マット・デーモン、アンジェリーナ・ジョリー、ロバート・デ・ニーロ。
CIAにまつわるサスペンス。

映画は時系列には進行しない。

時間(年月日)が頻繁に前後するので、
字幕に出る日付をよく確認しておくこと。

***

物語を読み解くのに知っておくといいのが「ピッグス湾事件」
(ピッグスはPigs、豚です)

1959年1月、キューバ革命が起こる。
1960年、キューバは国内のアメリカ企業を国有化し、ソ連に接近、
危機感を抱いたアメリカは、1961年4月、亡命キューバ人を組織して、
キューバのピッグス湾(スペイン語ではコチーノス湾)に上陸作戦を敢行。

しかし、情報が漏れ、キューバ軍の待ち伏せを受けた上、
アメリカの補給船、爆撃機が撃沈、撃墜され、作戦は失敗に終わった。

このことで、当時のジョン・F・ケネディは激怒し、CIAの解体に動く。
後のケネディ暗殺事件にCIAが絡んでいるといわれる所以である。

***

物語は、一人の男が出勤するところから始まる。

男は、エドワード・ウィルソン(マット・デーモン)、CIAの幹部である。
1961年4月、エドワードの指揮の下、
キューバのコチーノスへの上陸作戦が実施される。

しかし、作戦は大失敗、CIAは事前に情報が漏れたと考え、
上層部は、CIA内部に内通者がいると考える。

作戦に関与した人物は全員怪しい。
エドワードにも疑いの目がかかる。

そんなある日、自宅に投げ込まれた封筒に、
1枚の写真と録音テープが入っていた。

不鮮明な写真は男女のベッドシーンのようだった。
テープはノイズが多く聞き取りにくいが、
単なるピロートークではなかった。

エドワードは、写真とテープの分析を命じるが、分析は難航し、
少しずつ情報が見えてくるが、最後に驚愕の事実が明らかになる。

さて、時代は遡って、1939年ころのエール大学。

学生だったエドワードは、
秘密結社スカル・アンド・ボーンズ(髑髏と骨)に入る。

ゼミのフレデリックス教授(マイケル・ガンボン)は、
エドワードを「米独何とか」という組織に誘う。

それはナチ信奉組織であり、
エドワードはFBI捜査官にメンバーを探るよう依頼される。

結果、教授は追放され、エドワードは、
サリバン将軍(ロバート・デ・ニーロ)にOSSにリクルートされる。

そのころ、エドワードには、
耳の不自由な恋人ローラ(ケミー・ブランチャード) がいたが、
エドワードは、スカル・アンド・ボーンズでの友人、ジョン・ラッセルの妹、
マッガレット・”クローバー”・ラッセル(アンジェリーナ・ジョリー)と
ねんごろになり、妊娠させてしまったため、
ローラを振って、クローバーと結婚する。

OSSは新設されたばかりの情報機関で、
第2次大戦下の諜報活動を行う組織だった。

イギリスへ派遣されたエドワードは、
フレデリックスがイギリスの諜報員だったことを知る。

第2次大戦は終結し、アメリカの敵はナチスからソ連へと変わった。

戦後、エドワードは活動をイギリスからドイツへ移し、
6年の海外出張を経て帰国する。

6年の期間は夫婦仲を冷えさせてしまったが、
エドワードの心の支えは息子のエドワードJrだった。

OSSは解散し、サリバン将軍らによってあたらしくCIAが作られる。

エドワードは、CIAに異動するが、機密保持のため夫婦仲はますます悪くなる。

そして、キューバ革命とキューバによるアメリカ資産の国有化を経て、
CIAはキューバに対する破壊活動を活発化させ、
ついに「ピッグス湾事件(コチーノス湾事件)」につながっていく。

はたして、情報漏洩の真相は、、、

***

マット・デーモンの老けメイクはいまいちだが、
眼鏡を老眼鏡にすることで時間の経過を表している。

アンジェリーナ・ジョリーや、ケミー・ブランチャードは
時間の流れを感じさせるのに成功している。

ケミー・ブランチャードは、どこかで見たと思ったが、
TVで活躍する全く知らない女優だった。
「ジュディ・ガーランドの生涯」(TV、2001)では、
ジュディ・ガーランドを演じている。

フレデリックス教授のマイケル・ガンボンはダンブルドア校長。

再会したローラの別れ際の一言、
「海岸の日を返してちょうだい」はちょっと意訳過ぎ、単なる嫌味。

セリフは「海岸の日のことで、あなたは私に借りがあるわ」なので、
「海岸での事はまだ『貸し』よ」か「海岸の日は『貸し』たままよ」
「海岸の日の『借り』を返して」くらいのところか。