連載小説を更新しました。
よろしくお願いします。
咲とゆっくり会うなんて、高校時代付き合っていたとき以来だ。
恋愛復活したとはいえ、城戸と咲は、肉体関係はまだ復活していなかった。
(今夜は咲ちゃんと・・・)
ほんとに、十数年ぶりに、咲と、しかも、泊まりは、初めてのことになる。
考えただけで、城戸はまるで中学生のようにどきどきして、いかんというように苦笑した。
洋服を着替えると、深呼吸する。
(いや、まだしなきゃいけないことがある)
ふと、城戸の表情が引き締まった。
(時間をとってもらえるだろうか・・・)
S湖市駅にて咲が到着する特急を待つ城戸は若干緊張している。
咲に会う楽しい緊張と、もうひとつ・・・。
定刻どおり特急到着。
咲は城戸の姿を見つけたらしく、走って階段を下りてくる。
真冬だが、咲はひざ上丈のスカートに、細かい模様入りのタイツをはいていた。
着ているコートが薄そうで、会った途端
「寒くないか?」
たずねる城戸。
「寒い!」
言いながらにこっと笑う咲は、高校時代と変わっていない。
「さっきもメールしたけど・・・いいよね?」
笑顔がはちきれんばかりだった咲の顔にも緊張が走った。
「そうね。涼介君、私も気にはなってたけど・・・よく段取りしてくれたわ・・・いきましょう」
2人は駅前の喫茶店に。
約束の時間より早く到着していたかったが・・・。
「よう」
美波理はすでに席についていた、しかも、スーツ姿で。
「美波くん、都合つけてくれてありがとう、君にはちゃんと話してから、先へ進もうと思って」
城戸の横には咲が座っている。
数ヶ月前、この喫茶店で咲と再会したときは、咲は美波の横に座っていた。
正式ではなかったが美波の婚約者として。
「うん。わかってたよ。だから、僕もきちんとしてやってきた」
美波は自身のスーツ姿に指をさす。
「美波さん、ほんとに・・・ごめんなさい」
謝る咲。
「いいよ。僕もいろいろ考えた、僕が調子に乗って君に咲ちゃん・・・いや、有坂さんを紹介しようなんて思わなければ、君と有坂さんが再会しなければ、僕たちは結婚できていたかもしれない。だが、多分、いつかは2人は再会したと思う、少なくとも僕と涼介君は同じチームにいるわけだし、僕は、涼介君に有坂さんを紹介して、ひとつでも涼介君に勝ちたかったんだから・・・。うん・・・」
美波はゆっくり何度かうなずくと
「確かに、咲ちゃん、ずっと綺麗になったな。僕といるよりも、やはり収まるところに収まるのが一番なんだろうな」
「美波くん・・・」
「いいさ。僕もこれから東京に行かなきゃいけない、カムバック賞受賞式がある、ま、スーツはそのためでもあるんだけどな、ハハハ」
美波は立ち上がると、咲に右手を差し出した。
「幸せになれよな」
握手をする、一方城戸には伝票が差し出される。
「当然今日はおごられておくよ、じゃ、結婚式には呼んでくれよな」
特急の時間に間に合うかなといいながら美波はさっさと立ち去っていった。 つづく
よろしくお願いします。
咲とゆっくり会うなんて、高校時代付き合っていたとき以来だ。
恋愛復活したとはいえ、城戸と咲は、肉体関係はまだ復活していなかった。
(今夜は咲ちゃんと・・・)
ほんとに、十数年ぶりに、咲と、しかも、泊まりは、初めてのことになる。
考えただけで、城戸はまるで中学生のようにどきどきして、いかんというように苦笑した。
洋服を着替えると、深呼吸する。
(いや、まだしなきゃいけないことがある)
ふと、城戸の表情が引き締まった。
(時間をとってもらえるだろうか・・・)
S湖市駅にて咲が到着する特急を待つ城戸は若干緊張している。
咲に会う楽しい緊張と、もうひとつ・・・。
定刻どおり特急到着。
咲は城戸の姿を見つけたらしく、走って階段を下りてくる。
真冬だが、咲はひざ上丈のスカートに、細かい模様入りのタイツをはいていた。
着ているコートが薄そうで、会った途端
「寒くないか?」
たずねる城戸。
「寒い!」
言いながらにこっと笑う咲は、高校時代と変わっていない。
「さっきもメールしたけど・・・いいよね?」
笑顔がはちきれんばかりだった咲の顔にも緊張が走った。
「そうね。涼介君、私も気にはなってたけど・・・よく段取りしてくれたわ・・・いきましょう」
2人は駅前の喫茶店に。
約束の時間より早く到着していたかったが・・・。
「よう」
美波理はすでに席についていた、しかも、スーツ姿で。
「美波くん、都合つけてくれてありがとう、君にはちゃんと話してから、先へ進もうと思って」
城戸の横には咲が座っている。
数ヶ月前、この喫茶店で咲と再会したときは、咲は美波の横に座っていた。
正式ではなかったが美波の婚約者として。
「うん。わかってたよ。だから、僕もきちんとしてやってきた」
美波は自身のスーツ姿に指をさす。
「美波さん、ほんとに・・・ごめんなさい」
謝る咲。
「いいよ。僕もいろいろ考えた、僕が調子に乗って君に咲ちゃん・・・いや、有坂さんを紹介しようなんて思わなければ、君と有坂さんが再会しなければ、僕たちは結婚できていたかもしれない。だが、多分、いつかは2人は再会したと思う、少なくとも僕と涼介君は同じチームにいるわけだし、僕は、涼介君に有坂さんを紹介して、ひとつでも涼介君に勝ちたかったんだから・・・。うん・・・」
美波はゆっくり何度かうなずくと
「確かに、咲ちゃん、ずっと綺麗になったな。僕といるよりも、やはり収まるところに収まるのが一番なんだろうな」
「美波くん・・・」
「いいさ。僕もこれから東京に行かなきゃいけない、カムバック賞受賞式がある、ま、スーツはそのためでもあるんだけどな、ハハハ」
美波は立ち上がると、咲に右手を差し出した。
「幸せになれよな」
握手をする、一方城戸には伝票が差し出される。
「当然今日はおごられておくよ、じゃ、結婚式には呼んでくれよな」
特急の時間に間に合うかなといいながら美波はさっさと立ち去っていった。 つづく