12月6日、第一生命経済研究所常務取締役
首席エコノミスト 嶌峰義清さんによる定例講演会が開かれました。
1.世界経済動向
〇企業景況感は米国・欧州・中国とも方向感・水準感とも踊り場
〇日米とも在庫調整段階にあるが出荷は底堅く、景気は小さな減速局面
2.物価動向
〇世界的なインフレ傾向はエネルギー価格のピークアウトにより終息へ
〇米国・欧州では労働需給の超逼迫状態が続き、潜在的な賃金上昇圧力は残存
〇日本では円安が継続していることから米欧と異なり消費者物価は低下せず
3.各国景況感等
日本
〇企業景況感:輸出は持ち直しているが在庫調整は継続。現状の企業景況感は良好だが、過去2年間の好調な実績への警戒感から今後の利益見通しは慎重。
〇労働需給の逼迫感は過去最高レベルに近づき、特に不足感の強い中小企業ではDX導入等の根本的な対策が必須
〇個人消費:物価上昇に賃金が追い付かず、消費支出は抑制気味
〇今後の金融政策:安定的に2%を超える物価上昇が確立できるかの判断は現状では微妙であり、政策当局は今後の賃上げ・為替動向を注視
米国
〇個人消費:賃金上昇に伴い個人消費は好調だが、金利上昇は消費者マインドにマイナス影響。加えて住宅需要は住宅ローン金利の急上昇により急減速。こうした要因から景気先行指標は今後の景気減速を示唆。
〇米国FRBはこれまでの利上げ効果を認識しつつあり、金利引き上げは最終局面か
中国
〇内需中心に景気回復が期待されていたが若年層の雇用低迷もあり、期待外れに
〇外需・設備投資とも鈍化傾向で今後の経済運営には厳しさが増すとの観測
4.各国経済見通し <(株)第一経済研究所 11月予測 単位;%、>
2023 2024
米国 +2.4 +1.5
ユーロ圏 +0.5 +0.7
日本(年度) +1.3 +0.7
インド(年度) +6.3 +6.3
中国 +5.2 +4.8 +4.8 以上