連載小説更新しました。
よろしくお願いします。
巨人連敗しています。
継投に問題があると思う。
中継ぎが今厳しい状態なので、先発が多少のことがあっても最後まで投げさせるくらい腹をくくったほうがいいと思う。

 城戸涼介を見たひょうまは思い切り動揺し、城戸のことをどう呼んだらいいのかわからなくなり、口をあわあわさせている。
 城戸涼介には真実を明かすべきではない、ひょうまとおきゅうが両親ということは伏せる、決めたはずだが今は真実を隠すことがいいのか少しわからなくなっている状態。
 だから、おきゅうと話したいと思う、キャンプにおきゅうもやってくるのでチャンスと思われがちだが、三門、鼻形、さらにはあきこという邪魔者に囲まれた中では、ちょっとした会話すらままならぬかもしれない。
 となると、おきゅうに会えるプラスの面よりも、ひょうまにべたべたまつわりつくあきこを従えてのキャンプというマイナス面が強くなり、正直心はズーンと重石がのっかっているかのごとく。
 1年前なら、逆に城戸を救世主とばかりに頼り、ひょうまのほうからお泊りコースで飲もうと提案してただろう。
(まさか、息子に、息子のことで悩んでますなんて言えるわけがない)
 
「星さん、お時間ありますか?」
 ひょうまとは対照的にウキウキしている城戸。
 ない、と言って立ち去るのが今の最良の行動だ、頭ではわかっている。
 だが・・・ひょうまの脳裏に家で待っているあきこの顔が浮かんだ。
 今から帰れば、あきこは喜び勇んでご馳走を出してくれるだろう。
 キャンプに帯同できるとわかっているから、フルコースでも出してきそうな勢いを想像できる。
 ズボンの尻ポケットがぶるぶる震えた、携帯が鳴っているのだ。
 たぶんあきこだろう、いったん切れたがすぐまた鳴りだしたから。
 究極の選択なら、あきこよりも城戸か。
 城戸は何も知らない、ひょうまが何も言わない限り。
(せめて親なら“息子の求め”に応じてやろう)
 ひょうまは大丈夫ですよとうなずく。

 城戸の自宅。
「飲み物とつまみは正月に飲んだあまりもあるので・・・それでいいですか?」
「じゃ、一緒に用意しよう」
 2人で酒の準備をする。
「星さん、いろいろありがとうございました」
 頭を下げる城戸。
「ついに、咲ちゃんと正式に結婚できることになりました」
「あ!そう!」
 今まで憂鬱が立ち込めていたひょうまの脳内にパッと光が差し込んだ。
「それはよかった!じゃ、お父さんのカウンセリングもうまくいったんですね」
「ええ。この正月咲ちゃんの自宅に呼ばれまして」
「そうかそうか・・・」
 ひょうまは嬉しさとほっとしたという両方の気持ち。
「この間三門さんにも会ったんですが、やはり話を聞いてくださったり咲ちゃんの父親のカウンセリングの件では協力してくれた星さんに最初にお伝えしようと思いまして」
 ガンガンワインを飲み干そうとしたひょうまの手が止まった。
「三門さん?」
「ええ。正月明けくらいでしたか、珍しく年始の挨拶だとか言ってここに来られたんですよ三門さん」
 三門の名前を聞くと、途端うっとうしく思うひょうま。
 せめてこのうれしい場で、三門のことなぞ語りたくもないんだが。
(気になる・・・)
 スルーしたいが・・・。
「三門さんとここで飲んだんですか?」
 聞きたくないけど聞くしかない。
 つづく