サンレモ音楽祭が1964年(第14回)から外人歌手とパートナーを組み、国際音楽祭に進化してから3年目となりました。出場曲24曲で48枠ある内の半分を外人歌手に取られてしまうのですから、イタリア人歌手から死活にかかわることで、大きな不満が出るのは当然のことでした。
イタリア人歌手の不満を和らげるために、16回からは7枠(正確には6枠)がイタリア人同士の組合せに変更されました。この形はダブル・キャスト方式が終わるまで続きました。
1枠の違いはスーダン生まれのジーノ(Gino)はイタリアで活動していましたが、レコードはヤードバーズと同じリコルディ・インターナショナルからリリースされています。実行委員会も歌手たちに説明するときは、イタリア人、外人どちらでもいける都合のよい「玉虫色」の存在だったと思います。
 
 
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      カテリ-ナ・カセルリ (CGD)             ルチオ・ダルラ (ARC)
 
第16回 1966年1月27日()~29日() サンレモ市カジノ付属劇場
司会:マイク・ボンジョルノ (Mike Bongiorno)、パオラ・ペンニ(Paola Penni )、カルラ・M.プッチーニ( Carla M. Puccini)
楽団指揮: 21名の指揮者で演奏された。

オーガナイザー:
サンレモ市ホテル観光協会 (ATA-Azienda Turistico Alberghiera)、監督ジャンニ・ラヴェーラ (Gianni Ravera)
形式:出場曲数26曲を各曲外国人歌手またはイタリア人歌手とパートナーを組み1曲2歌唱で第1夜、第2夜に13曲を歌い、各夜の中から7曲の入賞曲を選出し、入賞曲を発表する。
 
出場歌手は47歌手(グループは1歌手)で、初出場26歌手(内外人12歌手)、出場レコード会社17社で初出場3社、外人歌手のみの出場会社はBLUE BELLだけです。  []は外人歌手数
CGD 8 [4]RICORDI 7 [4]SAAR 5 [2]FONIT CETRA 4 [0]V.C.M. 3 [1];新Clan Celentano 3 [0] RCA ITALIANA 2 [0]RI FI 2 [0]Meazzi 2 [0]PHONOGRAM 2 [1]ARISTON 2 [1]BLUE BELL 2 [2]CAROSELLO 1 [0]CARISCH (MRC) 1 [0] STYLE (PHONOCOLOR ) 1 [0]; 新VEDETTE 1 [0]; 新EDIBI 1 [0]
●不参加 DURIUM

   

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    ボビ-・ヴィントン (EPIC)           アンナ・マルケッティ (MEAZZI)         
 
 
この年の決定的な特徴はバンド(グループ)と長髪スタイルが出場した年でした。当時サンレモ音楽祭はイタリア最大の音楽イベントでした。また唯一の国営放送RAIのお化け視聴率(聴取率)の番組でもありました。新しいものを取り入れる時は、国民的同意を得られる状態になるまで採用しませんので(NHKの紅白歌合戦と同じ)、サンレモ音楽祭に出場できたことは、一般的視聴者に認知される状態になったとも言えます。
サンレモの曲は、新曲の発表で、社会的認知された年が特定できる「標準化石」な存在でもあります。1961年アドリアーノ・チェレンターノがロック・ン・ロールの曲を歌い、優勝こそしませんでしたが、第2位になり大ヒットしたのが代表例だと思います。
 
 
<優勝> 愛は限りなく Dio, come ti amo! (D.Modugno) 出版社 CURCI <77> ドメニコ・モドゥニョ (vm) Domenico Modugno Curci – CaroselloSP-1014 [45] ジリオラ・チンクェッティ (vf) Gigliola Cinquetti CGD – CGDN-9605 [45]
 
SP-1014イメージ 27 イメージ 28HIT-1381
 
        N-9605イメージ 29 イメージ 30HIT-1323
 
<入賞曲>
◇青春に生きる Nessuno mi può giudicare (D.Pace - M.Panzeri - L.Beretta - M.Del Prete) 出版社 <31> ARION カテリナ・カセルリ (vf) Caterina Caselli CGD – CGDN-9608 [45] ジン・ピットニ (vm=a) Gene Pitney Musicor – CGDMR-6021 [45]
 
