非国民と言われようが
1982年スペインワールドカップのイタリア代表と答えます。
2nd Stage Group 3 Italy vs Brazil 3-2 Jul 05 1982 Barcelona
後列左からZoff,Antognoni,Scirea,Gentile,Collovati,Graziani
前列左からRossi,Conti,Oriali,Cabrini,Tardelli
何故、好きなのかと言えば、チームとしての一体感を一番感じるからです。
チーム全員が勝負所を心得ていて、此処ぞと言う処で皆が同じタイミングでスイッチが入り、一気呵成に攻め上がり、物凄いパワーを発揮するのです。
サッカーって、パスの受け手と送り手、異なる考えを持つ個々人が、如何に同じイメージを共有してプレーできるかが一番大事だし、それが楽しみや喜びだと思うのです。
No.1 GK Dino Zoff (c) age:40 Juventus
相手FKの際、ゴールポストに張り付いて、味方に指示を出す姿が目に浮かんできます。
74年と78年は相手にロングシュートのスーパーゴールを決められるシーンばかりが目に付いて可哀相でしたが、82年は40歳にしてW杯を掲げることが出来て救われたような気持ちになりました。
戒厳令が敷かれたチームで唯一マスコミを相手にしたキャプテンで広報係。
No.4 LB Antonio Cabrini age:24 Juventus
78年に左サイドを疾走した若駒は、82年に最盛期、86年に円熟期を迎えます。
ファケッティ(1966-1970-1974)
カブリーニ(1978-1982-1986)
マルディーニ(1990-1994-1998-2002)
イタリア代表の左サイドバックは歴代皆、伊達男で攻撃的。
No.5 DC Fulvio Collovati age:25 AC Milan
余り目立ちませんが、ユベントスで固めたDF陣に只一人ACミランから選出されるのは実力者だからこそ。
相手センターフォワードにしてやられたシーンは一度もありませんでした。
No.6 RB Claudio Gentile age:28 Juventus
イタリア代表の右サイドバックは相手のエース10番をマンマークするのが役目です。
二次リーグでマラドーナとジーコを完封し、準決勝では互いに累積警告の出場停止として相手エースのボニエクを完封し、決勝では西ドイツの若きエース・リトバルスキーを完封したエースキラー。
No.7 DC Gaetano Scirea age:29 Juventus
あの守備の天才バレージが代表では長らく控えに廻るほどの実力者。
スウィーパーとしてカバーリングに秀でているかと思えば、相手ペナルティーエリアまで進出する攻撃力を兼ね備えたリベロ。
決勝戦の2点目は相手ペナルティーエリア内でのシレアとベルゴミのDF同士のパス交換から生まれたことも、このチームが如何に全員攻撃全員守備が徹底されていたかを物語る事実と思います。
No.9 AMC Giancarlo Antognoni age:28 Fiorentina
イタリア代表と言えば1970年メキシコW杯でマッツォーラとリベラの両雄を並び立たせず、同じピッチ内に二人のファンタジスタは不要論争が巻き起こったことで有名ですが、1982年のイタリア代表には右ウィングと中盤の左サイドに二人のファンタジスタが同じピッチ内で共存していたからこそ強かったと思います。
右ウイングのファンタジスタがコンティなら、中盤左サイドのファンタジスタがアントニォーニ。
視野の広さとパスの精度を兼ね備え、攻撃をオーガナイズする司令塔であり、演出家の「レジスタ(操る人)」。
所属チームのフィオレンティーナではバッジオの先代にしてフィレンツェの至宝。
No.13 DMC Gabriele Oriali age:29 Internazionale
ガットゥーゾが居るからピルロが輝くように、オリアリが居るからコンティやタルデリ、アントニォーニが輝く。
ボール奪取の専門家「インコントリスタ(奪う人)」。
No.14 MC Marco Tardelli age:27 Juventus
瞬発力と持久力を兼ね備えた「インクルソーレ(襲う人)」であり、
中盤に求められるあらゆる要素を兼ね備えた「メディアーノ」であり、攻撃に守備に幅広く活躍する「飛車角」。
決勝で2点目をあげた時の「タルデリの雄叫び」は余りにも有名。
82年のタルデリはある意味フットボーラーの完成形だったように思われます。
No.16 RW Bruno Conti age:27 AS Roma
左利きの右ウィングはメッシで有名になったけれども、此方が元祖。
攻撃時は右ウィングの「アーラ(翼)」であり、守備時は右サイドバックの位置まで戻ることの出来るハードワーカーの「トルナンテ(戻る人)」。
「カテナチオ(守ることしか出来ない)」のイタリアに居る唯一の「ブラジル人(テクニシャン)」で、あのペレも認めたエスパーニャ82の真のMVP。
82年は彼の為の大会と言っても過言ではないと思う。
No.19 LW Francesco Graziani age:29 Fiorentina
前線で身体を張れる泥臭いFW。
フィオレンティーナの核弾頭も代表では脇役に廻り、彼の献身的な働きがロッシのゴールを生む。
No.20 FC Paolo Rossi age:25 Juventus
グラッツィアーニが身体を張ってくれるから、ロッシにチャンスが廻って来るんです。
優勝候補の筆頭であるブラジルを奈落の底に突き落としたハットトリックは世界中の人が忘れない。
二次リーグで覚醒し、得点王とMVPの二冠に輝いた点取り屋。
Coach: Enzo Bearzot age:54
周りからどんな厳しい批判を浴びようと自分の信念を最後の最後まで崩さない。
ロッシの覚醒を呼び覚ましたのも監督である彼がロッシを信頼して起用し続けてくれたからこそ。
それにしてもW杯本大会の1次リーグ3試合と2次リーグ初戦の計4試合を、エースが調子を取り戻すためのリハビリテーションに充てる肝の据わり具合は感動モノでした。
78年W杯本大会で優勝したアルゼンチンと若き「将軍」プラティニ率いるフランスを相手に活躍した経験はリーグ戦の100試合にも代え難い宝物だったということでしょうか。
どうでも良いけど「エンツォ」って名前が、格好良過ぎて憧れてしまいます。
QED