11月23日に開催された第45回全日本実業団対抗女子駅伝(クイーンズ駅伝)は、エディオンが2時間13分50秒で悲願の初優勝を飾りました。出場32回目(前身のダイイチ、デオデオ時代を含む)にして、ついに女王の座を掴んだエディオン。テレビ中継を見ていて、本当に素晴らしいレースでした。
エディオンの勝因は、何といっても全区間にわたるバランスの良い選手配置でした。誰一人として外すことなく、全員が自分の役割を果たし切ったチームワークの勝利だったと言えます。特に印象的だったのが5区の細田あいです。4区で一度首位を明け渡し、41秒差の2位でタスキを受けた細田は、「先と30秒離れていても追いつく」と言っていた通り、まさに有言実行の走りを見せました。中継所残り400mで日本郵政の太田琴菜を逆転し、7秒のリードを作ってアンカーの平岡美帆へ。この逆転劇が優勝への流れを決定づけました。
1区の水本佳菜が区間賞で先手を取り、3区では東京世界選手権10000m代表のキャプテン矢田みくにが区間3位の安定した走りで流れを保ちました。平均年齢24.2歳の若いチームが、お互いを信頼し合い、一体感を持って勝ち取った初優勝。今後も優勝争いの常連になりそうな予感がします。
2連覇を狙った日本郵政グループは、わずか7秒差で2位に終わりました。3区の廣中璃梨佳が10位から7人抜きで3位に浮上し、4区のカリバ・カロラインが区間新記録で首位に立つなど、前半は盤石の展開でした。
しかし、1区谷本の出遅れが最後まで響いた形になりました。また、今大会は故障で鈴木亜由子が初めてメンバー外となり、5区の太田琴菜がプレッシャーの中で本来の力を出し切れませんでした。世代交代という大きな課題を突きつけられた大会だったと言えるでしょう。
1区には地元宮崎から同じ地元の吉薗栞(天満屋)が出場していて、個人的にはぜひ頑張ってもらいたいと思っていました。区間2位の好走で期待に応えてくれて嬉しかったです。
3区は今大会最大の見どころでした。五島莉乃(資生堂)と廣中璃梨佳(日本郵政)が頭一つ抜けていて、実力が明らかに違いました。五島は32分54秒、廣中は32分56秒とともに区間記録を更新する激走。五島は5年連続区間賞という快挙も達成しました。
五島は今年の名古屋ウィメンズマラソンではうまくいきませんでしたが、この駅伝での走りを見ていると、距離耐性がさらに付けばマラソンでも結果を残せそうだと感じました。
同じ3区には、フワちゃんこと不破聖衣来(三井住友海上)も出場していました。ルーキーイヤーで区間6位と好走し、長い怪我から復活してきた姿には胸を打たれました。ただ、彼女の極端なヒールストライクは相変わらずで、個人的な経験と見立てからですが、フォアフットやミッドフットと比べると故障のリスクは高いのではないかと少し心配になります。
一方、松田瑞生(ダイハツ)が区間18位に沈んだのは気になるところです。一時的に調子が上がっていないのか、それとも力が落ちてきているのか、今後の動向に注目したいと思います。
ここからは少し批判的な意見になりますが、毎度のことながらマスコミの報道姿勢には違和感を感じました。
五輪や世界陸上で日本代表になった選手を、駅伝でも大きくフィーチャーする扱いです。確かに駅伝というフィールドではありますが、トラックやマラソンとは明らかに違う種目です。それを同列に扱って「日本代表だから駅伝でも活躍するはず」という報道の仕方は、あまりにも短絡的だと思います。
例えば1区に出場した山本有真(積水化学)は、これまで日本代表に選出されたこともあり、区間賞候補として取り上げられていました。確かにトラックの5000mまでは強い選手ですが、ロードでそれ以上の距離になると、距離とスピードの両立という耐性がまだ備わっていない印象を受けました。結果は区間7位でした。
これは数年前、田中希美が豊田自動織機で1区に出走した時と似ています。田中も区間賞候補と取り上げられましたが、五島莉乃(当時資生堂)に歯が立ちませんでした。田中もトラックの800m〜5000mは強いのですが、ロードでそれ以上の距離となると距離とスピードの耐性に課題があったのです。
また、今年の東京世界選手権マラソンで7位入賞した小林香菜(大塚製薬)もフィーチャーされていましたが、マラソンで結果を残したことと駅伝で求められるスピードは全く違います。小林は3区で区間15位に沈みました。
日本代表に選ばれたからといって駅伝でも結果を出せるだろうという、マスコミの安易な期待と報道には批判的にならざるを得ません。駅伝には駅伝の適性があり、それぞれの選手の特性を正しく理解した上での報道を望みたいものです。
エディオンの初優勝、日本郵政との7秒差の攻防、五島と廣中の区間新記録の応酬など、見どころ満載のレースでした。特に細田あいの5区での逆転劇は、駅伝の醍醐味を存分に味わわせてくれる名シーンだったと思います。



