゴールの3~5m手前から力を抜くことがあります。
これは「確実にゴールできる」という確信が持てると
安心してしまう心理が働いている証拠です。
社会心理学者エレン・ランガーの実験によると
「ジャンピングジャック(両手・両足を開閉する運動)を50回するとしたら、
何回目くらいで疲れると思うか?」と聞いたとき、
ほとんどの人が「30回くらい」と答え、
「ジャンピングジャックを70回するとしたら?」と聞いたとき、
ほとんど人が「50回くらい」と答えたそうです。
つまり、
人は要求の3分の2くらいしかできないと予想するということです。
これは前述の「確実にゴールできる」というハードルを
下げて考えていることを意味しています。
なので、例えば「部下に10件の契約を取ってほしい」と望むなら、
部下に「15件の契約を目標にやってほしい」とリクエストすれば、
10件の契約は案外達成できるかもしれません。
5円玉を立てる実験では
被験者に「5円玉を立ててください」というよりも
「5円玉を立ててから穴に糸を通してください」という方が
5円玉をたやすく立てることができたそうです。
要はゴールのその先を用意しておくことです。