銀狼ちゃん的NHK「作りたい女と食べたい女シーズン2」の感想。”綺麗なカンケイ”の薄っぺらさ。 | 銀狼の銀河の荒野

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人よ
お前は何処に問い掛ける
その指先にある 自らの未来を
お前が俯いた地の底にある無尽蔵な恵みを
肉体と魂を貫いた光が衛星となり
お前の行く末を守るだろう
銀河の荒野に響く 絶え間無い調べとなり





  

向田邦子さんのドラマで、”疚しい事があると、突然便所掃除をし始めるお爺(舅)さん”が出て来る。

このワンシーンだけでも、”男(夫・父親・舅)としてのプライドとそれを維持する為の困っしゃくれた行動の狡さと恥じらいと可愛らしさ”が描写されている。

 

俺だって、春日さんから相談をされたら「貴女が嫌なら、帰らなくて良い」と答えるだろう。

それは家族でも親戚でも親友でも無い、”同僚”と言うどうでも良い立ち位置にいるからこそなんだよ。

 

「一生、帰らない」と言っていたが、母親が倒れてもか?

母親を、「父親(夫)の言いなりになり姑(父親の実母)を介護している」と決め付けていた。

 

では。

もし、母親が「私は、貴方(夫)の母親なんか義理の関係だし介護しません」と無視すれば”自己主張している”と納得出来るのか。

 

母親の行動を、”家族全員”への”無償の愛”だと理解出来ないのか。

家族が直面している危機的状況なのに、見舞いすら行かない。

 

両親の関係性が”不思議”なら、何故直談判で尋ねてみないのか。

父親には”もっと、介護を手伝え”と怒り、母親には”自分自身を、大事にしろ”と娘の立場から主張する気持ちも行動力も持て無いのか。

 

そんなら、帰らんで良いよ。

心が籠らない介護なんて、土台出来はしない。

邪魔だから、帰るな。

 

父親だからこそ、「部屋を片付けるから、帰って来い」と促してくれている。

その心情が判んないなら、帰るな。

 

春日さん自身も、祖父母や両親の”無償の愛”に育まれて育ったとは思えんのか。

俺も、末っ子だから兄には量が多い方の食べ物を譲る様に諭されて育ったよ。

先に食べちゃった兄から、おやつを巻き上げられて泣いたら俺の方が「卑しい」と叱られた。

 

兄には、学習机や趣味嗜好品が無条件で与えられたが俺は供給が遅かったり無かったりした。

しかし、その反面病弱だったし心配も掛けたし人生の上では平等に育ったと思う。

 

介護も、”させられた”とは考えられない。

俺は、まだ実親だったが。

ブログとかを読んでいても、実際血の繋がらない舅・姑を献身的に心から愛して介護なさっている方々が大勢いる。

 

家族だからこそ、無神経で無頓着で我儘なの。

それ込みで、悲しくて寂しくて可笑しくて楽しいんだ。

 

そんな人々には、必ず”目に見えない見返り”があるんだよ。

泥(老親の糞尿)塗れにならなきゃ、見えない絆もある。

先に書いた、向田邦子さんが描く”お嫁さん”にもね。

 

不満な環境から逃避させてくれる、野本さんが”家族”なんだね。

その場その場、甘い気持ちに浸らせてくれる存在だけが「私が選んだ、家族」なのか。

 

野本さんと春日さん。

二人共、無味無臭でまるで人形の生活みたい。

友達同士だって、近しくなればなる程お互いに差異が際立って時に怒ったり笑ったりするのが自然だと思う。

 

俺自身、言い争いや喧嘩一つしない”友達”なんか一人もいない。

むしろ、言い争いや喧嘩をした後でそれでもお互い公平な関係を保てた時に「ああ。この相手は、友達だ」と実感して来た。

 

ところが、そんな光景が全く無い。

言い争いや喧嘩一つしないのに、友情と言えるのだろうか。

 

まして、レズビアン?

しかも、性的欲求を持たないレズビアンだって?

 

テレビ朝日「おっさんずラブ」は、違う。

愛し合っている、春田創一と牧凌太は言い争いや大喧嘩もする。

 

忙しいのに、家事全般を背負わされる牧が春田に「何で!!何っ時も、一口だけ残すんですか!!」と怒る場面は笑った。

あれでこそ、友達だよ家族だよ。

 

双方、嫉妬もすれば自己犠牲も厭わない奉仕もする。

お互い、性的欲求もあるらしく視聴者としては”同性愛”として認識する。

 

牧の父親が怪我をした時、春田は何が何でも義理父のおむつを替えようと奮闘していた。

不慣れな人間に不慣れな介護でも、がむしゃらに挑むのは”牧の父親を、大事にしたい”からだろう。

武川政宗も、同性愛者として「おむつパートナー」が欲しいと熱望している。

 

彼等と比較しても、野本さんと春日さんて友達同士と何処が違うの?

元々、放映時間も短い番組である。

 

テレビ東京「孤独のグルメ」の様に、「女性二人の調理と飲食」のみで構成すればシンプルだった。

其処へ、性的少数者だの家族だの”社会問題”を持ち込んでしまいしかも浅墓なので違和感が生じている。