この検討会で、野中教授は、「そもそも論」として、日本のケアマネジメントの課題として、技術的な側面と制度的な側面の双方の課題を提起されました。
「ケアマネジメントはもともと技術的な側面から始まっているが、日本では介護保険に採用されたという制度的な側面から始まっている。
だから、イギリスには介護保険はないけどケアマネジメントはある。ドイツには介護保険はあるけれどケアマネジメントはない。韓国では最初、介護保険が入った時にはケアマネジメントは導入されなかった。」
「日本のケアマネジャーにとって一番不幸なのは、日本では医師や看護師は技術があって、あとから制度が出来たが、ケアマネジャーの場合は技術が出来る前から制度が出来てしまったので、厚生労働省がケアマネジャーを指導している。
これは無理。医師を厚生労働省は指導できない。医師を評価するのには、医師同士が評価するのは可能だが、厚生労働省が医師を評価しはじめたら、技術が荒廃してしまう。」
「ケアマネジメントは高齢者だけではなくて障碍者にも使われ、ホームレスに対するパーソナルサポートサービスもケアマネジメント。他にも自殺未遂の事例、地域引きこもり、児童虐待等、殆どはケアマネジメントの技法を使っている。」
「そもそもケアマネジメントは、施設や病院から退院し、地域生活をしようとすると生活自体が様々な要因で出来ている為、多くの要因をまとめる必要が出てくる。ところが、その地域のサービスは、いろいろ断片化していてなかなか一つの所では出来ないので、それをまとめてくれる人が必要。昔は家族が行っていたが、その家族がバラバラになってしまった。だから、公的なマネジメントが必要。そこで、その費用対効果も考る必要がある。だから、ケアマネジメントという、そもそもの趣旨がどこかへ行ってしまっているのが問題。」
「ケアマネジメントの定義は、「多様なニーズをもった人々が、自分の機能を最大限に発揮して、健康に過ごすことを目的として、公式非公式の支援ネットワークを組織し調整し維持することを計画的に実施する人やチーム」。これは包括的な定義。この基本的なケアマネジメントが共有されていない。厚生労働省の介護保険制度が共有されている。ケアマネジメントが共有されてないのはそもそもおかしな話で、ケアマネジメントは、このシステムを多職種の人たち、多領域の人たちが、同時に動かなくてはならないので、考え方を一つにしよう。アンドロイドとかウィンドウズ7のようにいろんなソフトがその上で乗って動くように考え方を一つのモノにしようというのがケアマネジメント。だから、私はケアマネだから、私は医師だから、私は看護師だからケアマネジメントは知らなくていいって話ではない。あらゆる対人サービス業界はケアマネジメントを前提とするっていうことを、もうちょっと強調しないといけない。だからこそ、順序良くやるという、その順序を探らないといけない。だから順序は外してもらいたくないし、その要素を外して、日本だけこれでやるというわけにはなかなかいかない。評価を外れている。2005年まではモニタリングまで外れていた。要するにケアプランだけ作ればいいというような制度になっていた。」
介護保険制度が始まった時、措置制度からサービス利用をしていた高齢者がサービスを移行できるようにということを優先したが為に、ケアマネジャーへの教育も不十分となり、また、共にケアマネジメントのチームを形成するべきサービス事業者等の専門職へのケアマネジメントの趣旨の理解をおろそかにしてしまったが為に、介護保険制度開始から残ったほころびは埋められることがなく、12年間ケアマネジャーとの温度差を残しているように感じます。
その状態で始まった介護予防も、ケアマネジメントが十分に理解されないまま実施されると、決して良い効果は生まれないと思います。
介護予防は、ケアマネジメントが、サービスを確保するためのシステムではないという理解ができていることが前提で動かせるものであると思います。
ケアマネジャーは独立で事業を展開できるようにしなければ、所詮は自社サービスの稼働率を上げることでしか評価されないことになってしまいます。
それでは、いくら介護報酬の加算でサービスのバリエーションを広げても、サービス事業者は、負担だと思う加算は手を付けません。
この問題は、ケアマネジメントの根幹を揺るがす大きなものだと思います。
この考察はもう少し続けたいと思います。
※「」内の文章は、ブログ「UMM Ver.Clear ☆Shan Note☆」の内容を引用させていただきました。
もっと、カリキュラムを考えて欲しいですよね。
当方の事例検討は「宝の事例」ですから・・・
本来は、高齢者の中でも、独居・認知症・精神障害・難病・ターミナル・多問題・虐待等、抱える問題が異なる場合、それぞれに個別具体的な技術論があり、それを身につけることで、ケアマネジャーのスキルアップができるのが、ケアマネジャーの専門性や質の向上であると思いますが、その教育が具体的になされていないことは、現状の更新研修のカリキュラムを見ても明らかです。
アセスメントのツールや様式、ケアプランの様式等、介護保険制度でのケアマネジメントは、行政がチェックする為に必要な制限が設けられ、それが、ケアマネジャーによるケアマネジメント技術の発展に大きな抑制になっているような気がしています。
日本の様々な対象者へのアプローチとしてこれだけケアマネジメントが活用されているのに、そのケアマネジメントを行う専門職への技術的な教育が不十分な為、結局は制度を動かす為のツールでしかないのが、日本のケアマネジメントの現状であることには私も同感と感じることがあります。