こんばんは
そして、またしてもお久しぶりになります💦
来月で当ブログを始めて2周年になりますが、3年目の今年はその更新ペースが驚異的な鈍化をみせております
1月に「4件」、2~4月は「3件」。
今年に入って3分の1が過ぎましたが、まだ13件しか綴れていません。
となると必然的にアクセス数もガタ落ち
それでも今年は、推しが表に出て活動するまでは今のようなスローペースの更新でいこうと思っています
さて、久しぶりに浮上して皆さまにお届けするのが長らく新作を書いていなかった<Pick Up Reviewシリーズ>です。
本日は、特に台詞がある場面からの選出ではないので始めに該当作品の「Movie CLIP」をご覧ください
2011年に韓国で公開されたジソブの主演作『ただ君だけ/오직 그대만』
紹介した参考動画はクライマックス部分を要約した内容で、ラストシーン直前までをサクッと観られるお勧めです
本日取り上げたいのは、このCLIPで2:21からの部分。
GW中は韓ドラ視聴を中断して、昔懐かしのアメリカンシットコムを見倒していた私。
『フレンズ/F・R・I・E・N・D・S(1994-2004・米NBC)』
ネイティブの英語学習教材としても素晴らしいコンテンツですし、17年前に放映が終了した作品ですが、現代の価値観で観返しても十分に楽しめる不屈の名作です✨
このドラマをシーズン1から10まで全236話、休むことなく見続けたせいで耳がすっかり韓国語から英語のスイッチに切り替わってしまいました
…………脱線はここまで
そんなアメリカンコメディー漬けだった私が、連休明けに「小休止&韓ドラ脳に戻すための繋ぎ」としてNetflixで視聴したのがこの作品です。
こちらは、既に観賞済みの同居人であるNちゃんが「もう2度と観たくない」と言っていたのを受けて、自室に籠ってノートPCの小さな画面でのチマチマ視聴となりました
元々は、全く見るつもりが無かった映画です
※参考
その為か、あまり期待値を上げずに、かといって特段のネガティブバイアスもかけずに観たつもりです。
結果は、見事に昨年Nちゃんが下した評価に99%同意することに💦
※参照(映画館まで足を運んで観たNちゃんの評価)
因みに、予告が公開された段階で想定していた原作との違いと懸念(↓)は、ほぼ当たっていましたね
予想と違ったのは、「石」が「シーグラス」なことぐらいでした。
そして、記事でも懸念した原作との違いで個人的には以下2つの場面も残念でした
残念ポイント、その1
ライティングが眩し過ぎるのと、ヒロインが顔に触れるしぐさに美しさや哀切が感じられない
※参考までに、本家の同じ場面を
ジソブ作品に登場する歴代キスシーンの中でも、神がかり的な美しさを誇る名場面です✨
メロ映画で重要なキスシーンだからこそ、ここまでクローズアップで魅せており、その白眉の仕上がりは何度見ても無条件でウットリ出来ますよね
残念ポイント、その2
なぜこの場面で彼は着衣なのか❓ せっかく鍛えた身体を出し惜しみする意図とは❓
原作ではこの通り(↓)
恋人同士の蜜月を甘く描写したとても色っぽい場面です💕
今回の記事を書くにあたり様々な記事や動画に目を通しましたが、どうやら三木監督の話では編集前の段階ではもう少し踏み込んだ描写も撮影していたそうです。
それを、作品全体の雰囲気と観客の年齢層を考慮して編集で切り落としてしまったのだとか。
