妻とはいさかいばかりの日々。
なぜこうなってしまったのか。
(仕事をやめてからだ・・・)
僕が65歳になり、定年後も雇用更新で勤めていた会社をいよいよ辞めた。
妻はごくろうさまといってくれたけど、あまり抑揚ない声だったな。
以後、今まで毎日朝早くから遅くまでくたくたになって働いてたんだからと、家でのんびり過ごすことに。
パソコンも扱えるし、インターネットやってると結構時間って早く過ぎるもの。
ところが妻はそんな僕の存在が疎ましいらしい。
「これから朝昼晩3食3食あなたの分もつくらなきゃいけないなんてね、私にはいつ休みがあるっていうのよ」
「いや・・・簡単なもんでいいし・・・・」
「簡単なもんでもなんでも作らなきゃいけないのよ!」
掃除機をかけるにしても、僕がいるとやりにくいみたいで
「ああ、どっかに行って欲しいわよ」
でも、僕はやっとわずらわしい人間関係から開放されたのだから、また人間関係が生じるサークルなどに参加する気はない。
妻こそどこかに行けばよさそうなものだが、妻は内弁慶で、外にはあまり友達がいないのだ。
なら、2人で仲良く旅行でもと誘ったが
「年金生活大変なのよ。無駄に金を使えないの!」
こうして、同じ家にいる2人は摩擦を繰り返す。
唯一の救世主は息子。
誰に似たのか知らないが、優しい人間に育ってくれた。
独身。今は仕事の都合で家を離れているが・・・。
僕は何かあると息子に愚痴メールを延々と送る。すると、必ず息子は電話で僕らの修復を図ってくれるのだ。
今更離婚も面倒だし。
だから、僕は妻とあまり関わらないよう、必要最低限の会話でひっそり生活する。
(食事をつくるとか家事分担をしようという発想は全くない。こういうのは妻の仕事。下手に取り上げようとしたら営業妨害とか言われかねないし・・・)
妻は文句は言いながらも確かに僕に家事をやれとは言わなかった。
(人間、何かしらよりどころを求めたいものだ)
僕は妻とけんかしたり、寂しくなると息子に助けを求める。息子はきちんきちんと応えてくれる。
ここ数日僕は平和だ。
妻が実家の用事で不在だから。
平和なんだけど、やはりどんな人間もいないとつまらないというか寂しいというか・・・。
そういえば、息子ともご無沙汰だ。
息子とは考えてみたら、我が家のトラブルのときだけしか連絡をとっていない。
息子にメールをする。
「お父さんは一人で寂しい」
一応事実。事実なんだけど、愚痴メールではないつもり。
息子から返信はない。
(仕事が忙しいのだろうか)
でも、営業をやってる息子は、比較的自由がきくようで、昼間でも割りと早く返信をしてくれるのに。
僕はネットサーフィンを思う存分やりつつも、息子からの返信を気にしていた・・・。
夕方、携帯に再度目をやったと同時に固定電話が鳴る。
(息子からか!)
いそいそと電話に出る僕に見知らぬ声が飛び込んできた。
息子の上司からで、息子が事故で怪我をしたとのこと。
僕は慌てて車で2時間離れた息子が入院した病院へ。
病院で、妻に連絡しなければと、携帯を開いたらメールが入っている。
(息子だ!)
