先日放送されたNHKスペシャル「FIFAワールドカップ 頂点への道 第1回 “個”で打ち破れ 勝利への誓い」を視聴しました。
番組では、ワールドカップ優勝というかつてない目標に向かうサッカー日本代表の現在地が描かれていました。代表26人のうち23人がヨーロッパのクラブに所属するという史上最強とも呼ばれるメンバー構成。その中で印象的だったのは、森保一監督のチームづくりに対する考え方でした。
これまでの日本代表といえば、組織力や献身性を武器に世界と戦うイメージが強くありました。しかし森保監督が語ったのは、「強いフィジカルがあって、その先に技術が連携連動して組織の効果になる」という考え方です。
これまで日本は個の力不足を組織力で補うチームという印象でしたが、今回は逆です。まずは世界トップレベルの個を育て、その個が集まることで組織としても強くなる。組織力よりも個の成長を優先したチームづくりを進めてきたことがよく分かりました。
実際、番組で取り上げられた選手たちの歩みを見ると、その方針が形になりつつあることを感じます。
中村敬斗については、18歳で海外へ渡り、フランスで厳しい競争を経験しながら成長を続けてきました。番組ではプレー中の判断力に焦点が当てられていましたが、一瞬の状況変化の中で最善の選択を繰り返す姿は非常に興味深いものでした。専属シェフによる食事管理まで行いながら、自身の能力を高め続けている姿からは、世界で戦う選手の覚悟が伝わってきました。
また、キャプテンの遠藤航の特集も見応えがありました。ドイツやイングランドで培った対人能力や守備力は、日本サッカーが長年課題としてきた「個」の強さを象徴しているように感じます。
ただ、今回最も気になったのは遠藤の負傷です。今年2月に左足の甲のじん帯を断裂する重傷を負い、人工じん帯を入れる手術を選択したとのこと。本番に間に合わせることを最優先に考えた決断だったそうですが、ワールドカップという最高の舞台に向けて、果たして理想的なコンディションまで持っていけるのか心配になりました。
もちろん遠藤本人は強い覚悟を持ってリハビリに取り組んでおり、「どれだけ自分が準備できるか」という言葉にはキャプテンらしい責任感が感じられました。しかしワールドカップで優勝を目指す上で、遠藤の状態はチーム全体にも大きな影響を与えるだけに、本番で最高のパフォーマンスを発揮できることを願わずにはいられません。
残念ながらこの不安は当たってしまいました。手術した左足の状態が悪化し、代表離脱が決まりました。
一方で、長友佑都と中村敬斗については、以前放送されたNHKの「スポーツ×ヒューマン」で紹介された内容と重なる部分も多く、個人的には新たな発見という点では少し物足りなさも感じました。特に長友の壮絶なトレーニングや、中村の海外での挑戦については既に詳しく放送されていたため、番組としてはやや焼き直しの印象もありました。
それでも、世界ランキング上位国との戦いを見据えた日本代表の現在地を知ることができる内容でした。カタール大会であと一歩届かなかったベスト8。その壁を破るために必要なのは組織力だけではなく、世界基準の「個」の力であるという森保監督の考えは非常に説得力がありました。
日本サッカーは長年積み上げてきた組織力という強みに加え、海外で磨かれた個の力を手に入れつつあります。その融合が実現した時、日本代表は本当にワールドカップ優勝という夢に近づくのかもしれません。
次回以降の放送でも、頂点を目指す選手たちの姿を追いながら、日本代表の可能性を見届けていきたいと思います。
おわり

