【デザインは好きだけど、
広告は好きじゃないよね。】
電通系の広告代理店で
インターンに入らせてもらったとき、
面倒をみてくださった
女性社員さんから頂いた言葉で、
とっても、びっくりした。
“ コハさんは、
デザインは好きだけど、
広告は好きじゃないよね。 ”
そこまでプライベートの
話をした訳でもなかった。
(と思う)
というか、
そもそも、わたしの
「学歴」では
「新卒」でその会社には
就職ができなかったから、
(エントリーから、まず無理。笑)
就職どーこーとかは
まず一切、可能性がゼロだった。
10代の学生だった
わたしには、
ありがたい経験を
無料でさせてもらえている。
貴重なお時間を
頂いているのだから、せめて
少しでも役に立たなければ。
ちょっとくらいは
良かったと思って欲しい。
くらいにしか
考えられていなかった。
そして、きっと、
向こうが未来に雇う可能性のある
学生でもないから、
向こうからすれば
学校と会社の付き合い上で仕方なしの、
いわば「雑用」をまかせられる
バイト代わりみたいに扱われている
ものだと思っていた。
インターン終了時に
担当してくださった方から
頂いた手紙には、
“ コハさんは、
デザインは好きだけど、
広告は好きじゃないんだなと
思っていました。
だから、このインターンの間
広告を好きになってもらうことが
わたしのテーマでした。
達成できたでしょうか? ”
というような文面が
書かれていて、
凄い人っていうのは、
第一線で、
いい仕事をする人っていうのは、
こんなにも洞察力があって、
こんなにも、
手を抜いていいことすら
心を込めて動いてくださる
人なんだ。
って、
自分の視野の狭さと、
受けたものの広さにグワグワ揺れた。
「コハさんがどこかの会社で
3年くらい働いてから、
勤めてみたいって思ったら
応募してよ。」
って、
プラダを着た悪魔でいえば
ナイジェルみたいな、
切れ者だけどユーモアたっぷり、
みたいなキャラの
チーフが言ってくださって
大部分はお世辞というか、
きっと色を付けて
言ってくださったんだな。
と分かるくらいには、
自分を客観視できていたけれど、
“ わたしって
デザインは好きだけど
広告はきらいなのか?”
“ でも、あんな凄い人が
言うなら、
きっとそうなんだろうな。 ”
自分で気づいていなかった
穴みたいなものが
ばっくり口を開けていた。
当時は、(今もなのか?)
グラフィックデザイナーの花形、
憧れの職種といえば
広告代理店で、
電通か博報堂で、
アートディレクターこそ!で、
マスメディアの大きい企画、
でっかい広告費を
競合プレゼンで勝ち取るのが
世間を沸かすのが、風を変えるのが
かっこいい!!
みたいな感じで、
でも、わたしは
そういうことに燃える自分は
いまいち想像できなくて
いったい、自分は
どこに就職するのかなあと
他人事のようにボンヤリしていた。
好きなもの。
イヤなことがあっても続けられるもの。
得意なもの。
わたしにとって、
それって何なんだろう。
学校の先生たちは、
海外に出るといいとか、
アートディレクターを目指しなさいとか、
色んな期待を
かけてくださったけれど、
わたしはそこに
火が灯る感じは見えなくて、
自分の熱源は感じられなかった。
当時のわたしは
デパートのコスメブランドに
いちばん憧れていて、
中でもBOBBI BROWNが好きで、
なぜなら美容家の
大高博幸さんの本が大好き
だったからで、
ドキドキしながら新宿の伊勢丹の
黒いカウンターに立ち寄ったりして、
でもBAさんたちが
みんな大高さんのような人たち
ではない、ということに
ショックを受けたりしていた。笑
そして、これは
ほんとうに「好き」なのか、
それとも、
広告によって
わたしが「好きにさせられた」ものなのか、
分からなかった。
結局、そこから
Web制作会社に入社が決まって、
相変わらずわたしは
自分のデザイン力のなさに
うんざりしながら、
休憩をもらって本屋に通って
洋書をめくって気分を上げたり笑、
暇な休憩時間は要素別で
何千サイトもブックマークに保存して
デザインストックをしたり、
山手線に乗って広告やデザインを見たら
すぐターゲットは誰で、何を
狙うコピーなのか、デザインの要素分解を
するようになって、
21歳のとき、BOBBIの
リニューアルからECサイトの
デザインに入らせてもらうことになって、
ホリデー商戦の競合プレゼンにも
デザインを作らせてもらって
「勝てたよ!」ってディレクターさんから
連絡を頂いたり、夢みたいだった。
結局、BOBBIのサイトに関わって
ブランドを立ち上げた
ボビィさんの思想に触れるほど、
“ BE WHO YOU ARE ”
ますますブランドが好きになったし、
ああ、どおりで
大高さんが絶賛するわけだな。
って思う世界だった。
それから3.11もあって、
お世話になった会社を5年で辞めて、
その後、まさかの
ボビィさんがご自分の名を冠した
BOBBI BROWNから撤退して、
黒一色だったBOBBIが
パッケージからカラフルに変貌していき
きっと日本市場における
売上はすごく上がっているんじゃないか
と思うんだけど、
なんだかわたしは、少しさみしかった。
広告がわるいわけじゃないのだけど、
マーケティングの素晴らしさを
知っているつもりで、
やっぱりまだ、わたしのなかに
潔癖めいた抵抗がいるような気がする。
でもボビィさんは契約を終えて
拘束期間も終えて、
ご自分のあらたなブランド
「Jones Road」まで60歳にして
始めてしまった。
さすが10本のリップスティックで
自宅のキッチン配送から始まって
有名デパートの伝説を作った方だ。
より多くの人に届けること。
より売れる(喜ばれる)ようにすること。
この大切さは、分かる。
なんだけど、
なんだか、ここが全てになっている気がして
SNSをみていると少し、さみしい。
かといって、
自分のエゴだけを貫きたいわけでもなくて
だけど、その毒や棘や我が
香っていてほしくて
AIがこれほど、これからも指数関数で
増えていくなら、
かえって良い塩梅で、温度で
まとわせられて、
今まででは出会えなかった求める人にも
より届けられるようになるのじゃないかな
その匙加減を探り、調合して
いっしょに作っていきたいな、と
デザインと広告のはざまに思います
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