「いい対話とは何か?」
コミュニケーションの正解は1つではない。
だからこそずっと考え続けている対話。
この本はタイトルだけで惹かれたましたが、
哲学者である著者がファシリテートする側あるいはされた経験を基に
書かれた哲学対話の本です。
ひとつのテーマについて水中に深く潜るが如く、深く考えるのが哲学対話であり、
参加者同士でゆっくり聞き合い、じっくり考え合う場となっています。
対象は大人だけではなく小学校でも哲学対話を行う機会があるようで、
子どもの方が本質を突く「なんでそうなの?」質問が多く、
逆に大人は問いのパターンが偏りがちだし、問いすら持たず
わかった気になりやすいものです。
私のコーチとしての経験上、
「人はそう簡単には変わらない」という人ほど
自分が変わることを恐れ、拒んでいるように感じます。
著者が参加したある哲学対話にはこんなルールが。
・ひとの話をよく聞くこと
・自分の言葉で話すこと
・変わることをおそれないこと
私はこの本を読んで大人にはとくに3つ目が重要に感じました。
本の中の一節
↓
ひとの話をよく聞き、それによって自分の考えが変わること、
それを楽しんでください。
自分の考えが変わるのを楽しむという発想は
コーチングを学んでいないとそうはいかないでしょうし、
多くの人は、誰かの言葉で自分の考えが変わることは
その人に負けたと捉えがちではないでしょうか。
相手の考えを変えようとした場合、答えを与えがちですが
逆に問いを立てることでいろんな答えが水中からゴポゴポと
いくつも泡立ってくるようになるもの。
そもそも対話(dialogue)は古代ギリシャ語から来ていて
言葉を通じてひととひとが交わり合うことを意味するらしい。
余談ですが、
宇宙飛行士の野口聡一さんがラジオで
「宇宙は逃げ場がないし、協力し合わないと地球に帰れないので、
気の合う仲間ではなくても気心を知っている方がいい」と。
「気の合う」と「気心を知っている」は異なり、
同じ考え方でなくてもお互いがどう考えているかやどう感じているかを
知っているし、ときにどちらかが譲歩し相手の考えを受け入れる、
つまり変わることを受け入れられるかどうかが宇宙でも地球でも
会社組織でも生き残っていくには必要のようです。
対話で相手と自分が違うことを楽しんでみましょう。