 N-9608イメージ 31 イメージ 3HIT-1323
 
MR-6021イメージ 4 イメージ 5LL-   912MR
 
花のささやき In un fiore Mogol - C.Donida) 出版社 R.R.R. ウィルマ・ゴイク (vf) Wilma Goich Ricordi - RicordiSRL-10415 [45] レ・サーフ (coro=f) Les Surfs (Festival. - CGDFX-133 [45]
 
SRL-10415イメージ 6 イメージ 7HIT-1324
 
       FX-133イメージ 8 イメージ 9LL-   892F
 
青空に住もう Una casa in cima al mondo (V.Pallavicini - P.Donaggio) 出版社 ACCORDO <19> クラウディオ・ビルラ (vm) Claudio Villa (Cetra – Fonit CetraSP-1296 [45] ピノ・ドナッジォ (vm) Pino Donaggio Columbia - V.C.M.SCMQ-1902 [45]
 
SP-1296イメージ 10 イメージ 11HIT-1326
 
     SCMQ-1902イメージ 12 イメージ 14OR- 1494
 
ウィーンのバラ Una rosa da Vienna (G.Guarnieri - B.Lauzi) 出版社 ARISTON <14> アンナ・イデンティチ (vf) Anna Identici Ariston – AristonAR-0111 [45] ニュー・クリスティー・ミンストレルス (coro=a) New Christy Minstrels CBS - Ricordi2162(CBS) [45]
 
AR-0111イメージ 15 イメージ 16FON- 1054
 
2162(CBS)イメージ 17 イメージ 18LL-   891C
 
生命をかけて (命をかけて) Io ti darò di più (A.Testa - M.Remigi) 出版社 D'ANZI <11> オリエッタ・ベルティ (vf) Orietta Berti (Polydor – PhonogramNH54-827 [45] オルネラ・ヴァノニ (vf) Ornella Vanoni Ricordi - Ricordi1346(CBS) [45]
 
NH54-827イメージ 19 イメージ 20DP-1476
 
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入賞曲の残りは次回に続く
 
 
トリオ・デル・クラン (CLAN)
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イコ・チェルッティ             ジーノ・サンテルコーレ           ピラーデ (ロレンツォ・ピラート)
 
 
 クラン・チェレンターノ(CLAN CELENTANO)、初出場のレコード会社で一番注目された会社でした。会社というか歌手というか、初めに書いたアドリアーノ・チェレンターノが5年ぶりのサンレモ出場、しかも自分の会社からでした。ミーナとともに「アンチ・サンレモ」派と思われていましたが、62年にサール(SAAR)から独立、クラン・チェレンターノ(CLAN CELENTANO)を興しています。ロック・ン・ロールの牙城ができ、多くの「子分」を抱えることとなり、彼らを売出すため再度サンレモ音楽祭に出なければならない状況になったようです。
 それにしても新興会社で彼本人以外、バーターで2枠取れるのはチェレンターノ以外にはなかったでしょう。パートナーは彼の個性が強烈で、その後のセールスが望めず、まともにパートナーを務めたのはリトル・トニー(Little Tony)とミルバ(Milva)だけで、今回は子分3人が1度だけのトリオを組み、70年の優勝曲“働かない者は恋するな(Chi non lavora non fa l'amore)”は奥さんのクラウディア・モーリ(Claudia Mori)、71年の“シーツの下(Sotto le lenzuola)”もこれまた自社のミラノ・アルプス合唱団 (Coro Alpino Milanese)でした。
 クラン・レーベルは現在も活動していますが、新人だったアルバーノやベテランのフレッド・ボングストなどは一度所属しましたが、多くの歌手同様チェレンターノと喧嘩をし、出て行ってしまいました。
 
 
 
・優勝・入賞曲と参加曲を含め全体を言う場合、出場曲と表現します。
・順位をつけない入賞曲の頭には""を、参加曲の頭には""を付けます。
・太字は国内盤で出ていた曲と歌手。
・サンプル音声ファイルは著作権侵害を避け、なるべくAmazon MP3のサンプル音声を利用します。昔のイントロは長く、歌が出ないまま終わる曲があります。全曲聞きたい方はYou-Tubeを探してください。見つかることもあります。