8月31日火曜日に第39回嶌峰会を開催いたしました。

講師は嶌峰義清さん(第一生命経済研究所常務取締役首席エコノミスト)です。今回も対面で実施ができて大変喜ばしいことです。会場は大手町ファーストスクエアです。

 

 

 

 

 

 

 

 

物価:世界的に物価高騰が大きな問題に​

米欧のインフレ率は9%、日本は2%付近

 

いわゆる“良い物価上昇”と“悪い物価上昇”がある​。

物価も上がるが給料も上がるのでそこまで生活が苦しくない。→良い物価上昇ディマンドプル・インフレ

しかし日本は給料が上がらないにもかかわらず物価が上がった。→悪い物価上昇コストプッシュ・インフレ

金利が上がる国は通貨価値が上がりやすい。日本の金利が相対的に低いので海外へお金が逃げて行った。

 

アメリカ米国アメリカ

労働需給は超逼迫状態で、加速は一服も賃金上昇傾向は強い

失業率は過去最低で、労働需給が超ひっ迫している。賃金の伸び利率は30年ぶりの5%以上上昇

良好な所得環境を背景に消費は好調​。

給与所得はコロナ以降加速→それに伴い小売売上高もコロナ以前に比べ二次関数的な上がり方をみせている。

 

“インフレスパイラル”の可能性も否定はできない​→中央銀行による利上げ、

一方、雇用・所得環境好調にもかかわらずマインドは悪化、背景に物価高騰​

雇用環境、株価が大きく関与しているが、給与から物価を引いた実質時間あたりの賃金は‐3% 

実質ベースでも消費は堅調だが、給付金貯蓄は喪失、、貯蓄率は減少。

​このままでは消費の持続性に疑問符​

金利上昇による利払い費の増加、

 

フランスドイツ欧州イタリアイギリス

物価高騰を背景に消費者マインド悪化も米国と同じ

雇用は好調だが、消費は鈍化

労働需給はひっ迫しているが、アメリカと同じように物価高により消費は減少

 

 

中国中国中国

ロックダウン解除以降、消費は持ち直している

ゼロコロナ解除後、消費も回復。中国の物価の上昇は限定的。→中国政府による価格統制

 

感染沈静化で生産・輸出は一時回復も、勢いはない。

​消費は持ち直し

中国の景気は輸出だのみ。受注は減少→海外の需要が落ちている

 

日本日本日本

雇用の回復は限定的、賃金は極めて緩やかに回復​

失業率はコロナ前から1%以内に抑え込んだが、その後の回復が遅い

 

小売売上販売も緩やかに回復

労働需給がひっ迫しない→給与が上がらない→消費が上がらない

 

外食や旅行の回復は道半ば​で、コロナ前に比べて回復していない。

外食産業特にパブ居酒屋など酒類を提供する店の売上高は前年の350%だがコロナ前の23%にとどまっている。

 

外需が景気を支えている。

輸出金額はアメリカの消費グラフのように右肩上がり。

もっとも輸出金額の押し上げは価格の高騰によるものが大きい​

数量は減っているが価格が上がっている→原材料があがっているから

数量が頭打ちになっているので世界の景気は悪化方向へ

 

物価:世界的に生産者物価は急上昇​しているが、日本は需要が弱いから価格転嫁できない。

世界的に消費者物価も急上昇したが、日本では限定的。

 

 

米金融政策:中立金利水準に達したが、FRBの利上げは継続か

足元の金利水準は2.25~2.5%

今後の予想は9月の段階で0.75~1%上げるだろう。今年のFRBが期を追うごとに金利を上方修正している。

 

 

世界:世界的には景気拡大の勢いはかなり衰えている​

米国:非製造業景況感は悪い

ユーロ:悪い

日本:非製造業は悪い

中国:下がりつつある

 

景気の加速力は0

 

米国:米国景気の先行指標(≒世界景気の先行指標)は鈍化傾向​

受注統計では半年後の景気を表している指標が50(中心値)を割る

今年はイレギュラーが多いのでリセッションに入ったと判断してはいない。

しかし

米長短金利差:リセッション前兆の逆イールド状態に

リセッションの可能性が上昇

景気:物価高騰と金融政策の大転換で見通しは下方修正​

 

日本株:アベノミクス以降の上昇チャネルでの推移継続​

 

米国株:利上げ進む中で暫く調整余地を探る展開か​

 

米長期金利:2000年以降の低下トレンド終焉か​

 

為替:バブル崩壊後の円高トレンドは終焉​

購買力平価ベースで考えれば、足元の円安は行き過ぎ​

金利差でも今の為替水準は説明しにくい​

どう考えても円安に行き過ぎ

 

市場:ウクライナ情勢はもとより、物価・金融政策の動向次第で混乱拡大も

 

次回は11月の開催予定です。