花王ソフィーナのイメージタレントとしての高橋恵子さんは定着していますが、掛け合いをして
話題に入るパターンですから新商品が登場する作品では相手役を捜さなければなりません。
この CM は屋外のカフェのシーンから始まりますが、実はこの撮影はスタジオで行われました。
高橋恵子さんの相手役はオーディションで起用が決まったのですが、想定外の事態が発生してしまったのです。
大勢の中から選ばれた女性だったのですが高橋恵子さんと並んだ時にカメラマンがまず気づきました。「顔の大きさが違う事に。」
次に照明マンが気づきました。「肌の色が黒い事に。」
オーディションでは一人づつ面談を行いますからまったく考えもしない事だったのです。
本人に直接文句は言えませんし、取り敢えずメークの直しをするという事でメーク室に下がって
もらいまして、メークの大御所の小島由紀子先生にこっそりお願いして色を白くして頂く事としました。
しかし、顔の大きさはいかんともしがたいのです。どーしましょう。
演出の内池さんとカメラマンが打合せを繰り返していますが、どうしようもありません。
本日の撮影を中止して再度オーディションをして後日撮影をする事も1案であるのですが、再度
スタンバイをするとなるとスタジオレンタル料やセットの建て込み料、スタッフのギャラ、機材費
などなど倍の実行予算がかかってしまいますし、オンエアスケジュールを変更したりという
様々な問題が起きてしまうので撮影の延期はできませんでした。
そんなこんなでモタモタ打合せを繰り返していたとき、スタッフの会話が相手役の女性の耳に入ってしまったのです。
本人には何の責任もありませんが、本人は自分のせいで撮影が出来ない事に責任を感じてしまい
ついには泣き出してしまったのです。
クライアントと演出初めメインスタッフで協議をした結果は、顔が並ぶシーンはワンカットだけだし、別にそんな事は些細な事なのでこのまま撮影を始めましょう、という事でさあ再会です。
女性タレントはなんとか泣き止んで、いざ本番。と、そのときカメラマンからSTOPの声。
彼女の白眼が真っ赤だったのです。こりゃどうしようもありません。
と、そのときメークの巨匠 小島先生がすかさず彼女に近づいて何やらウエストポーチの中のものを彼女の眼にさしました。そう目薬なのですが、魔法の目薬だったのです。
そうしたら、あっという間に赤かった部分がさーっと白くなったではありませんか。
これにはスタジオ中の全員が唖然としてしまいました。
今は薬屋さんやドラッグストアでも売っていますが、当時はまだ日本には入っていない目薬でした。
その商品名は「Visine」(バイシン)。
小島先生はプロですから ハワイロケに行くたびに箱買いしてストックしていたのです。
今 日本で売っているバイシンはアメリカで売っているモノより若干弱いみたいで、メークさんは
今でもハワイやメインランドに行ったときに購入しています。
花粉症で目が赤くなってしまったらアメリカ製のVisineをお勧めします。
そんなこんなでございましたが今回の撮影も無事にWRAPとなりました。