ずーっとしばらく寂しさとは無縁だった。

父が亡くなって「寂しい」という感情がやってきた。と言うよりは、湧いてきた。と、言うべきだろうか。それは、小さい時に感じた寂しさとはかなり違うもの。

 

父は、27歳の時に祖父、祖母を2ヶ月の内に亡くしていて、私はまだいなかった。幼い頃、墓石のないお墓だったけど、小学生の頃、父が墓石を建てたのを薄ら覚えている。祖父母の写真を仏壇の上に掲げたのもその頃だったと思う。全然、会ったこと無い人だったけど何となく親しみのある表情なのは今も変わらないまま。いつも家に居た父は、今はその墓地に居る。祖父母と一緒に。

 

その筈なんだけど。やっぱりこの家に一緒に居るような気がする。姿は見えないけど、いつもそばにいる感じがする。心の幻肢みたいな、消えないでほしい。