1969年度のサンレモのコンピのLPはキングから発売された2枚組とコンパクト盤3枚、だけでRCAイタリアーナから5人、ドゥリウムは4人、リフィとフィリップスは3人出場したにもかかわらず日本ビクターからは発売されませんでした。
カッコ内はイタリア人歌手ですが、各社の出場歌手数は以下の通りです。比較的満遍なく割り振られている状況、反対にいえばアルバムを作るだけのオリジナル歌手がそろわなかったことになります。
Ricordi 7 (7) 、 CGD 6 (5) 、 RCA Italiana 6 (5) 、 Fonit-Cetra4 (4) 、 Durium 4 (4) 、 Ariston 4 (4) 、 RI-FI 4(2) 、 Carosello 3 (3) 、 SAAR 3 (2) 、 Phonogram Italiana 2 (2) 、 EMI ITALIANA 2 (1) 、 DET 1 (1) 、 MIURA1 (1) ※( )内はイタリア人歌手の数
アリストンとミウラは日本で契約会社がなく、アリストンの場合は68年に日本コロムビアからオルネラ・ヴァノーニとアンナ・イデンティチが発売されていますが、一本買だったため69年は無契約状態でした。
キングはリコルディ7、CGD5、フォニット・チェトラ4、カロセッロ3、カム(デット)1の21人の歌手のオリジナル曲とカヴァー曲で28曲の2枚組のサンレモ音楽祭のコンピレーションを出しました。
「サンレモの歌手たち」のフランス・ギャルの項で書きましたように、ギャルの“雨”のライツはCGDが持っていたにも拘らず、日本(ギング)では発売されませんでした。私も今回彼女の項を書くまでは、69年初頭の頃まではフランス・フィリップスに在籍しているものと思い込んでいました。
キング側(河合秀朋さん)がフィリップスから離れていることを、知っていたのか、知らなかったのか今となってはわかりませんが、仮に知っていたとして、ジリオラ・チンクェッティを守るためフランス・ギャルの“雨”を発売していたかどうか疑問が残るところです。
外人歌手の場合、マリアンヌ・フェイスフルやティミ・ユーローのようにイタリアのレコード会社との契約と、本国と日本のレコード会社の契約が異なりますので、きっとキング・レコードは、フランス・ギャルはフィリップスの歌手と思っていたと言うことで納得しておきましょう。
GW- 17 〜 8 (1969 年 5 月 20 日 SEVENSEAS - キング ) 30cm 2LP 第19回サンレモ音楽祭 ( FESTIVALDI SAN REMO 1969 )
1- 1 . 涙のさだめ (ZINGARA) ボビー・ソロ (vm)
1- 2 . 雨 (LA PIOGGIA) ジリオラ・チンクェッティ (vf)
1- 3 . 恋の遊び (IL GIOCO DELL'AMORE) ジョニー・ドレルリ (vm)
1- 4 . 冒険 (UN'AVVENTURA) ルチオ・バティスティ (vm)
1- 5 . 恋の終り (ALLA FINE DELLA STRADA) ジュニア・マッリ (vm)
1- 6 . 女性が最高 (LE BELLE DONNE) ロベルティーノ (vm)
1- 7 . 愛の詩 (QUANDOL'AMORE DIVENTA POESIA) クラウディオ・ビルラ (vm)
1- 8 . 消えたほほえみ (UN SORRISO) ドン・バッキー (vm)
1- 9 . 恋のズッケロ (ZUCCHERO) リタ・パヴォーネ (vf)
1-10. 過ぎ去ったひととき (UN'ORA FA) トニー・デル・モナコ (vm)
1-11. しのび泣く今宵 (MEGLIO UNA SERA (PIANGERE DA SOLI)) クラウディオ・ビルラ (vm)
1-12. 君だけのぼく (IO CHE HO TE) ニュー・トロルス (compl)
1-13. バダ・バンビーナ (BADABAMBINA) セルジョ・レオナルディ (vm)
1-14. 瞳はるかに (LONTANO DAGLI OCCHI) フランコ・セイ (vm)
2- 1 . 瞳はるかに (LONTANO DAGLI OCCHI) セルジョ・エンドリゴ (vm)
2- 2 . 恋の遊び (IL GIOCO DELL'AMORE) カテリーナ・カセルリ (vf)
2- 3 . 恋のズッケロ (ZUCCHERO) ディク・ディク (compl)
2- 4 . バーチ・バーチ・バーチ (BACI, BACI, BACI) ウィルマ・ゴイク (vf)
2- 5 . 愛のだんらん (UNA FAMIGLIA) メモ・レミージ (vm)
2- 6 . なんて寒い (MA CHEFREDDO FA) ロサルバ・アルキレッティ (vf)
2- 7 . 雨 (LA PIOGGIA) ガブリエラ・マルキ (vf)
2- 8 . 消えたほほえみ (UN SORRISO) ミルバ (vf)
2- 9 . 愛の詩 (QUANDO L'AMORE DIVENTA POESIA) マッシーモ・ラニエリ (vm)
2-10. ピッコラ・ピッコラ (PICCOLA PICCOLA) カルメン・ヴィラーニ (vf)
