韓国関係ニュース
日本語話者向けのメディアは、「選択的」な報道をしているので、本当に困る。なので、最近の韓国関係のニュースのうち、前の記事(文大統領「慰安婦合意による和解・癒やし財団は解散する」)以外で、気になったものを、ざざっと紹介。
韓国政府の支持率が上昇
South Koreans’ trust in government has increased since 2016 candlelight demonstrations : International : News : The Hankyoreh韓国では、2016年の「キャンドルライトデモ(朴槿恵辞めろデモ)」以降、政府の方針への支持率が上昇しているという。
Ipsos社による世論調査の結果…って、前に紹介した「中国人は将来に楽観的」のときと、同じ会社であろう。フランスの会社といっても、ビル・ゲイツ夫妻の会社らしいのだが。#SouthKorea Protesters holding candles march in front of Gwanghwamun during Anti-government rally in #Seoul #AFP by JungYeon-Je pic.twitter.com/7dya0zcZva
— AFP Photo (@AFPphoto) 2016年11月19日
そして、この記事を見ると、この調査では、26か国が対象で、日本も入っていたということが、わかる。
今年の6月と7月の調査らしい。
特に、「自分の国は衰退しているかどうか」という質問には、韓国でのイエスが31%であり、2年前のアンケート時よりも、かなり減っているのだという。
2年前の時点では、イエスが73%だったのだという。
へー。
ちなみに、ここの画像を見ると、アメリカが51%、日本は42%になっておる。
韓国での政府への支持率は、今は57%、が、「政党」への不信感は、今でも強く、驚きの81%なのだという。
さらに、大企業とメディアへの不信感も、高いらしい。
全体的には、韓国の国民は、「キャンドルライトデモ(朴槿恵辞めろデモ)」と、文大統領の就任によって、将来への希望が、出てきた、それが「国が衰退しているかどうか」のイエスの答えの減少に、あらわれているというふうに、分析されているようである。
先日の文大統領訪朝でもって、もっと変わっていくかもしれないな。
総合的に見て、韓国の国民は、日本の国民よりも、目覚めている、とか、政府への監視意識が高い、ということは、言えると思う。
私が思うのは、北東アジアは、互いに深く影響を受け合うという運命なので、ご近所さんの動向というのは、長い目で見れば、いいものでも、悪いものでも、必ず、私たちにも、影響する、ということだ。
韓国の国民のみなさんが、目覚めて、「政府というのは、厳しく監視しなければ」というふうに、思い始めたのであれば、そして、その「成果」を出して、自信をつけたというのであれば、それは、いずれ、私たちにも、影響するようになると、思いたい。
韓国は、関税強化対象から韓国自動車の除外を要請

Moon asks Trump to exempt SK automobiles from additional trade tariffs : Business : News : The Hankyoreh
NYの国連総会のときの、トランプ・文サミットでの交渉。
文大統領は、米韓貿易協定の調印に当たり、関税強化対象から自動車産業を除外するように求めた。
韓国側は、まだ楽観的にはなれないが、これを受けたトランプが、担当者に見直しを支持したということから、希望はあると、見ているらしい。
お隣さんの「こういう動向」には、なぜか、あんまり注目しない。
分断支配にはまっている、まあそうなんだけど、これからも永遠に、そうだというわけじゃない。
敗戦国というのは、本当に不利なのだが、が、なるべく不利じゃなくなる方法というのは、あるのであって、それは「最も迷惑をかけた国々と、相当に仲良くしてもらうこと」なのだが、それができないうちは、何をするにも、「だまし討ちをした卑怯な敗戦国」「公平に扱ってやる必要はない」という、悲しい道が、続く。でも、永遠にそうなわけじゃない。
こういうのを見ると、また余計にむしり取られるんだろうなと思って、気分が暗くなるだけ↓
US, Japan to open talks on bilateral free trade agreement https://t.co/uJHZrVlLTt pic.twitter.com/jeK5N33XRN
— RT (@RT_com) 2018年9月27日
在韓米軍の引き揚げの話題が、もう出ている
そう、文訪朝でもって、当たり前のように、そういう話は、出るはずで、それは、韓国は、敗戦国じゃないから、「罰」として居座られるという筋合いは、ぜんぜんないわけ。逆に言えばだけど、韓国に「居座られる理由がない」なら、日本に居座っているのは、どう考えても「罰だ」ということに、なるわけ。
Troop pullout will pose tactical risk: USFK commander nominee
ここでは、次期在韓米軍司令官の予定のロバート・アブラムスという人が、当然のごとく、「韓国からの引き揚げはしたくない」という未練たっぷりのことを、言っている。
