天side


ずっと理佐さんが好きだった。





欅に入る前から私はアイドル渡邉理佐のファンだった。

でもグループに入って本物の渡邉理佐さんの優しさに触れて

どんどん好きになっていた。




正直欅の選抜から落ちた時も、

平手さんがグループから離れる時も

理佐さんがいなかったら、尾関さんがいなかったら

どうなってたんだろう。





それに、コロコロ変わる彼女の表情は

たくさんの人を魅了している



私もその1人。



私たちの前に見せるお姉さんの表情。

雑誌のお仕事で魅せる妖艶な表情。

1期生の前で見せるくしゃくしゃの幼い表情。



でもそれと同じくらい私と同じように

理佐さんが私を見てくれていないのも分かっている。


これだけ一緒に活動していれば

ずっと理佐さんの側にいれば

誰でも分かるくらい分かりやすかった。


もしもこの恋が実るならと何度も考えたけど

いつも辿り着く結論は

絶対に埋まらない年齢差はあっても

そんなの気にならないほど好きでいる自信がある、だった。



なのに肝心な理佐さんが誰を想っているのかは分からない。


でも、

夏鈴と話す時の理佐さんは甘えんぼうさが増すし

小林さんに話しかけられた時なんて目尻が溶けそうになってる

菅井さんや尾関さん、原田さんと戯れてる時は

無邪気、なんかで抑えられるものじゃなくてほぼ5歳児。


そんな表情見た事ないってくらい色んな表情をする。


私に向ける好きは恋愛の好きじゃないことも

特別な好きじゃないこともわかってる。

だけど諦められないんだ。








理佐さん、好きです。恋愛的に好きなんです。













「ありがとう。でも、その想いには応えられない。ごめんね。」





え??





「声に出てた。勝手に聞いちゃったならごめん。こっちをじーって見てたから気になって、それで聞こえちゃった。」






最悪の形だ。でも、良かったかも、

このまま突き放してくれれば振り切れる。



「ごめんなさい。気持ち悪かっ「そんなことない。好きって言われてそんな風に思う訳ない。嬉しかったよ。」


食い気味でそんな素敵なこと言わないでよ。

また好きになっちゃうじゃん。


「ありがとうね。嬉しい。本当だよ。これからもよろしくね。」


あぁこの人を好きになれて良かった。

絶対に人を傷つけない。中途半端に同情なんかもしない。

気持ちをまっすぐに言葉に変えられる。

そんな人に虜にならない訳ないじゃないか。

きっとこれが本物の初恋なんだ。

この初恋は間違えてなんかなかった。



その時流した涙はしょっぱくて、




なぜかすごく酸っぱかった。