去る5月24日、東京大手町にて定例のセミナーを開催いたしました。今回は相続税法改正に関して久保 博税理士、続いて第一生命経済研究所常務取締役 首席エコノミスト嶌峰義清さんの講演という2部構成になりました。嶌峰先生の講演内容をお伝えします。
1.世界経済動向:
〇ロシアのウクライナ侵攻による資源不足・米欧中央銀行による金融引き締めにより
23年春迄は景気失速リスクが上昇
〇中国でのゼロコロナ政策解除・欧州での暖冬傾向が上記懸念を打ち消し
〇現状ではエネルギー価格騰勢は一巡し、グローバル規模で非製造業部門企業の景況感はで回復
2.物価動向
〇エネルギー価格のピークアウトにより日米欧の物価上昇傾向には終息の兆し
〇一方で米国中心に賃金上昇には歯止めがかかっておらず、インフレ再燃の可能性は残存
3.各国景況感等
日本
〇企業景況感:非製造業は回復、製造業は低下。
〇物価見通し:これまでの物価上昇の主因たるエネルギー価格・輸入物価は今後下落に転ずる見込み大
〇今後の金融政策:物価上昇が安定的に2%を超える見通しが立たないため、現行政策維持の見通し
米国
〇労働需給は超逼迫→賃金上昇は継続。物価高により消費者マインドは停滞し、徐々に消費に悪影響
〇住宅ローン金利の急上昇により住宅需要は鈍化
〇今後の金融政策:物価上昇に歯止めがかかるまで利上げを継続。利上げの効果による景気の鎮静化が指標で裏付けられるかが、今後の金融政策のカギ。
欧州
〇米国同様に物価高から消費者マインドは停滞し消費に悪影響
中国
〇ゼロコロナ政策解除により内需中心に景気回復。一方で輸出には不透明感。
4.(株)第一経済研究所各国経済見通し
<単位;%、2月作成、カッコ内は前回(11月)予測値>
2023 2024
米国 +0.9 (+0.7) +1.5
ユーロ圏 +0.8 (▲0.1) +1.6
日本(年度) +0.9 (+1.0) +1.4
インド(年度) +5.6 (+5.6) +6.2
中国 +5.3 (+4.1) +5.1
以上