2-11. 愛の妙薬 (COSA HAI MESSO CAFFE') リカルド・デル・トゥルコ (vm)
2-12. 沈んだ太陽 (IL SOLE E' TRAMONTATO) エリオ・ガンドルフィ (vm)
2-13. 恋人だった (SE TU RAGAZZO MIO) アンブラ・ボレルリ (vf)
2-14. 涙のさだめ (ZINGARA) アイーダ・ノーラ (vf)
GW- 17 〜 8 PS- 123
PS- 123 (1969 年 4 月 SEVEN SEAS - キング ) 17cm CP 第19回サン・レモ音楽祭第1集 (FESTIVAL DI SAN REMO 1969 Vol.1)
1 . 涙のさだめ (ZINGARA) ボビー・ソロ (vm)
2 . 消えたほほえみ (UN SORRISO) ミルバ (vf)
3 . ズッケロ (ZUCCHERO) リタ・パヴォーネ (vf)
4 . 過ぎ去ったひととき (UN'ORA FA) トニー・デル・モナコ (vm)
PS-124 (1969 年 4 月 SEVEN SEAS - キング ) 17cm CP 第19回サン・レモ音楽祭第2集 ( FESTIVALDI SAN REMO 1969 Vol.2 )
1 . 雨 (LA PIOGGIA) ジリオラ・チンクェッティ (vf)
2 . 愛の詩 (QUANDO L'AMORE DIVENTA POESIA) マッシ ー モ・ラニエリ (vm)
3 . 恋の遊び (IL GIOCO DELL'AMORE) カテリ ー ナ・カセルリ (vf)
4 . 愛の妙薬 (COSA HAI MESSO CAFFE') リカルド・デル・トゥルコ (vm)
PS- 124 PS- 125
PS- 125 (1969 年 4 月 SEVEN SEAS - キング ) 17cm CP 第 19 回サン・レモ音楽祭第 3 集 ( FESTIVAL DI SAN REMO 1969 Vol.3 )
1 . 瞳はるかに (LONTANO DAGLI OCCHI) セルジョ・エンドリゴ (vm)
2 . しのび泣く今宵 (MEGLIO UNA SERA (PIANGERE DA SOLI)) クラウディオ・ビルラ (vm)
3 . ピッコラ・ピッコラ (PICCOLA PICCOLA) カルメン・ヴィラーニ (vf)
4 . 君だけのぼく (IO CHE HO TE ニュー・トロルス (compl )
コンパクト盤もキング一社のみで、このコンパクト盤はLPに収録されている曲とすべて重複して必ずしも買う必要もなかったので、案外レア的存在になっているかもしれません。
もう1枚紹介する盤は、イタリア本国ではよくある形式なのですが、演奏による各年度の曲を紹介するLPです。イタリアの各レコード会社はサンレモ音楽祭に参加する、しないに係らずサンレモ音楽祭の曲で色々なレコードを出し、商売にしています。
これが国営放送局と音楽著作権組織の本来の目的でした。サンレモ音楽祭の曲で如何にイタリア音楽産業のすそ野を広げ、繁栄させていくかと言うことです。
日本コロムビアからでた盤はオルガン、まだキー・ボードが一般的でなく電気を使ったハモンド・オルガンが普通に使われ、このLPも安上がりなこの楽器を使っています。レコード会社はミーナがデビューしたイタル・ディスクですが、彼女が抜けた後はこれと言った歌手も育たず、以前の零細レコード会社に戻ってしまいました。
YS- 2155 ・ LT (1969 年 6 月 COLUMBIA - 日本コロムビア )30cmLP ムード・イン・サンレモ’69 (FESTIVAL DISANREMO 1969) ディノ・コキーニ (DINO COCCHINI(og))
1 . 涙のさだめ (ZINGARA)
2 . 瞳はるかに (LONTANO DAGLI OCCHI)
3 . 愛の詩 (QUANDO L'AMORE DIVENTA POESIA)
4 . 過ぎ去ったひととき (UN'ORA FA)
5 . 愛の妙薬 (COSA HAI MESSO CAFFE')
6 . バダ・バンビ-ナ (BADA BAMBINA)
7 . 美しき君 (TU SEI BELLA COME SEI)
8 . 消えたほほえみ (UN SORRISO)
9 . ピッコラ・ピッコラ (PICCOLA PICCOLA)
10. 恋の遊び (IL GIOCO DELL'AMORE)
11. 雨 (LA PIOGGIA)
12. 冒険 (UN'AVVENTURA)
13. なんて寒い (CHE FREDDO FA)
さて、これで1969年第19回サンレモ音楽祭も終了です。
この19回を書き始め、約1年経ってしまいました。私ごとですが、有料老人ホームに入居することが決まり、引越しの準備を始め、住んでいるマンションを売却する手配をし、それぞれを実行するために、長期間のお休みを頂きました。
昨年秋に老人ホームに入居後も、後片付けに追われ、今年になって定期的に書けるようになりました。ただ、時代がすすみ、残された資料も多くなるにつれ、1回に書く準備はほぼ3日かかります。絶えず原稿書きに追われている状態で、今後はもっとアップするペースを落とすことも考えておりますが、もう少し頑張ってみようかとも思っております。