瑞々しい主演2人の恋愛を綺麗に切り取りたかったのかもしれませんが、「深く愛し合い、親密に睦みあう男女」の描写としては、この場面には原作に倣ったもう少し大胆な表現が必須だと感じました。
着衣の男女が抱き合うだけでは、2人の結びつきを描くには説得力が弱すぎる印象を受けます。
原作でも、この場面は煽情的な雰囲気ではなく「愛を交わす甘い場面」「親密な時間を過ごす2人」として演出されています。
コメンタリーで監督も言及していますが、身体が触れ合う動きよりも視線を重視して撮影されたそうです。
この2つの場面に限らず、リメイク版は総じてラブシーンが控えめでしたね
さて、さんざんラブシーンに対する残念な思いを綴ってから本題へ
(いつもに増して、前置きが長い”蛇足上等ブロガー”です💦)
このブログが掲げるルールとして、「マイナス評価が少しでもプラス評価を上回る作品はレビューをしない」という主義があります。
そんな私の中で、『きみの瞳が問いかけている/유어 아이즈 텔』の個人的評価は2.5点(5点満点)です
なので今回は「配信になったら観る」と宣言していた事に対しての報告と、『きみの瞳~』のレビューを記事にしない代わりに原作からの改変で<最も残念だった場面>を挙げて紹介しようと思い綴っています。
最初に参照したCLIP動画でチョルミンがジョンファへの愛と贖罪を賭けて挑む死闘場面(2:21~)ですが、『きみの瞳~』と原作では演出が異なります。
出来るだけフェア(公平)に評価したいと思った私は、『きみの瞳~』を観終わった後にトルコ版とインド版のリメイク作も何とか映像を探して履修しました
※各国のリメイク版についてはコチラを参照※
各リメイクを履修した結果、この死闘場面は日本も含め全てのリメイク作が「衆人環視」で闘う演出になっています。
実は、原作である『ただ君だけ』も最初はそのように描かれる予定でした。
以下は、『ただ君だけ』公開当時に発売された同作品の撮影風景をジソブ自身がスケッチしたフォトエッセイからの出典です
【変更前のシナリオ、抜粋】
チョルミンが廊下を抜けると、地下のホールを埋め尽くした賭博客が目に入り、鉄条網に囲まれたリングが見えた。
テシクがニヤッと笑ってチョルミンを見る。耳をつんざくような歓呼の声が包む。恐ろしい。
チョルミンは緊張のあまり心臓が張り裂けそうだった。
タバコの煙が充満したホールでは、目を血走らせた観客が嘲笑と野次を飛ばす。どうやらおあつらえ向きの餌食のようだ。
しかし、実際の映画ではこのシナリオが描写するような大勢の観衆は登場しません。
会場に入ったチョルミンが見上げると、ハイプライスを賭けている上客と主催者が高みの見物をしています。
その空間は不気味なほどの静寂に包まれている。
金網で囲まれたリングには強固な施錠を施され、
リング上には、自分とは一回り体格の大きい対戦相手と、対峙するチョルミンの2人だけ。
当初のシナリオを修正して、完成作ではこのように描写された死闘前の様子。
実は、この場面がこのように変更されたのは他でもないジソブ自身の提案からでした。
※以下、同じくフォトエッセイからの出典
【ジソブの解釈と提案】
監督。人々はチョルミンが闘いに行く先を、うるさくてゴチャゴチャした雰囲気の場所と期待していますよね。チョルミンもそうでしょうし。
でも、実際にチョルミンが競技場へ行ってみると、シーンとしてるんですよ。
人がおらず、静まり返っているほうが、よっぽど怖くないですか?
