日曜日。立川にある昭和記念公園が無料で入れるというので行ってみた。
しばらく緑の並木道を進むとどこからかペダルスティールの音が聞こえる。
音はどこから聞こえているのか分からなかった。カントリーロック。おそらく流れてるバックミュージックの類だろう。でもとても気になる音楽だった。
とりあえずこの馬鹿でかい公園で何を見たらいいのか分からず、芝生の大広場でにぎやかな音がする方に行ってみた。休日だから親子でバトミントン、なにやら移動式バンたちから漂ってくる多国籍なソウルフードの香り。どこかの大学のマーチングバンドの律動的なリズムがずっしり響く。
芝生の広場はアメリカのとある郊外の休日のように長閑な空間が流れる。代々木公園に見られるどこかゴミゴミしたようなお祭り感覚とはテキヤが軒並みそろってる様子一つとっても異なったものである。ひたすら自然と休日を満喫する感じだろうか。
遠くを見渡すと学生のジャズサークルや軽音サークルの野外コンサートが行われているようである。いろいろ考えさせられる。やはり音楽のことになると、もうそれだけになってしまうのはよくない癖だ。
だが、特設ステージにておばさんチームやギャルチームのフラダンスに救われる。おばさんは他のチームの演舞中も手拍子などするなどして積極的に場を盛り上げようとするが、渋谷を夢見るギャルたちは村八分のメンバーたちのようにムスッとしたままイベントの成功など気にもしない様子である。そこで私は、勝手にこれは非行少女たちの更生プログラムの一環なのだと勝手に決め付けることにした。
バンド演奏と、音源演奏があったのだけど、後者にいたっては、スピーカーの音が割れていて、キラウェア火山の前でフラを踊っているようなファイヤーダンスも太刀打ちできない異次元音楽であった。エキゾチカの極みである。
その後、盆栽やらチューリップだのを鑑賞し、もう楽しさのあまり制御不能になってしまった子供たちのトリッキーな動きや、突如、隣から聞こえてきてはこっちがハッとするおばちゃんたちの本当に分かってんだか分かってないのか不明な感嘆と共にもなかなか楽しませてもらった。
そして、帰り道歩いているとにまたカントリーロックが聞こえてくる。やはりとても気になったのでその音の鳴る方向に進んでみた。
すると、やはりライブで外国の方と日本人の混成バンドが演奏しているではないか。いわゆるアメリカにいそうな感じのアットホームなバンドであるが、そのレンジの広さといったらもう先程の学生バンドの比ではない。音楽の形式より自分たちの音を的確に表現できている。だから見ていて飽きないのだ。
気になったのはバンドの周りではウエスタンな雰囲気の怪しい組合みたいな集団でかつての若者たちが踊っていた。社交ダンスとオクラホマミキサーを合体させたみたいなの。実に奇妙だった。
特筆すべくは、そのバンドの中でもペダルスティール奏者の老人が最高の音を出していた。自分がギターをスライドさせるという行為に人一倍関心があるかもしれないけど、その音はグラムパーソンズのバックバンドにいたのではと錯覚してしまうほど、煌びやかで甘く、それでいてどこか憂いを感じるのである。
気になったので後日調べてみると、藤井三雄さんという方で元ドリフターズ(絶対に初期のバンド時代だろう)にも籍を置いたことあり、日本製のペダルスティールを作ってアメリカでも高い評価を受けている人らしい。また、日本スチールギター協会の会長をなさっているとのことでタレントさんであるとのこと。道理で凄いわけである。http://www.fuzzypsg.com/
本物の音とは引力のように遠くで奏でていても理解する耳を引き寄せるものなのかもしれないと感じた。
そして帰りの駅。ホームからもスチールの音が響いてきた。思わずニヤついている人が此処に一人。
