連載小説更新しました。
よろしくお願いします。
明日からまた野球再開。
巨人・・・交流戦はさんざんでしたが、救いなのはセリーグもさんざんだったこと。
仕切りなおしてリーグ優勝にむけて頑張って欲しい。


 広報半が、記者会見に先立ち挨拶をしている。
「えー、今回の記者会見に関しては、タブーの質問もなければ、みなさんが納得いくまで本人たちを追及していただいてかまいません。球団としては、時間無制限で考えています。テレビ中継、なんでも好きなようにどうぞ。ただし、今日を持って、本件に関しては取材もなし、隠し撮りなし、雑誌、新聞に関しても、今日の記事のみ正確に書いていただく、これについては、事前に各社に覚書ではありますが、署名いただきご了承いただいているとおりです。では、これから監督である鼻形みつる、投手コーチ星ひょうま、そして、女優、けーこ氏に入ってもらいます」
 鼻形を先頭に、ひょうま、けーこと続く、いきなりものすごい数のフラッシュを痛いほど浴びながら、所定の席前に立った。
 半が合図してくる、鼻形が代表で挨拶を。
「このたびは、お忙しいなか、我々のためにお集まりいただきましてまことに申し訳ございません。本来ならば、野球以外での記者会見というのは、おめでたい場合を除いてはあってはならないかと思います。まあ、ご存知のように、明るい要素もありますが、いずれにせよ、世間をお騒がせしていることには相違ございません。先ほど広報も申しましたが、本日は心行くまでご質問にお答えいたします。よろしくお願いします」
 鼻形が再度頭をふかぶかと下げ、ひょうま、けーこも合わせて頭を下げた。
 
「信州テレビ、大野です。まず事実を確認したいんですが、どなたか代表で話していただけますか」
 できるなら、ひょうまは必要以外、いや、本当は何もしゃべりたくない、だから、ずっとうつむき加減でいるが、鼻形の視線を感じた。
(俺にしゃべれと?)
 ひょうまは無視して視線をあげない。
「フン」
 鼻形はさらに、小さく舌打ちすると、
「ではわたくしが代表して。しかし、その後は、答えてほしい本人を名指しでお願いしますよ。では、事実の経緯をお話しいたします」
 ひょうまとけーこが復縁した、しかし、鼻形とけーこが付き合い、ひょうまとけーこは離婚へ、鼻形とあきこも離婚、鼻形とけーこは時期がきたら再婚予定。
「ただし、原因はほぼすべて星投手コーチにあります。星投手コーチは、初恋の女性を忘れられないことに気付き、けーこさんに冷たい態度をとり続けた結果、このようになりました」
「でも、なぜ鼻形さんはけーこさんと付き合うようになったのですか?」
「はい、それは、復縁パーティ、及び婚姻届を出した晩、ひょうまくん、そう呼ばせてもらいますが、ひょうまくんはけーこさんと祝福もせず、悩んだけーこさんが、まあ、ひょうまくんにとっては義兄であった私に相談をしてきたのがきっかけです」
 鼻形は事実をしゃべっている、ひょうまは甘んじて聴いているしかない。
「週刊しなのの森です。星さんにうかがいます。その、理由についてよくわからないのですが、星さんはけーこさんと一度結婚されてますよね、で、離婚した、で、また再婚をしようとしたわけですよね。なぜ今ごろ、初恋の女性が忘れられないと気付いたんでしょうか?」
 ひょうまはおそるおそる顔を上げた。
 一斉にまたフラッシュがたかれる。
 フラッシュの光が本当に痛い。

 何が一番大事なのか。
 ひょうまは今までわかっていたつもりだった。
 おきゅうと城戸涼介。
 そのためにはどんなことでもできると、今も百パーセント同じ気持ちなら、記者会見でウソ八百ならべることだって。
 なのに、今も、2人のことが一番とわかりつつ、亡きみーなが、まるで生きているかのように、脈絡なくひょうまの中になだれ込んでいる。
 せめて、鼻形から離婚理由をでっち上げられたときから、と言いたいが、言ったらますますひょうまは窮地に立たされてしまう・・・。                つづく