「俺はここから生きて出られないかもしれない……」。そう思って心臓をバクバクさせるんです。
映画を観ている人たちも、よくある格闘技のシーンを想像していると思うので、
こっちのほうがむしろ驚く気がします。
このジソブの案に、ソン・イルゴン監督もホン・ギョンビョ撮影監督も賛成。
劇中では死闘の最中に囃し立てる観衆の姿も映し出されますが、それはチョルミンが闘っている会場の様子を別室でモニター観戦している一般客です。
実際にチョルミンが死に物狂いで大男相手に防戦一方の闘いをしている場所は周りを静寂ばかりが包み、否が応でも映画を観ている者の視線はリング上の2人に注がれます。
このような演出が場面に緊張感をもたらし、逃げ場のない舞台設定は結果として演者であるジソブや対戦相手のウィ・スンベ氏に一層ハードな撮影負担をかけたそうです💦
ジソブ、自分で設定変更を提案したせいで想定以上に満身創痍な撮影になっちゃったんだね
このエピソードが印象に残っていたので、『きみの瞳~』で同じ場面を観た時に「流星くんは頑張っているのになぜこの場面に迫力や緊張感を感じなかったか?」、その要因が直ぐ思い当たりました。
そして、比較と確認の為に観た他のリメイク作でも同じように「衆人環視での血生臭いファイト」として映画的に典型すぎる演出を選んだ点が大きなマイナス評価に繋がりました。
また日本のリメイク作は、「試合が裏で八百長の話がついている」という設定になっていました。
これは最初の原案である『街の灯』に倣っただけかもしれないですが、「主人公の格闘能力が高い」としている『きみの瞳~』では全く機能しない設定ですよね。
裏取引の相手へ確実に利益をもたらす為に行われる八百長というのは、必ず結果を確約してくれる人間をリングに上げて初めて成立します。
しかし塁は「生き延びたい」という本能と意思を秘めた人間です。つまり、「思惑通りにワザと負ける」という筋書きには向かない人選なのは自明です。
この部分に限らず『きみの瞳~』には余計な付け足しが多く見受けられ、それらが設定の矛盾やご都合主義を誘発している印象を受けました。
前にも懸念事項として挙げましたが、「幼馴染の存在」と「店の同僚の性別変更」は本当に余計な改変でした
更にリメイク版では、ヒロインとの因縁を結びつける「火だるまになって投身自殺を試みた男」の設定も改悪。
この人を故人にしてしまっては、<犯罪被害者遺族の想いと加害者の悔恨>という余計な視点が生じてしまうので2人の恋愛筋へ純粋に没入が出来なくなってしまいます。
そして主演2人の演技も、及第点ではありましたが最も大事な部分では表現力に物足りなさを感じました。
(※Nちゃんが高評価するほど、私は吉高ちゃんを見直さなかった)
チョルミン(塁)で言えば、ワンコに飛びつかれてそれでも何も言わずに立ち去る場面
(※Movie CLIP/19:07~)
この場面は、最後に少しだけ微笑むジソブの表情が素晴らしすぎて
(※これは、ぜひ映像で堪能して欲しい→*Movie CLIP/20:40~)
この表情に関しては、トルコ版もインド版も「ただ涙をのみ込んで去る」という表現に留まっていました。
やはり最後に見せるチョルミンの笑みは、メロ&感性演技の職人と呼ばれるソ・ジソブだけが表現できる真骨頂なのだと確信しました✨
横浜流星くん、影のある寡黙な感じは良いのですが如何せん声が小さすぎました。
思わず字幕出しちゃったもんね💦
「ボソボソと話す言葉少なの青年」という役作りはいいけれど、聞き取れないほどのボリュームで台詞をしゃべるのは無しだと思うよ、オバサンは(-_-)
そしてジョンファ(明香里)に関しては、チョルミンに気づいて必死にその姿を探す場面
リメイク版がスローを多用した”あざとい演出”になってしまったこの場面は、間違いなく原作のハン・ヒョジュに軍配です✨
ヒョジュちゃんや監督的には「石膏で手が覚えている恋人の顔を再現して涙する」という場面こそが<ジョンファ、最大の見せ場>という共通意識があり、クライマックスでもある「街中に頽れて泣き崩れるジョンファ」は2人の中では最重要な場面ではなかったそうです。
