前回の「サンレモの歌手たち オルネラ・ヴァノーニ 1」で彼女が一般的な人気が出たのは、ジーノ・パオーリの曲を歌ったのと、この「ルガンティーノ」でヒロイン、ロゼッタ(Rosetta)役をしたからだと思います。
 私がミュージカル「ルタンティーノ」の事をブログに「今宵はブルーノ・マルティーノ」というタイトルで書いたのは、ブログを始めて間もない頃でした。イタリア・ジャズ・ヴォーカルの定番曲“夏 (エスターテ Estate)で有名になった彼がルガンティーノに出演していたと思い込んでいたのです。ただ方向違いであっても強ち的外れではなかったようです。
 
7MQ-1814 (1963 V.d.P. – V.C.M.) Roma nun fa la stupida (ロ-マよ今夜はふざけないで)Papetè tamurè
 
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1990年代に入り国内でも“ローマよ”のオリジナル・キャスト版が出るようになり、ブルーノ・マルティーノの初の国内盤となるかと思っていました。ルガンティーノ役はニーノ・マンフレディ(Nino Manfredi)でした。前フリはこの辺りで、本題に入りましょう。
 
 “ルガンティーノ(RUGANTINO)” イタリアを代表するミュージカル・コメディで、イタリアでは何処かで誰かが再演している1962年初演の作品。当初はガリネイ(Pietro Garinei)とジョヴァンニーニ(Sandro Giovannini)の台本とされていましたが、近年では映画版も含めパスクァーレ・フェスタ・カンパニーレ(Pasquale Festa Campanile)、マッシーモ・フランチョーザ(Massimo Franciosa)も原作表示され、音楽は日本で映画のサントラでもお馴染のアルマンド・トロヴァヨーリ(Armando Trovajoli,)が担当しています。
 あらすじですが、私は映像で見たことが無く、配役の人間関係が良く分かっておりません。KICP- 2159“カンツォーネの歴史1200-1900”の解説を引用しますと『ローマの有名な物語を基にした、ナポレオン時代のローマの下町を舞台に庶民の英雄のアンチャンが大暴れする恋とアクションの痛快劇』となっていますが、余り役立ちそうもありませんね!
ヴァレリオ・マスタンドレア(VALERIO MASTANDREA)の“Speciale Rugantino”のシノップス(http://www.valeriomastandrea.com/speciali/rugantino.html)をご参考いただければと思います。
 
 実は私は大きな誤解をもう一つしていました。ルガンティーノは“Lugantino”でスイスのルガーノ(イタリア語地区)から来た若者がローマで活躍する話か?と。日本人は「R」と「L」は苦手です、特にカタカナで書くと区別がつきません。「虚勢を張る人(チョット言葉足らずか)」だったのですね。日本だと「助六」と言うところでしょうか。
 
 ルガンティーノで有名な曲が少なくとも2曲、日本で紹介されています。第1部フィナーレで全員が歌い継ぐ“ロ-マよ今夜はふざけないで”あるいは“ローマの灯”と言われている“ROMA, NUN FA' LA STUPIDA STASERA”と、もう1曲あまりこのミュージカルの曲と思われていない“ローマのチュマケッラ”または“恋するローマのおてんば娘”の邦題がついた“CIUMACHELLA DE TRASTEVERE”です。
 
 “ロ-マよ....”が初めて日本に紹介されたのはロベルティーノ(Robertino)の歌ではないかと思っています。
 
KR- 7098 (19648KAPP -東芝音楽工業) 30cm LP カタリ・カタリ(薄情) (CORE 'NGRATO)
13. ロ-マよ、今宵は戯れないで (ROMA, NUN FA LA STUPIDA STASERA)
 
