またご無沙汰してしまいましたが連載小説更新しました。
よろしくお願いします。
わが巨人軍・・・交流戦を前に借金生活になってしまいました。
村田を使ってほしいなあ。
交流戦ではなんとか巻き返してほしいものです。
城戸に真実を告げるとしたら、その場所は、2人の思い出の場所しかない。
「BAR霧笛!」
2人の声が寸分たがわず一致した。
すべては横浜、潮の香りが漂う霧笛から始まっている。
「あのとき、俺がちゃんと野球へのけじめをつけて“今”を見ていれば、きゅう子さんへの気持ちに気付けたかもしれん、気づけていればこんなことには・・・」
「いいえ、私が勝手にしたんですもの・・・あなたの気持ちは亡きみーなさんと野球にとりつかれていたのに、なのに勝手に・・・」
2人の眼から涙が流れ落ちる。
「本来あるべき状態にするにはあまりに年月がかかりすぎたが・・・」
「本当にいいのね?ひょうまさん。もしかしたらあなた、野球を失うかもしれないわよ」
「フッ・・・そうなるだろう。万が一にも城戸先生がこの事実を胸にしまってくれると言わん限りは。だが、野球を失う覚悟は考えてみたら、1回している。君に真実を告げられたあのとき・・・この真実を告げられなかったら、俺は君を三門さんから奪うつもりだったのだから」
また2人はきつく抱き合った。
「きゅう子さんだって・・・今の地位を失いかねないぜ。君の信頼度はがたおちになるんじゃないのか?」
「もういいの、あなたが野球を捨てる覚悟があるのなら私だって・・・。それに、私のことをわかってくれる人だってゼロでなければ、細々とでもカウンセリングは続けていけると思う・・・」
「そうか。じゃ、しばらくは君に面倒見てもらえるかな。俺、野球バカだからな、ほかのことは何もできん、ああ、また日雇い労働やってもいいか。あれだけは経験があるからな、ははは」
「そうよ、ひょうまさん。三十余年前のあのときだって、私に頼ってくれれば、こんなことには・・・」
「だよな。頼るのも遅すぎッてわけだ。でも、一生やり直さないよりはましだろう」
BAR霧笛は横浜にあり、城戸涼介は信州在住なのだから、どうやって誘うかも考えなければならなかった。
「呼び出すまでは心苦しいがうそをつくしかないな」
「いついうの?」
今はキャンプ中だしさすがに身動きとれない。
オープン戦になれば東京での試合も行われるのでそのときか。
「幸い、城戸先生は有坂咲さんと会うために休みの日は上京して会っているらしいから、そのタイミングがあえば」
「そうね・・・そうか、有坂咲さんのお父さんのカウンセリングもうまくいったので、そのお話しでもしたいといえば、さほど不自然でもなく涼介を呼び出せるわね」
やはり、城戸に真実を話すときは、もう「城戸先生」と呼ぶことはまずいのだろうなという思いがひょうまの頭をかすめた。
帰りも当然2人は別々に行動。
城戸に真実を告げるまでは、絶対2人のことはばれてはまずい。
おきゅうが先にでて、ひょうまはホテルよりはるか手前でおろしてもらうと、「ほんとに」一人でぶらぶらし始めめた。
気持ちはまだ高ぶっている。
こんなままあきこと会ってへんなぼろがでたらひとたまりもない。
おきゅうは大丈夫だろうか。
案外、女のほうが肝が据わっているから心配無用か。
ひょうまは深呼吸を繰り返しながら、平静を取り戻そうと、あてもなく歩き回り、空腹を覚えると、まともな感覚が戻ってきたかなと安心し、眼についた沖縄そば屋に入る。
そういえば、おきゅうと朝会ってから今まで何も食べていないことに気付いた。
あっという間だった、おきゅうといると、ほんとに時間が早くたつ。
(だが、次に会うときは、城戸先生に真実を告げるとき・・・)
そのあと、ひょうま、おきゅう、城戸はどうなってしまうのだろうか。
つづく