このように、社会の中に於ける諸個人が独自の生活を 営む限り、『個人の権利』という考え方が生じます。 これが、やがて、歴史上西欧の市民社会形成期に於いて、私有財産が確立と動いてきました。
では、何が為に私有財産が確立されたか。実は、この私有財産の確立と言うことは、個人格の道徳的責任と自由が確立になると言うことです。
人間は 自分の判断に基づき行動すれば良い が、やった事に対する良い結果も悪い結果も すべてその人自身に帰着する。であるからこそ人間は全力で働き自己の責任を全う出来るということです。
これは現代人に取っては常識ですが、私有財産が確立しようとしていた近世初頭の西欧人に取っては、集団生活に於ける全く新しい理念として必要とされたものであり、 当時は、キリスト教の戒律による精神的束縛を受け、また、荘園領主や王族貴族の命令に従うことを義務付けられておりました。
従って、個人の自由や権利はこうした戒律や命令を履行する際の付け足しに過ぎなかったのです。
人間のとるべき道はほとんど全てうまれながらにして定められ、現代のように、個人が自由に自己の目的を定め、自己の責任に於いて歩んでいくことは許されなかったのです。
続く