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MH- 199 (19656SEVEN SEAS - キング) 30cm LP一緒にカンツォーネを歌おう第4集 (LE PIU' BELLE CANZONI Vol.4)
.ロ-マよ今夜はふざけないで (ROMA, NUN FA LA STUPIDA STASERA)
この盤で本命オルネラ・ヴァノーニ(Ornella Vanoni)の歌が紹介されます。この解説で既にヴァノーニが「主演」とされています。事実、ロゼッタ役で主演女優をしていますが、彼女が初演のロゼッタではなかったようです。
 
●初演の配役 1962年12月15日~
・ルガンティーノ(Rugantino)=ニーノ・マルフェルディ(Nino Manfredi)後トニ・ウッチ(Toni Ucci)に交代
・マエストロ・ティッタ(Mastro Titta)=アルド・ファブリッツィ(Aldo Fabrizi
・ロゼッタ(Rosetta) =レア・マッサーリ(Lea Massari後オルネラ・ヴァノーニ(Ornella Vanoni)に交代
・エウゼビア(Eusebia)=ビーチェ・ヴァローニ(Bice Valori)後アンジェラ・ルーチェ(Angela Luce)に交代
・グネッコ(Gnecco)=ファウスト・トッツィ(Fausto Tozzi
・ドン・ニッコロ・パリテッリ(Don Niccolò Paritelli)=トニ・ウッチ(Toni Ucci)
・語り部=ランド・フィオリーニ(Lando Fiorini.
 
初版 イメージ 4 ブロードウェイ版イメージ 5
 
 
●ニューヨーク・ブロードウェイ公演の配役 1964年2月5日、6日~29日(28回+プレビュー1回)
・ルガンティーノ(Rugantino)=ニーノ・マルフェルディ(Nino Manfredi);代トニ・ウッチ(Toni Ucci)
・マエストロ・ティッタ(Mastro Titta)=アルド・ファブリッツィ(Aldo Fabrizi);代レンツォ・パルマー(Renzo Palmer
・ロゼッタ(Rosetta) =オルネラ・ヴァノーニ(Ornella Vanoni);代フランカ・タマンティーニ(Franca Tamantini
・エウゼビア(Eusebia)=ビーチェ・ヴァローニ(Bice Valori);代アンジェラ・ルーチェ(Angela Luce)
・グネッコ(Gnecco)=レンツォ・パルマーRenzo Palmer;代ゴッフレド・スピナーディ(Goffredo Spinedi
・ドン・ニッコロ・パリテッリ(Don Niccolò Paritelli)=トニ・ウッチ(Toni Ucci)
・語り部=ヌンツィオ・ガロ(Nunzio Gallo
 
●第2版公演の配役 1978年12月18日~
・ルガンティーノ(Rugantino)=エンリコ・モンテサーノ(Enrico Montesano
・マエストロ・ティッタ(Mastro Titta)=アルド・ファブリッツィ(Aldo Fabrizi
・ロゼッタ(Rosetta) =アリダ・ケッリ(Alida Chelli
・エウゼビア(Eusebia)=ビーチェ・ヴァローニ(Bice Valori
・グネッコ(Gnecco)=グラウコ・オンクラート(Glauco Onorato
・ドン・ニッコロ・パリテッリ(Don Niccolò Paritelli)=チェザーレ・ジェッリ(Cesare Gelli
・語り部=アルド・ドナーティ(Aldo Donati
 
第2版 イメージ 6  第3版イメージ 7
 
●第3版公演の配役 1998年12月22日~
省略(画像ご参照)
 
第3版は1998年に上演され、その間、1973年にはアドリアーノ・チェレンターノ(ADRIANO CELENTANO)のルガンティーノ、チェレンターノの奥さんクラウディア・モーリ(CLAUDIA MORI)のロゼッタで映画版も作られました。三つのエディションとブロードウェイ公演にはそれぞれオリジナル・キャストのアルバムが作られています。オルネラ・ヴァノーニが何時からロゼッタ役として登場しかは、次回リリースされたアルバムを見ながら探っていきましょう。