朝鮮戦争の正式終了が宣言されて、平和協定が結ばれても、韓国からは撤退すべきでないと。
Without mention of any change of conventional capability, I would say there would be a significant amount of risk tactically if we were to do that,
通常の軍事力(ここではたぶん、北朝鮮の核兵器以外の軍事力を指している)が特に変わらない限り、われわれが引き揚げるということは、戦略上の非常に大きなリスクとなると言える。
どこでそういうことを言ったのかというと、アメリカの議会らしい。選考手順で、呼ばれたみたい。#ROK's presidential office says #US Forces Korea (USFK) is irrelevant to the peace treaty with #DPRK, and is only relevant to ROK-US alliance pic.twitter.com/dwUX1DgvEQ
— CGTN (@CGTNOfficial) 2018年5月2日
在韓米軍の紋章なんだって↑
まっこういうふうに、米軍の海外展開というのは、「利権」とか、「雇用創出」なのである。「その国の防衛」とは、ほとんど無関係よ。
前から言っているように、ウチなんか、こんなにいっぱい米軍がいるというのに、北朝鮮の船がやってきて、次から次へ、いとも簡単に、拉致をしていったわけ。
そして、在韓米軍が引き揚げたら、この人の「ポスト」というのは、雲散霧消するわけで、それは、この人だけじゃない。
さらに、文大統領が訪朝で決めてきた「合同軍事演習の中止」なんかも、「やめたら危険だ」とか言って、文句を言ってる↓
New USFK commander says suspension of joint exercises is “prudent risk” : North Korea : News : The Hankyoreh
アメリカというのは、どうしても、海外のあちこちに基地を置いて、居座りたいわけよ。
だから「平和」が嫌いなのよ、アメリカ政府というのは。
日本なんか、一番おいしいんだから、追い出すのは、本当に大変。
でも、永遠にそうなわけじゃない。たぶん。
絶対に間違いないことは、何かというと、韓国のみなさんが、米軍を追い出さない限り、われわれは、自分のとこのソレは、追い出せない、ということ。
「順番」、ということ。
あらゆる意味で、「運命共同体」なのである。
10月中旬に朝鮮縦断鉄道の着工を
South Korea to seek on-site survey for inter-Korean railway lines in mid-October : North Korea : News : The Hankyoreh前から言っているように、朝鮮半島の平和と、米軍追い出しのための、夢と希望の肝心要の事業は、これである。
文大統領は、年内には着工したいという意向だったようだが、10月中旬にも、という話が出ている。
さらに、
- 離散家族のための、恒久的な会合場所の設置
- 2020年東京オリンピックへの統合チームについての調整
- 2032年夏のオリンピックの共同ホストへの候補に出馬
- 北朝鮮側の歴史的美術品を、高麗美術展に展示する。
経済制裁の除外を申し出る
South Korea requests exemptions to sanctions at UN General Assembly : North Korea : News : The Hankyorehこれも、NYの国連総会でのこと。
アメリカが、
それはそうだ、統一に向けて、いろいろ進めているんだから、そんなことを、いちいち守ってなんか、いられない。
特に、朝鮮半島縦断鉄道。
非常に慎重に、言葉を選んでいる。
Exemptions to international sanctions on North could be applied “flexibly in short-term, tactical areas according to the situation,”「除外」は、柔軟に、短期間で、場所と場合を選んで行う、と言っている。
さらに
“The position that the sanctions framework is to be kept in place until we are confident about North Korea’s complete denuclearization is the shared position of the US and South Korea governments,” the official replied.これはもう、はっきり「骨抜きにする」と言っている。
“But while we are working to proceed in the same direction in the broader framework, it is not realistic to proceed mechanically at the same speed,” the official added.
