ダム計画がゆらいでいる/2 地元の反対
◇住民はダムにほんろうされてきた
ダムの建設は、そこに住む人々の暮らしを大きく変える。土地や住宅がダム湖に沈み、住民は移転をよぎなくされる。「五木の子守唄」で知られる熊本県五木村では、川辺川ダムをめぐり住民が反対派と受け入れ派に二分された。村は1996年にダム建設に同意。村の高台に移転地がつくられ、村役場も学校も移転した。しかし、多くの住民が村を離れ、人口は約1400人と計画発表時(66年)の4分の1に減った。ダム建設が中止になっても、以前の村を取りもどすことはできない。
◇計画から約40年で取りやめへ
■大戸川ダム
滋賀県を流れる淀川水系の大戸川に1968年に計画された治水専用のダム。貯水量は2190万トン。当初は治水、利水、発電を合わせた多目的ダムだったが、水の利用の減少が見こまれることなどから2005年に国はいったん建設を凍結。07年に治水専用に計画を変更した。事業費は1080億円。費用の約3分の1を負担する滋賀、京都、大阪の3府県と三重県の4知事が2008年11月、計画をやめるよう国に求めることを発表。国土交通省(国の役所)も今年3月、建設を事実上、見送ることを決めた。
■川辺川ダム
日本三大急流の一つ、球磨川支流の川辺川に1966年に計画されたダム。貯水量1億3300万トンは九州最大級。当初は多目的ダムだったが、大戸川ダムと同様、利水と発電は消え、治水専用となった。事業費は3400億~3300億円。中心部がダムに沈む熊本県五木村では住民の移住などがすすめられてきた。しかし、2008年に地元の村長や市長がダム建設反対を明らかにしたのに続いて、熊本県の知事も9月に「清流を守りたい」などとして反対を表明。国も計画の再検討を約束した