また久々に連載小説更新しました。
よろしくお願いします。
すっかり寒くなってきました。
野球はオフになり、今の楽しみは日テレG+で「徳光和夫の週刊ジャイアンツ」を見ることです(笑)
三門は思い出す。
おきゅうとの穏やかな日々を。
そう、穏やかな日々・・・。
激しい感情を、三門は持ち合わせても、おきゅうから感じることはなかった。
が、三門は構わなかった。
三門のそばにいてくれればよかった。
おきゅうの心にひょうまがあっても、三門のそばにいてくれればそれで。
今だって形は変わっていない。
おきゅうは三門と婚姻関係を続けている。
(一緒に住む提案を拒否された)
夫婦関係がうまくいっていると思ったら一緒に住もうとまでは思わなかった。
ひょうまはおきゅうと会っている。
ひょうまはおきゅうの連絡先を知っている。
だが、おきゅうに子供がいることをひょうまは承知している。
だから絶対ひょうまはそんなおきゅうとともに生きようなどとは思えないはず。
(わしはすべてを受け入れる)
何度も何度もそのことは頭の中で繰り返されている。
ひょうまは受け入れられない、三門は受け入れられる、三門はおきゅうがどんなに汚れまみれても、おきゅうがひょうまを好きでも、三門と一緒にいてくれればそれでいい、形だけでも構わない。
(形だけと言えば・・・)
おきゅうに同居を求め、断られた見返りとして、三門は、毎晩おきゅうに「愛のメール」を要求した。
必ず愛してると書いてほしいと。
(毎晩メールは来る)
判で押したように、夜10時きっかりに。
文章はよく見ると、何種類かのローテーション。
天気がいいバージョン、悪いバージョン、イベントがあったときバージョン。
最後には
「あなたを愛しています」
お約束通り義理の文字が並べられている。
わかっている、おきゅうは義理で書いていることを。
でも、義理でもメールを打つのはおきゅうの意志。
ひょうまを好きでも、メールを送信するときは三門の妻であることを思い出すだろう。
ひょうまを好きでも子供がいる以上報われない。
(じゃあ、なぜ、一次キャンプ最終休日に2人は逢ったのか・・・)
証拠はない。
でも、2人のアリバイはあいまいだ。
同じ時刻に2人はいなかった。
今更、2人は何を求めて会うのだろうか。
(まさか、星君ば、きゅう子の子供を受け入れるとでも・・・?)
おきゅうの子供は城戸涼介。
ひょうまは、子供が城戸涼介であることは知らないのではないか。
(知らないだろう・・・)
知ったら、ひょうまは城戸とまともに顔を合せられないだろうから、チームにいることもつらくなるはず。
城戸がおきゅうの子供だとひょうまが知れば、とどめを刺せるのだろうか。
苦悩する三門。 つづく