“Rather than the loosening of sanctions, our administration is requesting exemptions or exceptions to sanctions for areas necessary to carry out the inter-Korean cooperation efforts specified in the Apr. 27 Panmunjom Declaration.”
アメリカの顔は立てるけど、自分たちが制裁を守るのは、現実的ではない、と。
ふと見ると、中国のGlobal Timesは、タイミングよく、援護射撃記事を書いている↓
Time for US to soften sanctions on North Korea - Global Times
「アメリカは、北朝鮮への経済制裁を緩和すべき時期」
それにしても、敗戦国ではないというのは、本当に、いいな、うらやましいな、と。
外交でもって、「要求」が、できるんですよ。普通に。
ウチなんか、「要求」なんて、されるばかりで、したことなんか、ないよね。
「要求ができる」とも、思ってないんだよね。
敗戦国というのは、本当に、悲しいもので、いっそ、豆腐の角に頭をぶつけて、どうにかなってしまいたいと、思うのは、やっぱり、こういうときかな。
見えてきた統一への道筋

これはもう、アメリカの言うことをまともに聞いていては、統一はできないということは、韓国側は、ものすごくよーく理解している、ということである。
だから、基本的な「統一への手法」というのは、
- アメリカとは、正面立ってはぶつからない。
表面的には、アメリカを立てておくし、あとで難癖をつけられないように、報告連絡相談も、やる。
が、アメリカの言うことは、どんどん骨抜きにしていく。 - 既成事実を積み上げる。
- 「外部」との交渉は、韓国側が矢面に立って、全部やる。
北朝鮮は、文大統領を信じて、それを見守っている。 - 中国は、基本的には、あまり前面に出ず、後ろで見守っている。
確かに、これ以外には、戦争をしないで平和的に統一をする方法というのは、ないかもしれない。
文在寅が責任を持って前面に立つべき理由
そして、世に倦むさんなんかは、この前、金正恩は、文在寅にばかり言わせないで、国連に出てきて2人で非核化をしますと言うべきだったんだと、言っていたけど、私は、そうは思わない。それは、3つの意味で、得策ではない。「(金正恩が非核化について)『今度こそ我々を信じてほしい』と述べたことを明らかにした」と。https://t.co/XsixuOAF3q そうであるなら、この言葉を自分でNYに来て国連総会で言わないといけない。何で文在寅に言わせてるんだ。いつまで韓国と中国におんぶにだっこしてるんだ。
— 世に倦む日日 (@yoniumuhibi) 2018年9月26日
- 金正恩本人が、国連に出てきてしまったら、「神秘性」を失うばかりでなく、「あと」がなくなる。
「奥の人(意思決定権を持つ人)」がいるから、その場では答えられないという「抗弁」をするメリットを、手放すことになる。 - 金正恩と北朝鮮の国民の「信任」を受けた文在寅が、表に立って、なんでもかんでもやるということは、朝鮮半島は、2つの別々の国ではなく、1つのまとまった国であるという「意思表明」なのである。
- 文在寅だけが前面に立つことによって、国際舞台での文在寅の重要度が高まり、文在寅の発言力が上がる。
だからこそ、あれだけの大歓迎をされた、ということ。
あれは、「お願いしますね」という意味。
そして、どうしてそうなったのかというと、金正恩が、文在寅を信用すると決めたから、である。
もちろん、中国側からも、それでいいというGoサインが出た、ということ。
だから、「統一」というのは、そういう意味で、金正恩は、文在寅が、北朝鮮国民の利益に反することはしないと、全朝鮮半島の国民のために、行動してくれると「信じている」という、ことである。
2人で国連に行って、並んで演説などをしてしまったら、それは、とりもなおさず、「朝鮮には、2つの別々の国があって、それぞれに別々の目標があり、完全に利益が一致しているわけではありません」と言っている、ということになる。