それでも、抑えに抑えてきたジョンファの感情が爆発する慟哭ですから見せ場なのは間違いないし、ヒョジュちゃんもずっと哀しみの中で沈む感情を維持してきたからこそ鬱屈を開放して大絶叫していますね
私が韓ドラや韓国映画を観ていて、他の国にはない表現として「泣き叫びながら胸を叩く」という表現がとても好きです
本当に哀しくて苦しくて、でもそれ以上に泣くことしか出来ない自分の無力さが許せなくて。
「胸を締め付ける」という感情があると思いますが、それは感情だけでなく本当に心臓がギュッと強く掴まれたような、息苦しくて耐え難い痛みを伴う状態になりますよね。
そんな極限状態を、「胸を強く自分の拳で打ち付けながら泣く」という表現は見事に可視化してくれます。
ここでジョンファが泣き崩れるのは、もう2度とチョルミンに会えないかもしれない哀しみよりも「なぜ私は彼に気づけなかったの?」という自分への憤りの方が大きいですよね。
強く胸を叩きながら「どうして? どうして?」と自分を責めているようなジョンファの泣き方は、観ている方まで痛さや苦しみが伝わってくるようです。
その場の頽れて声をあげて泣くという表現だけでは「哀しみ」しか伝わってきません。
韓国の作品で泣き叫ぶ場面では、特に女性がこのように「胸を叩きながら泣く」という表現をします。
身を引き裂かんばかりの絶望が、その仕草をすることで強い共感性をもって観る者の胸を抉るのです。
……レビューは書かないと言っておきながら、やっぱり書いちゃってますね
それでは最後に、ここまで読んでいただいたお礼もかねて<目の保養>で記事を締め括りたいと思います
以前、『きみの瞳~』が韓国で公開されるニュースを紹介した時に「韓国で公開される邦画は広報ビジュアルが作り直される」と言及しました。
※参照※
この記事の最後に触れている『きみの瞳~』の韓国版ポスターと、原作である『ただ君だけ』が韓国で公開された当時につくられたオリジナルのポスタービジュアルをすべて蔵出しです✨
まずは、『きみの瞳が問いかけている/유어 아이즈 텔』の3種類のポスターから。
※どのポスターにも燦然と【주제곡(主題曲) BTS「Your eyes tell」】の刻印が
あまり日本のオリジナル版の雰囲気から離れていないビジュアルで、邦画が韓国へ輸出されたときに定番の「驚くほど洗練された変化」という印象のない仕上がりなのが少しだけ残念
では次に、原作である『ただ君だけ/오직 그대만』が制作した全種類のポスタービジュアルを✨
まず最初に公開されたのが以下の2パターン
制作会見で初めてお目見えして、公開中はメインポスターとして使用されたのがコチラ
瞳に涙をたたえて悲しげなチョルミンの背中に甘えるようにジョンファが凭れるビジュアルは、日本公開時のポスターにもそのまま使用されましたよね
※参考
そして、韓国映画は必ずキャラクターポスターと言って主演キャストをソロでフィーチャーしたポスターが制作されます✨
チョルミン Ver.
更にはこの2枚は、「広報用」というよりは作品世界を切り取ったポスターとして公開されました💕
そして最後に紹介するのが「観客動員100万人✨」を達成した記念に公開されたコチラ
メイキングを見ると分かりますが、どのバージョンの撮影も現場に大勢いた女性スタッフの扇動によって「甘さ最上級の表現をジソブが求められた様子」が垣間見えます
因みに、映画本編のチョルミンより髪型がスタイリッシュなのはアイロンで巻いて緻密にスタイリングされているからです
映画撮影時はパーマをかけていて、それがほどけかかった時期に撮影されたのでチョルミンのビジュアルが「ボサボサのくせ毛」のような風体です。
しかしこのポスター撮影はいよいよ公開を控えた、ちょうどジソブが『会社員(2012)』のビジュアルをしている時期だったので髪はストレート。
チョルミンに雰囲気を戻し、加えて「最大級のイケメン」に見えるように念入りにスタイリングされている故にこのパーフェクトな仕上がりなんですよ
久しぶりの浮上なのに、グダグダと書き殴った駄文を最後まで読んで下さりコマオヨ
では、またね
アンニョン