(2025.11.23修正加筆)
この機種、ヘッドフォンアンプ付きのDACとして良さそうだということはわかりながらも、やはり高いので、買うか買わないかを迷って結局のところ買わずじまいで数年が経過してしまいました。
その間に、ADI -2/4も登場したことでRMEのハイエンドから1つ下がった位置付けになりましたが、結局ADI-2 Pro FS R Black Edition(長いのでADI -2 Pro FSと略します)を入手しました。何年も迷った結果、結局買うならば最初から買っておけよ、という話ですが、そう簡単にズバッと決断できないのが「不惑の40」をとうに過ぎたおっさんの小市民感。
ちなみに、
”スタジオでのマスターAD/DAコンバーター、プロフェッショナル・マスタリング、オーディオ愛好家のリスニング環境まで、理想的なセンター・ピースとしてお使いいただけます”
というフレーズが代理店のホームページの中で謳われているのですが、
マスタリングする側の機材選びと、自宅で再生する側の機材選びって、選択の方向性が違うのではないですかね。
さすがにそれはないんじゃないの?
と思います。
まあ、それはあらためて別の記事としてブログで書くとして、まずは手に入れたADI -2 PRO FSの良いところ。
- ADもDAも地味にノイズとひずみを抑えた音作り
- 音質調整はDSPで処理
ひずみを抑えるって、装置固有の音に対する個性はほぼない(極めて薄い、極めて低い)ことを意味します。「よく鳴っている」とか「倍音が豊かに」とか、それって、要するに付加されたひずみによる変化です。
そしてDSPによる音の調整も、5ポイントのパラメトリックイコライザとラウドネス補正程度。ハイパス設定とローパス設定は可能だけど、12dB/Octのフィルターで2wayスピーカーをマルチアンプ駆動させるぐらいなら使えるかもしれないけれど、ディレイ設定もリバーブ設定もないのでスピーカープロセッサとしてもアコースティック調整にも使うには力不足です。(世の中広いので、ただ単にマルチアンプ駆動したいという物好きがいるかもしれませんが、)つまりはスピーカーやヘッドフォンのf特の調整程度が関の山。 凄く地味。
あとPCM /DSD関連のデジタルフィルターについては、DSPではなくDACチップ側のフィルタのようなのでADI-2 PRO FSの特徴ではないですが、これはDAの変換速度とインパルス応答性と位相と高域側のカットオフ特性の4つのバランスでどれを優先するかで選ぶもので、オーディオリスニングだったら私ならインパルス応答性と位相特性を優先して選んでいますが、、、、エンジニアリングというか作り手側だと、そうもいえない場合もありますよね。でも、ADI-2 PRO FSだから、という特徴でもなんでもないです。
そんな、地味な特徴の機材をDACで使う場合、コンバータを ヘッドフォン環境だと充分というか、完全に狙っています。
もちろん、ヘッドフォンを選びますが、f特に癖があっても、周波数による位相変化の少ないドライバーを搭載したヘッドフォンと組み合わせる前提で言えば、f特はPEQでアジャストして好みにフラットな特性にもにも、かまぼこ特性にも調整できるDSPがついていて、そのPEQもヘッドフォンの左右別々にアジャスト可能で、左右バランス、クロスフィード調整も可能。ヘッドフォンのドライバーの左右差や、人間の耳の左右の聴感のばらつきも補正できる。その上でバス/トレブル調整とラウドネス調整もついている。 地味だけど、ヘッドフォンリスニング前提で言えばほぼ作り込み切ってあります。
もしヘッドフォン環境でもっと残響不要して3D方向に立体感を出したいとか、そういう場合はそりゃヘッドフォンアンプ付きDACの領域ではありません(苦笑)
さて、RME ADI-2 Pro FS Rへのヘッドホン接続ですが、私はヘッドホンにMDR-CD900STを接続しています。MDR-CD900STは位相特性が良いとは言えないヘッドホンですが、まあ、10KHzぐらいまでであれば、問題ないです。ヘッドフォンとヘッドフォンアンプはアンバランス接続ですが、ケーブルは4線化して共通インピーダンスを下げています。
もともと私がヘッドホンのケーブルを4線化/バランスケーブル化したのは何年か前にifi ZENDAC V2を購入したときなのですが、その理由は、クロストーク低減(チャンネルセパレーション向上) と、S/N改善ですが、、、、 昔はチャンネルセパレーションにこだわっていた時代もありましたが、特に密閉型ヘッドフォンで聴くと、左右のセパレーションがはっきりし過ぎているソースは音として不自然だな、と感じるようになり、特にヘッドフォンでのリスニングでは拘るのをやめました。(厳密にはこだわるのをやめたのではなく、積極的に調整するようになった、という方が正しいです。)
ヘッドフォンリスニングだと、ほんの少しクロスフィードを入れてあげる方が、定位が自然になります。スピーカーで聴く前提のソースは、室内で左右のクロスフィードが発生する前提でソース自体、左右セパレーションさせるイメージでエンジニアリングされていますから、ヘッドフォンで聴くときにはその辺を意識していないといけないのかな、と(最近は)感じています。
ADI-2 Pro FS R Black Editionの歪み率はアンバランス接続でも(THD+N)が + 20 dBuの32 Ω負荷(1.9 W)で-118 dB、0.00011%。 S/N もアンバランス接続で、+1dB 出力で 118dB (120dBA)だ実用上は歪みを感じることはないです。もはやアマチュアレベルの計測器の測定限界を超えた世界の話。
それから、バランス/アンバランス両対応のヘッドホンアンプでバランス駆動するということは、4つのアンプを2組のBTL接続アンプにまとめてヘッドホンに接続することになるので、アンプの設計がそこそこであっても、BTL化したことで、アンバランス接続と比べてるとS/Nも改善するし歪みは小さくなります。(バランス化したとてS/Nは改善しませんね。コモンモードノイズはバランス化で相殺されますが、バランス化で出力は2倍になった結果、アンプ自体の熱雑音などのノイズの量も2倍になるから、素のS/Nは、、、、変わらんor若干悪くなるやん。)
もしヘッドホンアンプでバランスとアンバランスを聴き比べた場合の聴感として違いとして出てくる部分があるとしたら、増幅量を絞ってひずみが小さくなる程度かなぁ。ただ、重要なことは、バランス接続で音を出している時とアンバランスで音を出している時ではアンプの回路構成が全く別物になっていることを無視しでその音の変化を「ヘッドホンをバランス接続すると音が変わる」とありがたがっているのは、「なんだそれ?」です。いうのは当たり前な話です。(言葉を選び直しました)
この3連休、ADI-2 Pro FS R をいじり倒していました。ヘッドホンのバランス接続、アンバランス接続、ラインアウトのバランス接続、アンバランス接続、いろいろ取っ替え引っ替えしましたが、ヘッドホンもラインアウトも普通にアンバランス接続で充分いい音が出るってことがわかりました。そして、出てくる音は、かなりフラット。味も素っ気も何もない。でも、このフラットさが素晴らしい。イコライザーでコントロールする際に音の変化が素直。
一応、ADI-2 Pro FS R とヘッドフォンをバランス接続に変更してもノイズも歪みも、聴感上は、変化しないです。つまりは、ヘッドホンアンプ周りはほぼ限界に近いベストかつフラットな設計だからなおか、私の耳が力不足なのか、ヘッドフォンが力不足なのか、アンバランスでも全く不満がないという結論。