時刻は午後7時・・・。今は7時半だから先ほど打ったのか。とすると、案外病状は軽いのか。と、安堵しながらメールを開いた。
「これがぼくがうつさいごのめーるですなかよくしてくださいぼくはもうおやじからのめーるみなくていいかとおもうとほっとしてます」
全部ひらがな。なんなんだ・・・・。
病室に入る前に僕は医者に呼び止められた。
「息子さんはおそらく視力の回復は難しいでしょう」
ちなみに、僕のメールを見た息子が急にいらいらし始め、車の運転が乱暴になり、結果事故につながったことを、僕は大分後で知った。
終わり
なぜこうなってしまったのか。
(仕事をやめてからだ・・・)
僕が65歳になり、定年後も雇用更新で勤めていた会社をいよいよ辞めた。
妻はごくろうさまといってくれたけど、あまり抑揚ない声だったな。
以後、今まで毎日朝早くから遅くまでくたくたになって働いてたんだからと、家でのんびり過ごすことに。
パソコンも扱えるし、インターネットやってると結構時間って早く過ぎるもの。
ところが妻はそんな僕の存在が疎ましいらしい。
「これから朝昼晩3食3食あなたの分もつくらなきゃいけないなんてね、私にはいつ休みがあるっていうのよ」
「いや・・・簡単なもんでいいし・・・・」
「簡単なもんでもなんでも作らなきゃいけないのよ!」
掃除機をかけるにしても、僕がいるとやりにくいみたいで
「ああ、どっかに行って欲しいわよ」
でも、僕はやっとわずらわしい人間関係から開放されたのだから、また人間関係が生じるサークルなどに参加する気はない。
妻こそどこかに行けばよさそうなものだが、妻は内弁慶で、外にはあまり友達がいないのだ。
なら、2人で仲良く旅行でもと誘ったが
「年金生活大変なのよ。無駄に金を使えないの!」
こうして、同じ家にいる2人は摩擦を繰り返す。
唯一の救世主は息子。
誰に似たのか知らないが、優しい人間に育ってくれた。
独身。今は仕事の都合で家を離れているが・・・。
僕は何かあると息子に愚痴メールを延々と送る。すると、必ず息子は電話で僕らの修復を図ってくれるのだ。
今更離婚も面倒だし。
だから、僕は妻とあまり関わらないよう、必要最低限の会話でひっそり生活する。
(食事をつくるとか家事分担をしようという発想は全くない。こういうのは妻の仕事。下手に取り上げようとしたら営業妨害とか言われかねないし・・・)
妻は文句は言いながらも確かに僕に家事をやれとは言わなかった。
(人間、何かしらよりどころを求めたいものだ)
僕は妻とけんかしたり、寂しくなると息子に助けを求める。息子はきちんきちんと応えてくれる。
ここ数日僕は平和だ。
妻が実家の用事で不在だから。
平和なんだけど、やはりどんな人間もいないとつまらないというか寂しいというか・・・。
そういえば、息子ともご無沙汰だ。
息子とは考えてみたら、我が家のトラブルのときだけしか連絡をとっていない。
息子にメールをする。
「お父さんは一人で寂しい」
一応事実。事実なんだけど、愚痴メールではないつもり。
息子から返信はない。
(仕事が忙しいのだろうか)
でも、営業をやってる息子は、比較的自由がきくようで、昼間でも割りと早く返信をしてくれるのに。
僕はネットサーフィンを思う存分やりつつも、息子からの返信を気にしていた・・・。
夕方、携帯に再度目をやったと同時に固定電話が鳴る。
(息子からか!)
いそいそと電話に出る僕に見知らぬ声が飛び込んできた。
息子の上司からで、息子が事故で怪我をしたとのこと。
僕は慌てて車で2時間離れた息子が入院した病院へ。
病院で、妻に連絡しなければと、携帯を開いたらメールが入っている。
(息子だ!)
時刻は午後7時・・・。今は7時半だから先ほど打ったのか。とすると、案外病状は軽いのか。と、安堵しながらメールを開いた。
「これがぼくがうつさいごのめーるですなかよくしてくださいぼくはもうおやじからのめーるみなくていいかとおもうとほっとしてます」
全部ひらがな。なんなんだ・・・・。
病室に入る前に僕は医者に呼び止められた。
「息子さんはおそらく視力の回復は難しいでしょう」
ちなみに、僕のメールを見た息子が急にいらいらし始め、車の運転が乱暴になり、結果事故につながったことを、僕は大分後で知った。
終わり