連載小説更新しました。
昨日はマイコラスでやっと1点を死守して完封だったが、今日は菅野いまいちだったなー。
連勝できないのかなー。
打てないからなー(汗)

「私は、おそらく、亡き恋人のことを封印していたのかもしれません。無意識のうちに。なぜなら、もう二度と会えないから・・・」
 みーな亡き当時は、ひょうまの心はオールみーな一色で、野球なんかもうするつもりもなかったし、みーなのもとに逝きたいとさえ、それが、ひょうまにとっての最大の幸福であるとさえ思っていた。
 しかし、沈み行く月、昇り行く太陽を同時にみたひょうまは、自然の摂理を肌で感じる、無くなるものもあれば生まれるものもある、その繰り返しが地球を進化させた・・・。
 ならば、みーなを月にし、己を日にして、前に進んでいくしかない。
(あのとき、もうみーなのことは、口にすまいと思ったのだ・・・)
 
「心の中に彼女を、亡きみーなさんをすまわせようと・・・だが、現実、私は生きていて、彼女はこの世にいない、私は血の通った人間だし、生身の女性に心惹かれたって、仕方がないと思います・・・。そうして、けーこさんと結婚し、私が現役未練をどうにもできずに失踪してしまい、一度目の離婚をされました。が、嫌いで別れたわけじゃないし、再び機会ができて、私とけーこさんは一緒になろうと思った・・・のですが・・・。復縁しようとしたときに私はもやもやし始めた・・・」
 ひょうまは、記者たちを見ているが、実際は、おそらくは会見をテレビで見ているだろう、おきゅうに向かっていた。
(きゅう子さん、わかってくれ、ここだけはうそをつかせてくれ)
 ひょうまはかすかに頭をさげた。
「もやもやした理由がわからなかった・・・が、みなさんおっしゃるように私からいわば仕掛けた復縁話なのに、私の気持ちはけーこさんから離れてしまっていく、なぜかわからない・・・けーこさんだってバカじゃないから、私の気持ちの変化を見抜いてました、で、義兄である鼻形さんに相談して、そのあたりは本人たちがいますので話してもらえばいいでしょうが、2人が付き合うようになっていったというわけです。私は、2人のことを知ったとき、けーこさんではなく、私の姉のために、鼻形さんとけーこさんの付き合いを反対しました、けーこさんへの気持ちはそんなものだったと悟りました」
 横にいるけーこが、ハンカチで目を押さえている。
「もやもやした理由がわかったのは、奇しくも、少し前に、この3人と、姉を交えた4人での話し合いのときです。ある指摘で気付きました。亡き恋人のことが結局頭から離れていなかったのだということに・・・それが、理由のひとつであり・・・」
 最後は思い切り小さい声でしゃべる。うそでも、なるべく本当に近づけたいからどうしても、最後の台詞はつぶやきでも付け加えておきたかった。
 おきゅうにだけ届いてほしかった。
 だから、後に記者たちが、最後の台詞をスルーしてくれて質問されなかったことに心からほっとするひょうま。
「きっと、私は、きちんと、亡き恋人、みーなさんと、けりをつけていなかったのだと思います。みーなさんと向かい合って、時間がかかってでも、真実、彼女を乗り越えていけて、また、こんな私でも、出会いがあれば、今度はおめでたい記者会見をさせていただきたいと思います」
 おめでたい記者会見の日がくることはない、おきゅうと首尾よく一緒になれるときは、三門を悲しませての行為になるわけだから、下手すれば、また今と同じような、横の面子が変わるだけの記者会見が繰り返されるのかもしれない。
 
「中信新報の佐竹です。けーこさんは、星さんと一度目の離婚の後、あなたの親友である広報半氏と再婚していた、それを解消させてまで復縁しようとしたんでしょう?なのに、そんなに亡き恋人にこだわるのがどうしてもわからないのですが?」  
「私だってこんなことになるとは思わなかった、復縁が間近に迫ってもやもやし始めたのです、それに、半くんもいまやデブ専・・・いや、新たな出会いもあって、円満にけーこさんと離婚して再婚しています」
 半には申し訳ないと思うも、今は半のことまで気が回らない。
 半には散々謝ったし、そうはいっても、けーこが半を好きで居続けたなら、ひょうまもけーこと復縁なんて考えなかっただろう。
 後に、半のことまで気が回らないとはいってられなくなるときがくるとは、ひょうまには知る由もない。
 つづく