カーストが某I国の習慣であっても、日本でそれが通用すると思うのは間違いです。日本では、現実的にはいろいろあったとしても、人間は平等ということになっていますので。 ところが私のチームのボスだったお方は、ご自分が高カーストだから尊敬され、優遇されて当然だと思っていたようです。上司ですから、仕事上の命令には従いますが、部下としての私たちの義務はそれ以上でもそれ以下でもありません。それにこの高カースト様が彼より低カーストの部下を見下している様子は見ていて不愉快です。

 

ある日、上司を交えたチームメンバー7人でランチに出かけた時のことです。オフィスは東京の中心から少々離れていて、ランチで外食する人々の人数は銀座、丸の内、新宿、渋谷などの中心地に比べれば圧倒的に少ないのですが、レストランの数も非常に限られています。ですから、席の確保の難しさは中心地と同様、あるいはそれ以上かもしれません。しかし、その日は幸運にもその地域に一軒しかない某ファミレスで席が取れました。しかし、メニューを見た上司は「ベジタブルカレーがない」と言って、レストランのスタッフに確認したのですが、メニューが変わって、ベジタブルカレーは無くなったと言われました。そうしたら、「では食べるものがないな、店を変えましょう」と言って立ち上がりました。私たちは上司が宗教上ベジタリアンなのは分かっていましたが、7人分の席を確保するのがいかに難しいかがわかっていたので、「サラダランチはどうですか?」などと進めたのですが、上司は「それでは物足りない」などといって、さっさと店を出ました。

 

自分だけ他の店に行けば良いものを、私たち全員が一緒に出ることが当然だといわんばかりです。当然店探しは難航し、だいぶ時間が経ってから、お蕎麦屋さんに3人と4人に分かれてやっと席をとることが出来ました。「カツオ出汁を使っていたら、動物性食品なのでは?」と同僚にこっそり聞きましたら、「黙っていてね。これ以上みんなで座れるお店を探すのは不可能だから」と言われました。この件は、たかがランチでしたから、私は苦手なお蕎麦をトホホと食べる羽目になったというだけのことですが、仕事の上でもこのような調子で参りました。

 

半年後に上司は他社にご栄転となり、我々はチーム内カースト制度から解放されました。 私は一人だけ某I国と某K国人のシマに配置されていて、通常の業務に於いては和やかに問題なく過ごしていました。 しかし、某I国のスタッフが滅茶苦茶セコイことにある日気が付いてしまい、「なんなのこれは!?」と怒り心頭でした。