【籠城戦】尼子の大軍を退けた元就の知略 | 「ニッポン城めぐり」運営ブログ

【籠城戦】尼子の大軍を退けた元就の知略

ボォーっとしていたら、4月はすっかり籠城戦モノをやってませんでしたあせる




月末ギリギリすべりこみで、今回は毛利元就をピックアップです。珍しく今回は落城しなかった(ネタバレ!)籠城戦の話です。




毛利元就と言えば、謀略で領土を広げていったイメージがある方も多いと思いますが、実は人並みにピンチな時があったんですねー。




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尼子の大軍を退けた元就の知略


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天文9年(1540年)8月、出雲を中心に中国地方に勢力を扶植していた尼子詮久(後の晴久)は、当時安芸の一豪族に過ぎなかった毛利元就を一挙に屠るべく兵をおこした。




弱小勢力とは言え、徐々に勢力を伸長し、尼子氏の影響力が及んでいた安芸・備後の調略を進めていた元就の存在は、尼子氏としても既に看過できないものとなっていたのである。




出雲、伯耆、因幡、備前、美作、備中、備後、石見、安芸から招集した約3万の大軍を率いた詮久は、鎧袖一触を期して、元就の本拠である安芸郡山城へと迫った。




一方総力を挙げても3000ほどの兵力しか持たない元就は、郡山籠城を決意。城下に住む農民、町民、女子供に至までことごとく城内に収容し、その数は8000にも膨れあがった。また各支城にも兵を籠め、元就がその幕下に属する周防の大内義隆にも救援を依頼。さらには、城の周辺には多数の伏兵を配置。万全の防御態勢を敷いた。




尼子軍は郡山から4キロの地点にある風越山に本陣を据え、散発的に兵を繰り出し周辺を放火するなどして城兵を挑発。しかし元就はこの挑発に安易に乗ることなく、逆に伏兵を使って周辺に策動する尼子軍を各個撃破し、各地の戦闘で勝利を重ねた。




膠着する戦況を打破するため、詮久は青光山に本陣を移動。9月26日には、武将の湯原宗綱が付近に屯営する毛利方の諸豪族を排除するために1500余を率いて進出したが、城外に控える小早川興景、大内軍の先遣隊、さらには郡山城から出撃した粟屋元良らに挟撃され大敗を喫した。宗綱はその退却のさなかに討死を遂げた。




尼子勢は、その後も城外各地で小競り合いを展開したが、元就自ら陣頭で指揮をふるい士気の上がる毛利軍に敗戦を重ね、いたずらに士気を下げるだけの状態が続いた。




そして12月、そんな尼子軍に追い打ちをかけるように、大内の援軍約1万が来着した。


城は堅固に守っていたものの、長期にわたる籠城と戦闘に疲労していた毛利勢はこれによって一気に勢いを盛り返した。




そして年が明けた天文10年1月13日、ほとんど空城同然となる郡山城の後詰めを大内軍に託した元就は、城兵のほとんどを率いて宮崎長尾に陣を張る吉川興経らを討つべく城を出た。




元就は、初陣となる次男少輔次郎(のちの元春)らを伴い、陣を守る先鋒の高尾豊前守を粉砕。続く二陣の黒正久澄も敗走させた。しかし、吉川興経は剛勇の誉れ高く1000の士卒と共に頑強に抵抗し、両者の間で一進一退の激戦が展開され、日没を迎えた。元就は多くの敵将を討ち取ったことを良しとして敵陣に放火して凱旋した。




一方、戦況を見守っていた大内軍の総大将陶隆房は、他の尼子の部隊が郡山城に来襲することはないと見て、尼子の本営青光山を背後から急襲した。




大内勢の攻撃に尼子本陣は周章狼狽し、詮久の身辺にまで危険が及ぶようになった。


詮久危うしと見た一族で勇将の誉れ高い尼子久幸は、「この臆病者の壮烈な最期をみて奮起せよ!」と言い放つや、500の精兵を引き連れ大内軍にまっしぐらに突入し、壮絶な最期を遂げた。


久幸はこの郡山遠征を前にして、「元就の実力は侮りがたいものがあり、敗戦は間違いない」、と時期尚早を説いた人物であったが、主戦派の尼子家臣らから「臆病野州(久幸が下野守を名乗ったことから)」と罵られていたのである。




とにもかくにも、久幸の奮戦によって何とか虎口を脱した詮久ではあったが、こちらも決定的な勝敗が決せぬまま日没を迎え、互いに帰陣した。




夜、尼子の本営で軍議が催された。5ヶ月に渡る包囲戦で何ら得るものなく、敗戦につぐ敗戦、食糧の欠乏、冬の厳しい寒さから、これ以上の滞陣は困難という結論が出され、総軍、北へ向けて退却していった。




元就は、城兵を巧みに指揮して勢いを生まれさせ、時には女子供まで偽兵に仕立ててその数的不利の状況を補うことで、見事3万の尼子勢を撃退したのである。




時に元就44歳。大内の援兵があったとは言え、遅咲きの天才軍略家が後に中国地方の覇者となる端緒となった戦いでもあった。




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元就と言えば「厳島の戦い」、ですが、それより以前にはこんな危機的状況も乗り越えていたのですねひらめき電球


後に、今回出てきた尼子や大内、陶らはみんな元就に滅ぼされてしまうのですから、中年~初老、老人時代の元就は恐るべしです。