焼け石に水 | cmp.works
焼け石に水

タイトルがいいな。
映像も綺麗。
インテリアも面白いし、画面そのものがシンプルでデザイン的。
ストーリーは、もうまた救われない感じが凄い。
デカダンスな印象で、スタートから、エンディングまで運んでいく。
道順は分かっていたけど、途中下車は許さない強引さもあった。

バイセクシャルの中年レオポルドが、二十歳のフランツに声をかけて快楽を教え込む。
フランツは結婚を約束していた彼女を捨て、全てをレオポルドに捧げるが、レオポルドの情熱は続かない。
レオポルドは酷薄で、恋人にいつも飽きてしまうからだ…。

原作は36才で急逝したドイツの伝説的な映画・演劇人R・W・ファスビンダーが19才で書いた未発表の戯曲だそうだけれど、この人は本当にこういうのがすきなのね…という感じ。

オゾンは、若い感性を愛する人なんだろう。
若さ故の過ちも、若さ故の愚直さ、若さ故の勢いと、若さ故の未熟さが。
なんだかちょっと、トリッキーなんだけど。
私がNHKの「しゃ●り場」を思い出すのはそのせいだろうな。
ちょっとうざったいのに、気になるのです。
私も大人になりきれてないのね。
だったら、それで結構だ。



監督 フランソワ・オゾン
出演 ベルナール・ジロドー
マリック・ジディ
リュディヴィーヌ・サニエ
アンナ・トムソン